2ストロークエンジンの燃料混合潤滑
車のことを知りたい
先生、『燃料混合潤滑』って、エンジンオイルを燃料と一緒に燃やしちゃうんですよね?オイルが燃えたらエンジン壊れないんですか?
車の研究家
良い質問だね。確かにオイルも燃えるけど、これはクランクケース圧縮式の2ストロークエンジンという種類のエンジンで使われる特殊な方法なんだ。燃料と一緒に燃えるように、特別なオイルを使っているんだよ。
車のことを知りたい
特別なオイル…ですか?普通のオイルとは何が違うんですか?
車の研究家
普通のエンジンオイルとは成分が違って、燃えやすいように作られているんだ。それに、燃えてもあまり煙が出ないように工夫されている。だから、エンジンが壊れる心配は少ないんだよ。燃料とオイルを別々に供給する『分離給油方式』もあるから、ちょうど良い割合で混ぜることができるんだ。
燃料混合潤滑とは。
二行程エンジンという、ピストンが上下するたびに爆発を起こすエンジンで使われる『燃料混合潤滑』について説明します。この方式では、エンジンを滑らかに動かすための油を、燃料に混ぜて使います。燃料と油が混ざった状態でエンジン内部に送られ、ピストンや軸受けなどの動く部分を滑らかにした後、燃料と一緒に燃えてしまいます。
混ぜる方法には、あらかじめ燃料と油を混ぜておく方法と、燃料と油を別々のタンクに入れておき、エンジンに送る直前に混ぜる方法(分離給油方式)があります。それぞれに合った混ぜる割合があり、エンジンに最適な滑らかさを保つことができます。
最近の二行程エンジン用の油は改良され、以前より排気ガスに含まれる白い煙がかなり減りました。
燃料混合潤滑とは
燃料混合潤滑とは、二行程機関特有の潤滑方法です。二行程機関は、四行程機関とは異なり、クランク室圧縮という仕組みを使っています。四行程機関では、吸気、圧縮、爆発、排気の行程をピストンが4回上下することで1サイクルとなりますが、二行程機関はピストンの上下2回で1サイクルとなります。このため、二行程機関には、四行程機関のように独立した潤滑系統がありません。二行程機関では、クランク室という空間を使って混合気を圧縮し、燃焼室に送り込みます。このクランク室に潤滑油を供給すると、燃料と一緒に燃焼室に送り込まれ、潤滑を行うことができます。
具体的には、ガソリンなどの燃料に、あらかじめ決められた割合で潤滑油を混ぜて使います。この混合燃料は、燃料タンクからキャブレターまたは燃料噴射装置を介してクランク室に送られます。クランク室で圧縮された混合気は、シリンダーへ送り込まれ、燃焼します。この時、混合気に含まれていた潤滑油が、ピストン、シリンダー壁、クランク軸などの摺動部に付着し、潤滑膜を形成することで、摩擦や摩耗を低減します。燃焼後は、排気ガスと共に潤滑油も排出されます。
燃料混合潤滑の最大の利点は、構造の簡素化です。四行程機関のように、オイルポンプ、オイルフィルター、オイルパンなどの部品が不要になるため、エンジンを小型軽量化することができます。また、製造コストも抑えることができます。このため、チェーンソーや草刈機などの小型動力機器、そして一部のオートバイなどで広く採用されています。しかし、潤滑油が燃焼してしまうため、排気ガスが汚れるという欠点もあります。また、潤滑油の混合比を正確に守らないと、エンジンが焼き付いたり、性能が低下する可能性があります。そのため、正しい混合比で燃料と潤滑油を混ぜることが重要です。近年では、環境規制の強化に伴い、二行程機関の採用は減少傾向にありますが、簡素な構造と軽量であるという利点は、特定の用途において依然として価値があります。
項目 | 内容 |
---|---|
名称 | 燃料混合潤滑 |
機関 | 二行程機関 |
仕組み | 燃料に潤滑油を混ぜて、クランク室圧縮を利用して潤滑する。 |
利点 | 構造の簡素化、小型軽量化、製造コストの低減 |
欠点 | 排気ガスが汚れる、潤滑油の混合比を正確に守る必要がある。 |
用途 | チェーンソー、草刈機などの小型動力機器、一部のオートバイ |
混合方式の種類
動力源となる燃料と、機械の円滑な動きを支える潤滑油。これらを混ぜ合わせる方法には、大きく分けて二種類あります。一つは、あらかじめ混ぜ合わせた混合油を使う方法です。これは、燃料タンクに入れる前に、燃料と潤滑油を混ぜておく方法です。一般的には、燃料25に対して潤滑油1の割合で混ぜ合わせます。計量カップなどを使い、手軽に準備できるのが大きな利点です。しかし、常に一定の割合で潤滑油が供給されるため、エンジンの状態に合わせた最適な潤滑は難しい場合があります。例えば、エンジン回転数が低い時や、高い時でも、同じ割合で潤滑油が供給されます。そのため、低回転時には潤滑油が多すぎて、高回転時には潤滑油が少なすぎるという状況が起こりえます。
もう一つは、分離給油方式です。これは、燃料と潤滑油を別々のタンクに保管し、エンジンに供給する直前で混ぜ合わせる方法です。この方式の利点は、エンジンの状態に合わせて潤滑油の供給量を細かく調整できることです。エンジン回転数が低い時は潤滑油の供給量を少なく、高回転時や負荷が大きい時は潤滑油の供給量を多くすることで、常に最適な潤滑状態を保つことができます。これにより、エンジン性能の向上、燃費の改善、そして排気ガスの低減といった効果が期待できます。状況に応じて潤滑油の量を調整できるため、無駄がなく、環境にも優しい方法と言えるでしょう。混合油を使う方法と比べ、装置が複雑になり、初期費用は高くなりますが、長期的には多くのメリットがあります。
項目 | 混合油 | 分離給油 |
---|---|---|
混合方法 | あらかじめ燃料と潤滑油を混ぜる | 燃料と潤滑油を別々に保管し、エンジン直前で混ぜる |
比率 | 燃料25:潤滑油1 | エンジン状態に合わせて調整 |
メリット | 手軽に準備できる | エンジン性能向上、燃費改善、排ガス低減、最適な潤滑状態 |
デメリット | エンジン状態に合わせた最適な潤滑が難しい | 装置が複雑、初期費用が高い |
混合比率の重要性
二輪車や一部の小型機械などで使われるエンジンの中には、燃料と潤滑油を混ぜて使うものがあります。この燃料と潤滑油の混ぜ合わせる割合、つまり混合比率は、エンジンの調子を保つ上でとても大切です。
潤滑油の量が少なすぎると、エンジン内部の動きが滑らかになりません。金属同士がこすれ合って大きな熱が発生し、部品が焼き付いて動かなくなったり、摩耗して寿命が縮んだりするなどの深刻な故障に繋がることがあります。これは、自転車のチェーンに油を差さないまま走らせ続けると、チェーンが錆びたり切れたりするのと似ています。
反対に、潤滑油の量が多すぎると、燃料がうまく燃え尽きません。燃え残った潤滑油は白い煙となって排気ガスと一緒に出てきます。この白い煙は、周りの空気を汚してしまうだけでなく、エンジンの力も弱めてしまいます。まるで、薪ストーブに火を点ける時に、薪が多すぎて酸素が不足し、煙が充満して火が弱くなるようなものです。
このように、潤滑油が少なすぎても多すぎても、エンジンに悪影響を与えてしまうため、正しい混合比率を守ることが重要です。混合比率は、取扱説明書に記載されています。
近年の二輪車や小型機械の多くは、燃料と潤滑油を別々に供給する分離給油方式を採用しています。この方式では、電子制御によって自動的に最適な混合比率で燃料と潤滑油を混ぜてくれるので、私たちが混合比率を気にする必要はありません。まるで、自動で牛乳とコーヒーを混ぜてくれる機械のように、手間をかけずに最適な味を楽しめるのです。
しかし、古い機械や一部の機種では、今でも自分で燃料と潤滑油を混ぜる必要があります。このような場合には、燃料と潤滑油の量を正確に測り、指定された混合比率で混ぜることが大切です。計量カップやメスシリンダーなどを使い、慎重に作業を行いましょう。これは、料理をする時と同じように、材料の分量をきちんと守らないと、美味しい料理ができないのと同じです。
潤滑油の量 | 影響 | 例え |
---|---|---|
少なすぎる | エンジン内部が滑らかにならず、部品が焼き付いたり摩耗したりする。 | 自転車のチェーンに油を差さないまま走らせ続けると、チェーンが錆びたり切れたりする。 |
多すぎる | 燃料がうまく燃え尽きず、白い煙が出てエンジンが弱る。 | 薪ストーブに薪が多すぎて酸素が不足し、煙が充満して火が弱くなる。 |
結論:潤滑油の量が少なすぎても多すぎてもエンジンに悪影響があるため、正しい混合比率を守ることが重要。混合比率は取扱説明書に記載されている。
分離給油方式:近年の二輪車や小型機械の多くは、電子制御によって自動的に最適な混合比率で燃料と潤滑油を混ぜる分離給油方式を採用しているため、混合比率を気にする必要がない。
混合給油方式:古い機械や一部の機種では、自分で燃料と潤滑油を混ぜる必要があるため、燃料と潤滑油の量を正確に測り、指定された混合比率で混ぜることが大切。
エンジンオイルの進化
かつて、2行程機関と呼ばれる構造の原動機には付きものの課題がありました。それは、燃焼の際に白い煙が大量に発生してしまうことです。原動機内部で潤滑油と燃料が混合されて燃焼する仕組み上、どうしても潤滑油が燃え残ってしまい、白い煙となって排出されてしまうのです。しかし、近年の潤滑油の技術革新は目覚ましく、この白い煙の問題を大きく改善しました。燃焼効率を高めた新たな潤滑油が登場したことで、燃え残りが大幅に減少し、白い煙の発生が抑えられたのです。
この技術革新は、周囲の環境への負担軽減に大きく貢献しています。排出ガスに含まれる有害物質を減らすことで、大気を清浄に保つ効果が期待できます。さらに、原動機の性能向上にも一役買っています。燃焼効率の向上は、動力の向上に直結します。より少ない燃料で、より大きな力を生み出すことができるようになったのです。この高効率化は燃費の向上にもつながり、燃料消費を抑えることにも貢献しています。環境保護の観点からも、家計の負担軽減という点からも、大変喜ばしい成果と言えるでしょう。
加えて、原動機内部を清浄に保つ効果を高めた潤滑油も開発されています。この潤滑油は、原動機内部に発生する汚れを効果的に取り除き、常に清潔な状態を保ちます。原動機内部の汚れは、性能低下や故障の原因となるため、清浄性の高い潤滑油の使用は、原動機の寿命を延ばすことに繋がります。これにより、原動機の交換頻度を減らし、資源の節約にも貢献できます。
このように、潤滑油の進化は、2行程機関の長所を伸ばし、短所を補う形で進んでいます。環境への配慮と性能の両立を目指した技術開発により、2行程機関はより環境に優しく、より高性能な原動機へと進化を続けているのです。
従来の2行程機関の課題 | 潤滑油の技術革新による改善 | 効果 |
---|---|---|
白い煙の大量発生(潤滑油の燃え残りが原因) | 燃焼効率を高めた新たな潤滑油の登場 | 白い煙の発生抑制、大気汚染の軽減、原動機性能向上、燃費向上 |
原動機内部の汚れによる性能低下や故障 | 清浄性の高い潤滑油の開発 | 原動機内部の清浄化、原動機寿命の延長、資源の節約 |
今後の展望
排気ガス規制の強化は、乗り物の動力源に大きな変化をもたらしています。特に、二行程機関は、四行程機関に比べて排気ガス中の有害物質が多いという課題を抱えています。そのため、環境規制への適合が難しく、乗用車ではほとんど姿を消してしまいました。
しかし、二行程機関は小型軽量で高い出力を生み出せるという優れた特性も持っています。この特性を生かし、現在も一部の分野で活躍を続けています。例えば、小型の自動二輪車や、草刈機、チェーンソーなどでは、手軽に使える動力源として重宝されています。また、模型飛行機や模型船など趣味の分野でも、その強力なパワーが広く利用されています。
こうした二行程機関の利点を生かしつつ、環境性能を高める研究開発も進められています。例えば、燃料と潤滑油を別々に供給する分離給油方式や、排気ガスを浄化する触媒技術の改良などが挙げられます。これらの技術革新によって、より環境に優しい二行程機関が実現できれば、再び様々な分野で活躍の場を広げる可能性があります。
特に、小型軽量という長所は、持ち運びやすさや省スペース化が求められる分野で大きな利点となります。例えば、災害時などに活躍する携帯発電機や、電動アシスト自転車の補助動力など、様々な用途への応用が期待されます。また、近年注目されているドローンなどの無人航空機においても、二行程機関の小型軽量で高出力という特性は大きなメリットとなるでしょう。更なる技術開発によって、環境性能が向上した二行程機関は、未来の動力源の一つとして、再び注目を集める可能性を秘めていると言えるでしょう。
機関の種類 | メリット | デメリット | 用途例 | 今後の展望 |
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二行程機関 | 小型軽量、高出力 | 排気ガス中の有害物質が多い | 小型自動二輪車、草刈機、チェーンソー、模型飛行機、模型船 | 分離給油方式、触媒技術の改良などにより環境性能を高める研究開発が進められている。携帯発電機、電動アシスト自転車の補助動力、ドローンなどへの応用が期待される。 |
四行程機関 | 排気ガスが比較的きれい | 二行程機関に比べて大型で重量がある | 乗用車など | – |