トレーリングアーム式サスペンションの解説

トレーリングアーム式サスペンションの解説

車のことを知りたい

先生、トレーリングアームについてよくわからないのですが、簡単に説明してもらえますか?

車の研究家

そうですね。トレーリングアームとは、車の車輪を支える腕のような部品で、車軸の前方に固定されて、後ろに伸びています。この腕が、車輪の位置を安定させる役割を果たしています。腕の動きを軸とすると、その軸は車軸と平行になっています。後ろに伸びている腕が、車軸を引っ張るような形で動きます。

車のことを知りたい

なるほど。腕のような部品で、車輪を支えているんですね。3リンク、4リンク、5リンク式というのはどういう意味ですか?

車の研究家

トレーリングアームだけでは車輪の位置を完全に制御できないため、補助の部品が必要です。その補助部品の数によって3リンク、4リンク、5リンクと呼ぶのです。補助部品が多いほど、車輪の位置を細かく制御できます。

トレーリングアームとは。

車について話すとき、『トレーリングアーム』という言葉があります。これは、車の軸と平行な揺れ動く軸が、軸の前側で横に固定されているものを指します。この固定された軸を支点として、軸を引っ張るように後ろに伸びている腕のような部品があります。この腕のような部品をトレーリングアームと呼びます。トレーリングアームの位置をきちんと制御するために、補助の部品がいくつか追加されることがあります。追加される部品の数によって、3つの部品で支えるものを3リンク式、4つの部品で支えるものを4リンク式、5つの部品で支えるものを5リンク式と呼びます。

トレーリングアームとは

トレーリングアームとは

トレーリングアームは、自動車の緩衝装置の一つで、車体と車輪を繋ぐ部品であるアームが、車輪の後ろ側に伸びている構造をしています。このアームは、車体側の固定点を中心として、回転運動をすることで、路面からの衝撃を吸収し、車輪を路面にしっかりと接地させる役割を担っています。言わば、シーソーのように動く仕組みです。

この緩衝装置は、主に小型車や軽自動車の後輪で使われています。構造が単純なので、部品点数が少なく、製造費用を抑えることができます。また、軽いことも利点です。これらの利点から、費用を抑えることを重視する車種で広く使われています。

しかし、路面からの衝撃によって車輪が前後に大きく動いてしまうことがあります。この動きが大きすぎると、乗り心地が悪くなったり、運転の安定性が悪くなることがあります。例えば、でこぼこ道を走ると、車体が上下に揺れて乗り心地が悪くなります。また、カーブを曲がるときに車輪が横に傾きにくく、安定した走行が難しくなることもあります。

そのため、最近の自動車では、より高性能な緩衝装置が使われるようになっています。しかし、トレーリングアーム式緩衝装置は、構造が単純で費用を抑えられるため、今でも一定の需要があります。特に、軽自動車や小型車など、価格が競争の決め手となる市場では、重要な選択肢の一つとなっています。

複雑な構造ではないものの、路面からの衝撃を吸収するという緩衝装置の大切な役割をしっかりと果たす、信頼性の高い方式と言えるでしょう。限られた費用の中で、乗り心地と費用を両立させる一つの方法として、現在も多くの車に採用されています。

項目 内容
名称 トレーリングアーム式緩衝装置
構造 車体と車輪を繋ぐアームが車輪の後ろ側に伸びている構造。車体側の固定点を中心として回転運動し、路面からの衝撃を吸収。
動作原理 シーソーのような動き
主な用途 小型車や軽自動車の後輪
メリット
  • 構造が単純
  • 部品点数が少ない
  • 製造費用が安い
  • 軽量
デメリット
  • 路面からの衝撃で車輪が前後に大きく動く
  • 乗り心地が悪化しやすい
  • 運転の安定性が悪化しやすい
現状 高性能な緩衝装置の登場により減少傾向だが、低価格という利点から一定の需要がある。特に、軽自動車や小型車市場では重要な選択肢。

構造と仕組み

構造と仕組み

トレーリングアーム式サスペンションは、比較的単純な構造をしています。車体の枠組みに固定された回転軸を支点として、アームと呼ばれる部品が前後に揺れ動きます。このアームの先端には車輪の軸が取り付けられており、路面からの衝撃を吸収する役割を果たします。

回転軸は、車輪の軸よりも前方に配置され、車体の枠組みとほぼ平行に設置されています。アームは、回転軸から車輪の軸に向かって後方に伸び、車輪の軸を後ろから支える形になっています。路面からの衝撃が車輪に伝わると、アームが回転軸を中心に揺れ動き、その衝撃を吸収します。このシンプルな構造こそが、トレーリングアーム式サスペンションの大きな特徴です。

アームが回転する際、車輪は円弧を描くように上下に動きますが、同時に前後に動くという側面も持ち合わせています。この前後方向の動きが大きくなると、乗り心地が悪化したり、運転の安定性が損なわれたりする可能性があります。そのため、高い走行性能や快適な乗り心地が求められる自動車には、あまり採用されていません。

しかし、単純な構造であるがゆえに、部品点数が少なく、製造にかかる費用を抑えることができるという利点があります。加えて、軽量であることもメリットの一つです。これらの点から、経済性を重視する自動車にとって、トレーリングアーム式サスペンションは有効な選択肢となり得ます。例えば、軽自動車や小型車、価格を抑えた車種などに採用されることが多いです。また、構造が単純なので、整備もしやすいという利点もあります。

項目 説明
構造 車体枠組みに固定された回転軸を支点に、アームが前後に揺れ動いて衝撃を吸収。回転軸は車輪軸より前方に配置。
車輪の動き 路面からの衝撃でアームが回転軸を中心に揺れ動き、車輪は円弧を描きながら上下・前後に動く。前後方向の動きが大きいと乗り心地・安定性が悪化。
メリット 構造が単純で部品点数が少なく、製造コスト・重量が低い。整備しやすい。
デメリット 車輪の前後方向の動きが大きいため、高い走行性能・快適な乗り心地の実現には不向き。
採用例 軽自動車、小型車、価格を抑えた車種

長所と短所

長所と短所

荷物を運ぶ車や費用を抑えたい車など、実用性を重視した車において、トレーリングアーム式と呼ばれる部品で車輪を支える仕組みは、多くの利点を持っています。まず、この仕組みは構造がとても単純です。部品の数が少なく、組み立ても簡単なので、製造にかかる費用を抑えられます。その結果、車の値段も抑えられ、買い求めやすくなります。また、部品が少ないため、車体全体の重さが軽くなります。軽い車は、少ない燃料で長い距離を走ることができるので、燃費が良くなり、維持費を抑えることができます。さらに、部品が少ないため、壊れにくく、修理も簡単です。修理にかかる時間や費用も抑えられます。

しかし、トレーリングアーム式には弱点もあります。路面の凸凹を吸収する性能が低いため、乗り心地が悪くなることがあります。でこぼこ道を走ると、車輪が上下に大きく揺れ、車内に振動が伝わります。また、カーブを曲がるとき、車輪が傾きやすく、車の動きが不安定になることもあります。これらの欠点を解消するために、他の部品を追加して性能を向上させる工夫もされていますが、他のより複雑な車輪の支え方と比べると、乗り心地や安定性はまだ劣ると言わざるを得ません。

このように、トレーリングアーム式には長所と短所の両方があります。乗り心地や安定性よりも、価格や燃費、維持のしやすさを重視する場合には、良い選択と言えるでしょう。例えば、荷物をたくさん運ぶ車や、毎日使う街乗りの車に向いています。逆に、速く走ることを目的とした車や、でこぼこ道を走る車には、あまり適していません。それぞれの車の用途や目的に合わせて、最適な車輪の支え方を選ぶことが大切です。

項目 内容
メリット ・構造が単純
・製造費用が安い
・車体が軽い
・燃費が良い
・壊れにくい
・修理が簡単
デメリット ・乗り心地が悪い
・カーブで不安定
結論 価格、燃費、維持のしやすさを重視する場合に良い選択
適した車 ・荷物運搬車
・街乗り車
不向きな車 ・スポーツカー
・オフロード車

多連結式の種類

多連結式の種類

後輪を支える方式の一つに、車軸と車体をつなぐ棹を用いる、トレーリングアーム式があります。この方式は構造が単純で、強度と耐久性に優れ、場所を取らないため、小型車によく使われます。しかし、車輪の動きが制限され、乗り心地や操縦性に課題が残る場合もあります。そこで、棹の他に複数の棒を追加して、車輪の動きを細かく制御する多連結式が開発されました。この方式は、トレーリングアーム式の長所を生かしつつ、欠点を補う進化形と言えるでしょう。

多連結式には、追加する棒の数によって、様々な種類があります。代表的なものとして、3本、4本、5本と追加する棒の数が増えるにつれて、車輪の動きをより精密に制御できるようになります。3本追加する3連結式は、トレーリングアームに加え、車輪の左右方向の動きを制御する2本の横方向の棒を持ちます。4連結式は、さらに1本追加することで、よりきめ細やかな制御を可能にします。5連結式は、さらに1本追加し、より高度な制御を実現します。

追加する棒の数が増えるほど、設計の自由度が高まり、乗り心地や走行安定性といった理想的な特性に近づけることが可能になります。しかし、同時に部品点数が増えるため、製造費用や車体の重さ増加といった短所も出てきます。そのため、車種や求められる性能に応じて、最適な棒の数を選ぶ必要があります。例えば、高級車では、乗り心地や走行安定性を重視するため、5連結式が採用されることが多いです。一方、小型車では、製造費用を抑えるため、3連結式や4連結式が採用されることが多いです。このように、多連結式は、トレーリングアーム式の基本的な構造を進化させ、様々な車種に合わせた最適な性能を実現するために、重要な役割を果たしています。

連結方式 説明 長所 短所 採用車種
トレーリングアーム式 車軸と車体をつなぐ棹を用いる方式 構造が単純、強度と耐久性に優れる、場所を取らない 車輪の動きが制限され、乗り心地や操縦性に課題 小型車
3連結式 トレーリングアーム式+左右方向の動きを制御する2本の棒 トレーリングアーム式の長所を生かしつつ、車輪の動きを制御 4連結式や5連結式と比べると制御は劣る 小型車
4連結式 3連結式+1本の棒 3連結式よりきめ細やかな制御が可能 5連結式と比べると制御は劣る、部品点数増加 小型車
5連結式 4連結式+1本の棒 最も高度な制御を実現 部品点数増加、製造費用や車体重量の増加 高級車

採用事例

採用事例

荷台を備えた小型の貨物自動車や箱型の小型自動車、そして小さめの乗用車といった種類において、後ろ側の車輪を支える装置として、トレーリングアーム式と呼ばれる仕組みがよく使われてきました。これは、この方式が単純な構造で、費用を抑えられるためです。具体的にどのような自動車に使われているかと言えば、例えば、農作業などで活躍する軽トラックや、荷物を運ぶ軽バン、そして街中でよく見かけるコンパクトカーの一部などです。

これらの自動車では、価格と性能のバランスが特に重視されます。そこで、トレーリングアーム式サスペンションのシンプルな構造と製造にかかる費用の低さが、大きな利点となるのです。また、軽トラックや軽バンは、荷物を積むことを前提に設計されています。そのため、車輪を支える装置の丈夫さも重要な要素となります。トレーリングアーム式サスペンションは、構造が単純であるがゆえに、頑丈で壊れにくいという特徴も備えています。これらの点から、軽トラックや軽バンにとって、トレーリングアーム式サスペンションは、非常に適した選択肢と言えるでしょう。

近年の自動車技術の進歩に伴い、より複雑で高性能な車輪支持装置が開発され、採用されることが増えてきました。そのため、トレーリングアーム式サスペンションが使われる機会は以前より減ってきています。しかしながら、その単純な構造、低い費用、そして高い耐久性という利点は、今でも変わらず魅力的です。特定の種類の自動車においては、これからも重要な選択肢として残り続けるでしょう。例えば、悪路を走る車や、重い荷物を運ぶ車など、頑丈さが求められる場面では、トレーリングアーム式サスペンションの強みが活かされる可能性があります。また、価格を抑えることが重要な車種でも、引き続き採用されることが予想されます。このように、トレーリングアーム式サスペンションは、その特徴を活かして、今後も特定の分野で活躍していくと考えられます。

種類 メリット デメリット 使用例
トレーリングアーム式サスペンション
  • 単純な構造
  • 低コスト
  • 高耐久性
  • 高性能ではない
  • 採用機会の減少
  • 軽トラック
  • 軽バン
  • コンパクトカーの一部
  • 悪路走行車
  • 重量物運搬車
  • 低価格帯車