車内空間を彩るリヤパーセルシェルフ

車内空間を彩るリヤパーセルシェルフ

車のことを知りたい

『リヤパーセルシェルフ』って、後部座席の後ろにある棚のことですよね?スピーカーがついていることが多いみたいですが、何か特別な役割があるんですか?

車の研究家

はい、そのとおりです。後部座席の後ろの棚のことを『リヤパーセルシェルフ』と言います。スピーカーの設置場所として使われることが多いですね。特に、埋め込み式のスピーカーを取り付けると、荷室の空間をスピーカーボックスのように使うことができるので、良い音が出せるんです。

車のことを知りたい

へえ、そうなんですね!じゃあ、リヤパーセルシェルフにスピーカーがあれば、それだけで十分ってことですか?

車の研究家

いいえ、そこが注意点です。人の耳は、基本的に前の音の方がよく聞こえるようにできています。リヤパーセルシェルフのスピーカーだけでは、主に反響音を聞くことになるので、音の聞こえる位置がぼやけてしまうんです。だから、前の席のスピーカーと組み合わせて使うのが一般的なんですよ。

リヤパーセルシェルフとは。

後部座席の後ろにある棚のことを『リヤパーセルシェルフ』と言います。この棚は、後ろの座席のすぐ後ろ、天井とつながる部分にあり、仕切りとして空間を分けています。よく、ここにスピーカーが埋め込まれています。なぜなら、この棚にスピーカーを取り付けると、その後ろの荷物の収納スペースがスピーカーの音響効果を高める箱の役割を果たし、良い音が出せるからです。しかし、人間の耳は本来前の音を聞くようにできているので、後ろのスピーカーだけだと、直接の音ではなく、周りの壁などに反射した音ばかりを聞いてしまうことになります。そのため、音の聞こえてくる方向や距離感がぼやけてしまいます。そこで、前のスピーカーと後ろのスピーカーを両方使って、より良い音質になるようにするのが一般的です。

用途と概要

用途と概要

荷室と客室を仕切る、水平の棚板である後部棚板について解説します。後部座席のすぐ後ろに設置されるこの棚板は、一見すると単純な仕切りに見えますが、実は乗員の安全と快適性を守る上で幾つもの重要な役割を担っています。

まず、万一の事故の際に、荷室の荷物が客室に飛び出すのを防ぐ役割があります。急な停止や衝突時に、固定されていない荷物が後部座席に飛び出し、乗員にぶつかって怪我を負わせる危険性があります。後部棚板はこのような事態を防ぎ、乗員を守るための安全装備として重要な役割を果たしています。

次に、荷室からの音を遮る、遮音材としての機能も持ち合わせています。荷室は路面からの振動や外部の騒音を受けやすい構造のため、音が響きやすい空間です。後部棚板はこの音を吸収、または反射することで、荷室から客室への騒音の侵入を抑え、静かで快適な車内環境を実現するのに役立っています。材質や構造にもよりますが、この棚板があることで、不快なロードノイズや荷物の揺れる音が軽減されます。

さらに、多くの車で、この後部棚板は音響機器、すなわち後部座席用の音響装置を取り付ける場所として利用されています。棚板に音響装置を埋め込むことで、荷室全体を音響装置の箱のように使うことができ、奥行きと広がりのある豊かな音を実現することができます。特に低い音の再生に効果的で、車内で音楽を楽しむ際に、より質の高い音響体験を提供します。

このように、後部棚板は安全性、快適性、そして音響効果の向上に貢献する、自動車にとって大切な部品の一つです。一見すると目立たない部分ですが、様々な機能を担っていることを理解することで、より安全で快適な運転を楽しむことができます。

機能 役割 効果
安全性の向上 荷物が客室に飛び出すのを防ぐ 急停止時や衝突時の乗員の安全確保
快適性の向上 荷室からの音を遮る 静かで快適な車内環境
音響効果の向上 後部座席用スピーカーの設置場所 豊かな音響体験

音響効果の最適化

音響効果の最適化

車の音響において、理想的な音場を作り出すことは重要な要素です。リヤパーセルシェルフにスピーカーを設置すると、トランクルームの空間がスピーカーの箱の役割を果たすため、特に低い音の再生に有利です。密閉された空間でスピーカーを動かすことで、より深い低音を生み出し、迫力のある音を車内で楽しむことができます。まるでコンサートホールにいるかのような、包み込まれるような重低音は、音楽体験をより豊かにします。

しかし、人の耳は本来、前から来る音を聞くようにできています。そのため、後ろのスピーカーだけに頼るとどうしても反響音が主となり、本来の音源の位置がぼやけてしまう、いわゆる定位感の低下につながる可能性があります。音の発生源がどこにあるのかが分かりにくくなり、ぼんやりとした音に聞こえてしまうのです。臨場感あふれる音楽体験には、クリアな音質と正確な音源定位が欠かせません。

そこで、より明瞭で臨場感のある音響空間を作るには、前のスピーカーとの組み合わせが重要になります。前後それぞれのスピーカーを適切に調整することで、音のバランスを整え、より自然で奥行きのある音の舞台を作り出すことができます。例えば、前のスピーカーで中高音域をクリアに再生し、後ろのスピーカーで低音域を補強することで、バランスの良い、立体感のある音場を実現できます。さらに、左右のスピーカーの音量バランスや時間差を調整することで、運転席や助手席で、まるで演奏者の真正面に居るような、最適な音響効果を得ることも可能です。このように、スピーカーの配置と調整次第で、車内は自分だけの特別な音楽空間へと変化します。

設置場所 メリット デメリット 対策
リヤパーセルシェルフ トランクルームがスピーカーボックスの役割を果たし、深い低音の再生に有利。迫力のある重低音を実現。 反響音が主となり、定位感の低下につながる可能性がある。音源がぼやけて聞こえる。 フロントスピーカーと組み合わせ、前後で調整。フロント:中高音、リア:低音。左右の音量バランスや時間差も調整。
フロント 定位感を向上させ、クリアな音質を実現。 単体では低音域が不足する可能性がある。

材質と構造

材質と構造

車の後部座席と荷室の間にある、荷物を隠したり、後方からの視線を遮ったりする棚状の部品、リヤパーセルシェルフ。その材質と構造を見ていきましょう。

リヤパーセルシェルフの材質には、一般的に樹脂や繊維強化プラスチックが用いられています。樹脂は、石油を原料とした様々な種類の合成樹脂を指し、加工のしやすさと軽さが特徴です。繊維強化プラスチックは、ガラス繊維や炭素繊維などを樹脂に混ぜ込んで強度を高めたものです。これらの材質は、軽くて丈夫なため、車全体の軽量化に繋がり、燃費向上に貢献します。さらに、衝突時の安全性も考慮して、衝撃を吸収しやすい材質が選ばれています

リヤパーセルシェルフの表面は、布やカーペット素材で覆われていることが多いです。これは、単に見た目を良くするだけでなく、内装との一体感を高める効果もあります。落ち着いた色合いや風合いの素材が使われることで、車内の高級感が演出されます。また、布やカーペットは音を吸収する効果もあるため、ロードノイズなどの車外からの騒音を軽減し、静粛性を向上させる役割も担っています

構造としては、リヤパーセルシェルフは、車体後部に固定された金具や支柱によって支えられています。金具は、車体にしっかりと固定され、支柱はシェルフを水平に保つ役割を果たします。このシンプルな構造により、荷室に荷物を積んだ際の衝撃や振動にも耐えることができます。また、一部の車種では、リヤパーセルシェルフを折りたたんだり、取り外したりできるようになっています。大きな荷物を積み込む際に邪魔にならないよう、簡単に収納できる工夫が凝らされています。さらに、可動式のシェルフを採用している車種もあり、荷物の大きさに合わせてシェルフの位置を調整することで、荷室の空間を効率的に利用できます。

項目 詳細
材質 樹脂、繊維強化プラスチック
軽量化、燃費向上、衝撃吸収に優れる
表面素材 布、カーペット素材
内装との一体感、高級感の演出、騒音軽減、静粛性向上
構造 車体後部に固定された金具や支柱

折りたたみ・取り外し可能、可動式、荷室空間の効率的利用

設置場所の工夫

設置場所の工夫

後部座席のすぐ後ろにある棚、リヤパーセルシェルフは、乗っている人の頭と近いため、そこに置く音響機器、つまりスピーカーの置き方には、注意が必要です。スピーカーの角度や向きが適切でないと、音が乗っている人の頭に直接ぶつかり、不快な音に聞こえてしまうことがあります。

心地よい音響空間を作るためには、音を車内全体に響かせるように、スピーカーを少し上向きに設置するのが良いでしょう。スピーカーを覆う網、スピーカーグリルも、その形や素材によって音質が変わります。そのため、音響的な性質を考えて設計することが大切です。

高級車の一部では、リヤパーセルシェルフに合わせた専用のスピーカーグリルが用意されているものもあります。これは、見た目の美しさと音質の良さ、両方を追求した結果です。素材にもこだわり、例えば金属製の網を使うことで、高音域の伸びを良くし、クリアな音を出す工夫が凝らされています。また、網目の細かさや形状を調整することで、特定の音域を強調したり、不要な共鳴を抑えたりすることも可能です。

さらに、グリル自体に吸音材を組み合わせることで、不要な反響音を吸収し、よりクリアで自然な音を実現しています。このように、設置場所だけでなく、スピーカー周りの細部までこだわることが、車内全体を包み込むような、心地よい音響空間を作り出す鍵となります。

項目 詳細 目的
リヤパーセルシェルフのスピーカー設置 乗員頭部への近接に注意、角度/向き調整 不快な音の発生防止
スピーカー設置角度 上向き 車内全体への音響拡散
スピーカーグリル 形状/素材により音質変化 音響特性向上
高級車専用グリル 専用設計、金属製、吸音材 美観/音質両立、高音域向上、不要共鳴抑制、クリアな音
全体 設置場所/スピーカー周りの細部へのこだわり 心地よい音響空間実現

まとめ

まとめ

自動車の後部座席の後ろ、荷室との境に設置される棚状の部品、リヤパーセルシェルフ。一見すると単なる荷物の目隠しや収納場所のように思われがちですが、実は安全性、快適性、音響効果など、様々な面で重要な役割を担っています。事故の際、荷物が前方に飛び出して乗員にぶつかるのを防ぐという安全上の役割に加え、日差しを遮り車内温度の上昇を抑えることで快適性にも貢献しています。

さらに、リヤパーセルシェルフは音響効果の面でも重要な役割を果たします。特にカーオーディオにおいては、リヤスピーカーの設置場所として最適です。シェルフの広い面積を活かすことで、豊かな低音再生が可能になります。低音は指向性が弱いため、リヤスピーカーから発せられる音が車内全体に広がり、迫力のあるサウンドを実現します。また、シェルフの材質や構造も音響効果に影響を与えます。例えば、硬い素材を用いることで、音の反射を促進し、クリアなサウンドを実現できます。一方、柔らかい素材を用いると、音の吸収効果が高まり、不要な共振やノイズを抑制することができます。

ただし、リヤスピーカーのみで音楽を聴くと、音の定位感が損なわれ、音がぼやけて聞こえる場合があります。理想的な音響空間を実現するためには、フロントスピーカーとリヤスピーカーを適切に組み合わせ、バランスの良い音作りが重要です。フロントスピーカーは主に中高音域を担当し、ボーカルや楽器の音をクリアに再現します。リヤスピーカーは低音域を補完し、音に厚みと広がりを与えます。このように、フロントとリヤのスピーカーをバランスよく配置することで、立体感あふれるサウンドを楽しむことができます。

このように、リヤパーセルシェルフは、安全性、快適性、音響効果など、多岐にわたる機能を備えた、縁の下の力持ちと言えるでしょう。材質や構造、設置場所など、細部にわたる工夫によって、車内空間の快適性と音響体験を向上させ、より質の高いドライブを実現します。

機能 役割
安全性 事故の際、荷物が前方に飛び出して乗員にぶつかるのを防ぐ
快適性 日差しを遮り車内温度の上昇を抑える
音響効果
  • リヤスピーカーの設置場所として最適
  • シェルフの広い面積を活かした豊かな低音再生
  • 材質や構造により音の反射/吸収を調整し、クリアなサウンド/ノイズ抑制を実現
  • フロントスピーカーとの組み合わせで立体感あふれるサウンドを実現