車の外観デザイン:エレベーションの重要性

車の外観デザイン:エレベーションの重要性

車のことを知りたい

先生、『エレベーション』って、車の設計図でよく見る言葉だけど、どんな図のことですか?

車の研究家

そうだね。『エレベーション』は、正面、側面、背面から見た車の図のことだよ。建物でいうところの立面図に当たるね。ただし、上から見下ろした平面図はエレベーションとは呼ばないよ。

車のことを知りたい

つまり、真横から見た図や、真正面から見た図のことですね。斜めから見た図はエレベーションとは言わないのですか?

車の研究家

そうだね。真横や真正面といったように、正面、側面、背面から見た『正投影図』、もしくは遠近法を用いた一点透視図のことを指すよ。斜めから見た図はエレベーションとは呼ばないんだ。

エレベーションとは。

自動車の用語で『エレベーション』とは、正面、側面、背面から見た投影図、もしくは一点透視図のことを指します。ただし、真上から見下ろした平面図は『エレベーション』に含まれません。

正面図

正面図

車は、正面から見た姿が、その車の持つ雰囲気を大きく左右します。正面図は、まさに車の顔であり、第一印象を決める重要な要素です。

まず、前照灯の形や位置は、車の表情を作る上で欠かせません。きりっとした目つきの前照灯は、スポーティーな印象を与え、丸みを帯びた可愛らしい前照灯は、親しみやすい印象を与えます。高級車は、大きく立派な前照灯を採用することで、威風堂々とした風格を演出することが多いです。

次に、車の鼻先に位置する空気取入口の装飾部分も、車の個性を見せる大切な部品です。大きく力強い装飾は、高級感や押し出し感を演出する一方、小さく控えめな装飾は、軽快感や可愛らしさを演出します。

前部の防護部分の形も、正面図全体の印象に大きく影響します。低く滑らかな防護部分は、スポーティーな印象を与え、高くがっしりとした防護部分は、安全性を重視した印象を与えます。

これらの要素が組み合わさることで、車の個性が生まれます。堂々とした高級車、可愛らしい小型車、スポーティーな雰囲気の車など、正面図のデザインによって、様々なイメージを表現することが可能です。

しかし、正面図のデザインは、見た目だけを重視すれば良いというわけではありません。空気の流れを良くして抵抗を減らすことも、重要な要素です。滑らかな曲線や傾斜をうまく取り入れることで、燃費の向上に繋がるだけでなく、走行安定性も向上させることができます。

さらに、歩行者を守るという観点も、正面図のデザインにおいては欠かせません。万が一、歩行者と衝突してしまった場合の衝撃を和らげるように、防護部分の形や高さなどが細かく決められています。

近年では、環境への配慮から、電気で動く車の普及が進んでいます。電気で動く車は、熱くなった機械を冷やすための空気取入口が不要なため、従来の燃料を使う車とは異なるデザインが採用されることも多くなっています。空気取入口のないすっきりとした顔立ちや、その部分に荷物を収納できる場所を設けるなど、新しい工夫が凝らされています。このように、正面図のデザインは、技術の進歩や時代の変化に合わせて、常に進化を続けています。

要素 デザインの特徴 印象 その他
前照灯 きりっとした目つき スポーティー
丸みを帯びた可愛らしい 親しみやすい
大きく立派な 威風堂々 高級車に多い
空気取入口の装飾 大きく力強い 高級感、押し出し感
小さく控えめな 軽快感、可愛らしさ
前部防護部分 低く滑らか スポーティー
高くがっしり 安全性重視
全体 滑らかな曲線や傾斜 空気抵抗軽減、燃費向上、走行安定性向上
歩行者保護の観点で設計
空気取入口なし、すっきりとした顔立ち 電気自動車に多い、収納スペースを設ける場合も

側面図

側面図

車の横から見た絵図である側面図は、その車の特徴を理解する上でとても大切です。全長や全高、車軸の間隔といった基本的な寸法が見て取れるだけでなく、屋根の線や窓の配置、車体の線など、車の形全体を決める要素も含まれています。

例えば、走るのが得意なクーペ車は、流れるような屋根の線と低い車高が特徴で、力強さと速さを表現しています。一方で、多目的乗用車であるSUVは、高い車高と大きな窓が特徴で、広い視界と使い勝手の良さを強調しています。

側面図は、車の特徴を表すだけでなく、空気の流れ方にも大きく影響します。空気の抵抗を少なくするために、滑らかな曲線や傾斜がよく使われます。最近は、ドアミラーの代わりにカメラを取り付けるなど、空気の流れを良くするための工夫がさらに進んでいます。

側面図のデザインは、車の美しさだけでなく、使いやすさや安全にも配慮して作られています。設計者は様々な点を考えながら、一番良いバランスを探し、魅力的な側面図を作り上げています。

側面図には、ドアの取っ手やサイドミラーといった細かい部品も含まれています。これらの部品のデザインも、車の全体の印象に影響を与えます。例えば、高級車は金属の光沢がある部品を多く使うことで、高級感を出すことがあります。また、最近は、ドアの取っ手を車体に埋め込むことで、空気の抵抗を少なくするデザインも増えています。このように、側面図のデザインは、細かい部分までこだわって作られています。

車の個性を見せる上で、側面図は欠かせない要素です。製造会社は、買う人の好みや流行を分析し、最適なデザインを追求することで、人々を惹きつける魅力的な側面図を作り上げています。

側面図をよく見ると、その車の設計思想や狙っている客層が見えてきます。力強い印象を与えるスポーツカー、堂々とした高級車、親しみやすい雰囲気の大衆車、それぞれに個性的な側面図が描かれています。どの線が必要で、どの曲線が最適か、デザイナーはミリ単位の調整を繰り返しながら理想の形を追求します。それはまるで芸術家の絵画制作にも似ています。機能性と美しさを両立させる、高度な技術と感性が求められる仕事と言えるでしょう。

車種 側面図の特徴 メリット その他
クーペ 流れるような屋根の線と低い車高 力強さと速さを表現
SUV 高い車高と大きな窓 広い視界と使い勝手の良さ
全般 滑らかな曲線や傾斜 空気抵抗の減少 ドアミラーをカメラに変更
ドアの取っ手を車体に埋め込む
高級車 金属の光沢がある部品 高級感を出す

背面図

背面図

車の後ろ姿、つまり背面図は、見た目だけでなく機能性も兼ね備えた重要な要素です。後ろから見た車の印象を決定づけるのは、尾灯の形や位置、緩衝器の形状、排気管の位置など、様々な部分の組み合わせです。これらが一体となり、その車独特の個性を生み出します。

近年、発光ダイオード技術の進歩により、尾灯のデザインは大きく変わりました。流れるような模様や、奥行きを感じさせる立体的な形など、独創的な尾灯が次々と登場しています。背面図は、車の形を表すだけでなく、後ろを走る車への視認性を高める役割も担っています。尾灯の明るさや位置は、法で厳しく決められており、安全性を守るため、製造会社は様々な工夫をしています。例えば、夜間や雨天時の見やすさを良くするため、大きな尾灯や明るい発光ダイオードを使うなど、安全性を重視した設計がされています。

背面図のデザインは、空気の流れにも影響を与えます。空気の抵抗を少なくするため、後ろに取り付ける板状の部品や、車体底に取り付ける整流板などが使われることがあります。これらの部品は、車の走行を安定させる効果もあります。また、近年は排気ガス規制の強化に伴い、排気管のデザインも変わってきました。目立たないように配置したり、緩衝器と一体化させたりと、環境性能への配慮が求められています。

加えて、荷物を載せるための後ろの扉も背面図の重要な要素です。車の用途に合わせて、大きく開く観音開きや、上に開く跳ね上げ式など、様々な種類があります。使いやすさだけでなく、開閉時の安全性にも配慮した設計が求められます。

このように、背面図のデザインは、美しさだけでなく、機能性、安全性、環境性能など、様々な要素を考慮して設計されています。設計者はこれらの要素をうまく組み合わせることで、魅力的な後ろ姿を作り出しているのです。

項目 詳細
見た目 尾灯の形や位置、緩衝器の形状、排気管の位置など様々な部分が車の個性を生み出す
機能性 荷物を載せるための後ろの扉のデザインは、車の用途に合わせて様々な種類がある
安全性 尾灯の明るさや位置は、法で厳しく決められており、夜間や雨天時の視認性を高める工夫がされている
環境性能 排気ガス規制の強化に伴い、排気管のデザインも変化している
空気抵抗 空気の抵抗を少なくするため、板状の部品や整流板などが使われ、走行の安定性にも寄与する

斜視図

斜視図

奥行きや立体感を表現する手法として、斜視図、特に一点透視図は車のデザインにおいて欠かせないものです。正面、側面、背面といった平面図だけでは把握しづらい、全体の釣り合いや曲面の繋がり、そして複数の面がどのように組み合わさっているかを一目で理解することができます。

一点透視図の特徴は、消失点と呼ばれる一点に向かって全ての線が集中していくことにあります。この消失点があることで、絵に奥行きが生まれ、平らな絵から立体的な車の姿を捉えることができます。まるで実際に目の前に車が置かれているかのような、現実感のある表現を可能にするのです。

デザイナーにとって、一点透視図はデザインの完成度を高めるための強力な道具です。例えば、車体の特徴的な線であるキャラクターラインをどこに配置するか、面の構成をどのようにするかなどを検討する際に、一点透視図は非常に役立ちます。また、顧客や経営陣への説明資料としても、一点透視図は効果的です。複雑なデザインの特徴や魅力を、分かりやすく伝えることができます。

一点透視図の活用範囲は、車のデザインそのものにとどまりません。街中や自然の中など、周りの景色と車がどのように調和するのかを確かめるためにも使われます。一点透視図で車と周囲の風景を描くことで、その車が周りの環境にどのように溶け込むのかを、まるで実際にそこにあるかのように確かめることができるのです。

近年の計算機による画像処理技術の進歩により、非常に精密で本物に近い一点透視図を作成することが可能になりました。様々な角度からの車の見え方を作ったり、光の当たり方や材質を調整することで、より魅力的な説明資料を作成することができます。まさに、一点透視図は車のデザイン工程において無くてはならないものと言えるでしょう。

一点透視図の役割 詳細
奥行きや立体感の表現 平面図では把握しづらい全体の釣り合いや曲面の繋がり、複数の面の組み合わせを一目で理解できる。
デザイン検討 キャラクターラインの配置や面の構成などを検討する際に役立つ。
説明資料 顧客や経営陣へデザインの特徴や魅力を分かりやすく伝える。
周囲環境との調和確認 街中や自然の中など、周りの景色と車がどのように調和するのかを確かめる。
精密な資料作成 計算機による画像処理技術により、様々な角度、光の当たり方、材質を調整した、より魅力的な資料作成が可能。

俯瞰図からの除外

俯瞰図からの除外

車の外観を捉えるための図面、すなわち輪郭図には、正面、側面、背面、そして斜めから見た図が含まれます。これらは、車の立体的な形を把握するために欠かせません。しかし、真上から見下ろした図、いわゆる平面図は、輪郭図には含まれません。なぜなら、平面図では高さや曲面の微妙な変化を捉えることができないからです。

平面図は、長さと幅といった水平方向の寸法を正確に示すため、車の全長や全幅、車軸の間の距離などを把握するのに役立ちます。これは、設計や製造の段階で非常に重要な情報です。例えば、エンジンや座席の位置、車内の空間の広さなどを決める際に、平面図は必要不可欠です。さらに、工場における組み立てラインの配置などを考える上でも、平面図は重要な役割を担います。

一方、輪郭図は、車の美しさやバランスを評価するために用いられます。正面図では、全体の印象や前部の造形を確認できます。側面図では、流れるような線や全体のプロポーションが見て取れます。背面図では、後部のデザインやランプの配置などが評価されます。斜視図では、これらの要素を総合的に捉え、立体感や存在感を把握することができます。このように、輪郭図は、車の外観デザインを視覚的に表現し、その魅力を伝えるために欠かせないものなのです。

平面図は設計や製造の実用的な側面で重要な役割を果たしますが、輪郭図は車の外観デザインを評価するための美的な側面に焦点を当てています。そのため、平面図は輪郭図には含まれないのです。輪郭図は、あくまでも立体的な形状を捉え、外観デザインを視覚的に表現するための図面なのです。

項目 輪郭図 平面図
視点 正面、側面、背面、斜め 真上(上面)
目的 車の立体的な形、美しさ、バランスを把握 水平方向の寸法を正確に把握
用途 外観デザインの評価、視覚的な表現 設計、製造(エンジン/座席位置、車内空間、組み立てライン配置など)
特徴 高さや曲面の微妙な変化を捉える、立体的形状 長さ、幅といった水平方向の寸法を示す