熱によるばねの劣化
車はたくさんの部品が集まってできており、どの部品も大切な役割を担っています。その中でも、ばねは車の重さを支え、乗り心地や、安全に走るために欠かせない部品です。ばねは、路面の凸凹を吸収することで、乗っている人に伝わる揺れを少なくし、快適な乗り心地を実現します。また、タイヤがしっかりと路面を捉えるようにすることで、走行安定性を高める役割も担っています。
しかし、この重要なばねは、熱の影響を受けやすく、性能が落ちてしまうことがあります。高温に長時間さらされると、ばねの素材が変化し、弾力を失ってしまうのです。この現象は「熱へたり」と呼ばれ、放置すると、車の重さを支えきれなくなったり、乗り心地が悪くなったりするだけでなく、最悪の場合、走行中に部品が壊れ、重大な事故につながる可能性もあります。
熱へたりは、エンジンや排気管など、高温になる部品の近くに設置されているばねで発生しやすいです。特に、スポーツ走行など、エンジンを高回転で長時間使用する場合は、熱の影響を受けやすいため注意が必要です。また、普段の運転でも、渋滞などで長時間停車している場合や、夏場に炎天下に駐車している場合などは、ばねに熱がこもりやすく、熱へたりの原因となります。
熱へたりを防ぐためには、定期的な点検と交換が重要です。車の点検時には、ばねの状態を必ず確認してもらい、必要に応じて交換するようにしましょう。また、普段から、エンジンルームの温度を下げる工夫をすることも有効です。例えば、エンジンルームの断熱材を交換したり、冷却水の量を適切に保ったりすることで、熱の影響を軽減することができます。日頃から車の状態に気を配り、安全運転を心がけましょう。