車の乾燥重量:軽さは正義?
車は、大きく分けて車体とそこに搭載される様々な部品で構成されています。搭載される部品の中には、燃料や油類、冷やすための水など、液体で構成されるものも多数あります。これらの液体の有無で、車の重さは当然変化します。そこで、車の基本的な重さを測る指標として、「乾燥重量」というものが用いられます。
乾燥重量とは、車を動かすために最低限必要な部品だけが取り付けられた状態で、燃料や油類、冷やすための水などを一切搭載していない状態での車の重さのことです。いわば、車の骨格だけの重さを表す指標と言えるでしょう。乾燥重量は、車のカタログに記載されている「車両重量」とは全く異なる値です。車両重量は、一般的に燃料や油類、冷やすための水が満たされた状態、つまり実際に道路を走る状態での重さです。ですから、車両重量には、ガソリン、エンジンオイル、ブレーキオイル、冷却水、ウォッシャー液などの重さが含まれています。乾燥重量は、これらの液体の重さを除外することで、車本来の重さを把握するために用いられます。
この乾燥重量は、車の基本的な性能を評価する上で非常に重要な要素となります。乾燥重量が軽い車は、同じエンジンを搭載した場合、燃料の消費が少なく、加速性能にも優れている傾向があります。また、車体の動きも軽快になり、運転のしやすさにも繋がります。逆に、乾燥重量が重い車は、安定性が増すというメリットもありますが、燃費が悪くなり、加速性能も低下する傾向があります。つまり、乾燥重量は、車の運動性能を大きく左右する重要な要素の一つなのです。そのため、車の性能を比較検討する際には、車両重量だけでなく、乾燥重量にも注目することが大切です。