負圧を動力に!バキュームアクチュエーターの仕組み
車のことを知りたい
『バキュームアクチュエーター』って、吸気負圧を利用して動くんですよね?でも、どうやって電気でそれを制御するんですか?
車の研究家
良い質問ですね。吸気負圧そのものは電気で制御できませんが、バキュームアクチュエーターには『電磁弁』という部品が付いています。これが電気信号で負圧の通路を開閉する、『スイッチ』の役割を果たすんです。
車のことを知りたい
なるほど、スイッチの役割ですか。でも、小さな電気信号でどうやって大きな力を生み出すのでしょうか?
車の研究家
電磁弁の中のソレノイドに電気を流すと、小さな力で弁を開閉できます。この弁が開くと、吸気負圧という大きな力がアクチュエーターのダイヤフラムに伝わり、大きな機械的な動きに変換されるのです。小さな電気信号が、大きな力のスイッチになっている、と言えるでしょう。
バキュームアクチュエーターとは。
車の部品である『負圧作動装置』について説明します。この装置は、薄いゴム膜のような部品(ダイヤフラム)を使って動きます。エンジンの吸気管内部で発生する低い圧力(負圧)をこのゴム膜に作用させることで、部品を動かします。主に電磁弁という、電気で開閉を操作できる弁を使って、負圧のオンオフを切り替えます。電磁弁の中にはコイルがあり、そこに電気を流すと小さな電力が機械的な力に変換され、大きな力を生み出します。3つの入り口と出口を持つ電磁弁を使う場合は、バネで押し戻されるゴム膜のバネ側に負圧をかけて引っ張ることで、棒を介して動く部分を操作します。電気が流れなくなると、ゴム膜は大気に開放され、バネによって元の位置に戻ります。この装置は、排気ガス再循環弁やウェイストゲート弁といった部品に使われています。
はじめに
車の心臓部とも言える機関室の中には、まるで生き物のように複雑に絡み合った様々な部品が働いています。その中で、普段は目に触れることもなく、名前を聞く機会も少ない「負圧作動装置」についてお話します。聞き慣れない言葉かもしれませんが、実は車の様々な場所で重要な役割を担う、縁の下の力持ち的存在です。負圧作動装置は、エンジンの吸い込む力、つまり負圧を利用して特定の装置を動かす仕組みです。
少し専門的な話になりますが、ガソリンエンジンは混合気を燃焼させてピストンを動かし、車を走らせる力を生み出します。この時、ピストンが空気を吸い込む際に負圧が発生します。この負圧こそが、負圧作動装置を動かすための動力源なのです。負圧作動装置は、この負圧を利用することで、電気仕掛けの装置のように複雑な配線や電力を使うことなく、様々な部品を制御できます。これは、車の燃費向上にも貢献しています。
代表的な例としては、排気ガスをきれいにするための排気再循環装置や、ターボの過給圧を調整する装置などが挙げられます。その他にも、エアコンの温度調整や、昔ながらのブレーキの倍力装置などにも利用されていました。近年は電動化が進み、負圧を利用する場面は減ってきていますが、現在でも多くの車種で活躍しています。
負圧作動装置は、ゴムや樹脂でできた薄い膜(ダイヤフラム)で仕切られた容器でできています。エンジンの負圧をダイヤフラムの片側に作用させ、もう片側には大気圧やバネの力などを作用させます。負圧と大気圧の差によってダイヤフラムが動き、連結されたロッドやレバーなどを介して、目的の装置を制御する仕組みです。シンプルながらも効果的な仕組みで、様々な制御を可能にしています。一見地味な部品ですが、車の快適性や環境性能に大きく貢献しているのです。
項目 | 説明 |
---|---|
負圧作動装置とは | エンジンの吸い込む力(負圧)を利用して特定の装置を動かす仕組み |
負圧の発生源 | ガソリンエンジンのピストンが空気を吸い込む際に発生する負圧 |
負圧作動装置のメリット | 電気仕掛けのように複雑な配線や電力を必要とせず、燃費向上に貢献 |
使用例 | 排気再循環装置、ターボ過給圧調整装置、エアコンの温度調整、ブレーキの倍力装置など |
構造 | ゴムや樹脂製のダイヤフラムで仕切られた容器。負圧と大気圧の差でダイヤフラムが動き、ロッドやレバーを介して装置を制御 |
負圧の力
負圧とは、周囲の空気の圧力よりも低い圧力のことを指します。まるでストローでジュースを吸い込む時、ストロー内の圧力が下がり、ジュースが吸い上げられるのと同じ原理です。車の場合、この負圧はエンジンの働きによって生み出されます。エンジンが動いている間、ピストンが上下運動を繰り返し、混合気を吸い込み、燃焼、排気といった工程を繰り返しています。この吸気行程において、ピストンが下がることでエンジン内部の空間が広がり、一時的に周囲よりも低い圧力、つまり負圧が発生するのです。
このエンジンが生み出す負圧を利用した部品の一つに、負圧アクチュエーターと呼ばれるものがあります。アクチュエーターとは、動力源から得た力を用いて、様々な装置を動かすための部品を指します。負圧アクチュエーターは、この負圧を動力源として、例えば排気ガス再循環装置(EGR弁)やターボチャージャーの制御、ブレーキ倍力装置などに利用されています。
負圧アクチュエーターは、内部に薄いゴム膜のような隔膜を持っています。エンジンの吸気管と繋がっている部分から負圧が隔膜に作用すると、隔膜が引っ張られます。この隔膜の動きがロッドやレバーなどを介して、最終的に接続されている装置を制御する仕組みです。まるで掃除機のように、負圧によって物を吸い寄せる力を利用して、様々な装置を動かしているのです。
エンジンの回転数や負荷によって負圧の強さは変化します。その変化に合わせて、負圧アクチュエーターが制御する装置の動作も変化するため、エンジンの効率的な運転や排気ガスの浄化、ブレーキ性能の向上などに役立っています。近年の自動車では、電子制御化が進み、負圧を利用する場面は減ってきていますが、依然として重要な役割を担っている部分もあります。
仕組み
{吸気力を利用した小さな装置}、それが負圧作動装置です。この装置は、エンジンの吸気で作られる負圧を利用して様々な部品を動かす、自動車にとって重要な役割を担っています。
この装置の心臓部には、薄いゴム膜があります。この膜は隔膜と呼ばれ、両側を空気が囲んでいます。片方の空気はエンジンの吸気管につながっており、常に低い圧力が保たれています。これが負圧です。
エンジンがかかると、吸気管内の圧力が下がります。すると、隔膜の片側にかかる圧力が小さくなり、隔膜が引っ張られます。この隔膜の動きが、隔膜につながった棒を動かします。この棒は作動棒と呼ばれ、様々な装置とつながっています。
作動棒の動きは、排気ガスの流れを変える装置や、空気の量を調整する装置など、様々な部品の動きにつながります。小さな力で大きな力を生み出すことができるため、負圧作動装置は小さな部品で大きな仕事をすることができます。
負圧の力は小さいため、大きな力を必要とする部分には使えません。しかし、複雑な動きを必要としない部分では、構造が簡単で壊れにくいという利点があります。そのため、自動車の様々な部分で活躍しています。まるで縁の下の力持ちのように、自動車の滑らかな動きを支えているのです。
電磁弁の役割
自動車には、様々な部品が複雑に連携して動作することで、スムーズな運転を実現しています。その中で、目立たないながらも重要な役割を担っているのが電磁弁です。この部品は、まるで縁の下の力持ちのように、エンジンの吸気や排気、変速機の制御など、様々な場面で活躍しています。
電磁弁は、電気を用いて弁の開閉を制御する装置です。電磁石に電流が流れると、磁力が発生し、弁が開きます。電流が止まると磁力が失われ、バネの力で弁が閉じます。このシンプルな仕組みで、流体の流れを精密に制御することができるのです。
具体的に、電磁弁はどのように使われているのでしょうか。例えば、エンジンの吸気系統では、空気と燃料を最適な割合で混ぜるために、電磁弁が活躍しています。電磁弁が開くと、負圧と呼ばれる吸い込む力が発生し、ダイヤフラムと呼ばれる薄い膜を動かします。この動きによって、燃料の供給量を調整し、エンジンの燃焼効率を高めているのです。
また、自動変速機においても、電磁弁は重要な役割を担っています。変速機の内部には、複雑な油路があり、電磁弁によって油圧を制御することで、滑らかな変速を実現しています。電磁弁が適切に動作しなければ、変速ショックと呼ばれる、不快な振動が発生する可能性があります。
このように、電磁弁は、自動車の様々な部分で、陰ながら私たちの快適な運転を支えています。小さな部品ですが、その働きは大きく、自動車にとって欠かせない存在と言えるでしょう。
部品名 | 機能 | 動作原理 | 使用例 | 不具合発生時の影響 |
---|---|---|---|---|
電磁弁 | 流体の流れを精密に制御 | 電磁石への通電により弁を開閉、バネの力で弁を閉じる | エンジンの吸気(燃料供給量調整)、自動変速機(油圧制御) | 変速ショック |
3方電磁弁
三方電磁弁とは、空気の通り道を三方向に切り替えることができる部品です。これを自動車の制御に使うことで、より精密な操作を実現できます。一般的な電磁弁は空気の通り道を一方通行で開閉するだけですが、三方電磁弁は空気の入り口と出口に加え、もう一つ別の出口を持つ構造をしています。この構造により、単に空気の通り道を遮断するだけでなく、空気の流れを別の経路へ切り替えることも可能になります。
たとえば、自動車の部品を動かすための空気圧を利用した装置を考えましょう。この装置では、部品を動かすためには空気圧をかけ、元の位置に戻すためには空気を抜く必要があります。一般的な電磁弁では、空気を入れるか抜くかのどちらか一方しか制御できません。そのため、部品を元の位置に戻すには、自然に空気が抜けるのを待つしかなく、戻りの速度が遅くなってしまうことがあります。
しかし、三方電磁弁を使えば、空気を抜く経路を別に用意することで、部品を素早く元の位置に戻すことができます。つまり、一方の出口から空気を供給して部品を動かし、もう一方の出口から空気を排出して部品を戻すという、双方向の制御を素早く行うことができるのです。
このような精密な制御は、排気ガスの一部を再びエンジンに戻して燃焼させる排気ガス再循環装置(EGR)や、過給圧を調整するウェイストゲートバルブなど、排出ガス浄化やエンジン出力の制御といった重要な場面で必要とされます。これらの装置では、空気圧の微妙な調整が求められるため、三方電磁弁の素早く正確な動作は非常に重要です。三方電磁弁は、自動車の性能向上および環境保護に大きく貢献していると言えるでしょう。
部品 | 機能 | メリット | 使用例 |
---|---|---|---|
三方電磁弁 | 空気の通り道を三方向に切り替え、双方向の制御を素早く行う。 | 精密な操作、素早い動作、空気圧の微妙な調整が可能 | 排気ガス再循環装置(EGR)、ウェイストゲートバルブ |
一般的な電磁弁 | 空気の通り道を一方通行で開閉する。 | – | – |
応用例
真空作動装置は、自動車の様々な部品で重要な役割を担っています。その仕組みは、エンジンの吸気負圧を利用して部品を動作させるというシンプルなものです。この負圧を利用することで、電気的な制御に比べて、部品点数を少なく、構造を簡素化できるという利点があります。
代表的な応用例として、排気ガス再循環装置(EGR)バルブがあります。このバルブは、排気ガスの一部を吸気側に戻すことで、燃焼温度を下げ、窒素酸化物の排出量を抑制する役割を担っています。真空作動装置は、このバルブの開閉を制御し、排気ガスの再循環量を調整しています。これにより、エンジンの燃費向上と排気ガスの浄化に貢献しています。
また、ターボ過給機の制御にも真空作動装置は活躍しています。ターボ過給機は、排気ガスのエネルギーを利用して空気を圧縮し、エンジンに送り込むことで、エンジンの出力を向上させる装置です。しかし、過剰な過給はエンジンに負担をかけるため、ウェイストゲートバルブを用いて過給圧を制御する必要があります。このウェイストゲートバルブの開閉も、真空作動装置によって制御されています。これにより、エンジンの出力向上と耐久性の確保を両立させています。
他にも、かつては動力舵取り装置やブレーキ倍力装置などにも真空作動装置が利用されていました。動力舵取り装置では、ハンドル操作を補助し、ブレーキ倍力装置では、ブレーキペダルの踏力を軽減する役割を担っていました。これらの装置は、現在では電動式が主流となっていますが、かつては真空作動装置が重要な役割を果たしていました。このように、真空作動装置は、自動車の進化と共に様々な場面で活躍してきた重要な技術なのです。
装置名 | 機能 | メリット |
---|---|---|
排気ガス再循環装置(EGR)バルブ | 排気ガスの一部を吸気側に戻すことで、燃焼温度を下げ、窒素酸化物の排出量を抑制 | エンジンの燃費向上と排気ガスの浄化 |
ターボ過給機のウェイストゲートバルブ | 過給圧を制御 | エンジンの出力向上と耐久性の確保 |
動力舵取り装置(過去) | ハンドル操作を補助 | – |
ブレーキ倍力装置(過去) | ブレーキペダルの踏力を軽減 | – |