静かな走りを実現する、革新的エンジンマウント
車は、心臓部である原動機が動いている限り、どうしても揺れが生じてしまいます。この揺れが乗っている人の体に伝わると、不快な乗り心地になってしまうため、揺れを抑える工夫が凝らされています。原動機と車体の間には、揺れを吸収する部品である原動機受けが取り付けられています。
従来の原動機受けは、ゴムのような伸び縮みする素材を用いて揺れを吸収していました。ゴムは、外部からの力に対して変形し、その力を吸収する性質があります。しかし、この吸収力は一定であり、路面の状況や原動機の回転数など、刻々と変化する状況に対応しきれないという課題がありました。
そこで登場したのが、電気で制御される原動機受けです。これは、従来のゴムのような素材に加えて、電気の力を使って揺れの吸収力を変化させることができる装置です。原動機の回転数や車体の揺れの大きさなど、様々な情報をセンサーが感知し、その情報に基づいてコンピューターが原動機受けの硬さを調節します。
例えば、原動機が勢いよく回っているときは、大きな揺れが発生しやすいため、原動機受けを硬くして揺れをしっかりと吸収します。逆に、原動機がゆっくり回っているときは、揺れも小さいため、原動機受けを柔らかくすることで、路面からの小さな振動を吸収し、滑らかな乗り心地を実現します。
このように、電気で制御される原動機受けは、様々な状況に合わせて揺れの吸収力を最適に調整することで、静かで快適な車内空間を実現しているのです。さらに、近年の技術革新により、騒音や振動を打ち消す音波を出す装置と組み合わせることで、より高い静粛性を実現する技術も開発されています。これにより、乗っている人は、まるで外界から隔離されたような静かな空間で、快適な移動を楽しむことができるようになりました。