混合油:2ストロークエンジンの燃料

混合油:2ストロークエンジンの燃料

車のことを知りたい

先生、混合油って、ガソリンにオイルを混ぜるんですよね? なんで混ぜる必要があるんですか?

車の研究家

いい質問だね。混合油を使うのは、主に2ストロークエンジンという種類のエンジンで使われているんだよ。このエンジンは、構造が簡単で軽いんだけど、エンジンオイルを潤滑させる仕組みが4ストロークエンジンとは違うんだ。

車のことを知りたい

どういうことですか?

車の研究家

4ストロークエンジンは、エンジン内部にオイルを溜めておく場所があって、そこから各部にオイルを供給しているんだけど、2ストロークエンジンはそれができない。だから、ガソリンにオイルを混ぜて、燃料と一緒に燃焼室に送り込み、そこでエンジン内部の潤滑を行うんだ。混合油を使うことで、エンジンを壊さずに動かすことができるんだよ。

混合油とは。

車に使う言葉で「混合油」というものがあります。これは、ガソリンに、エンジンをなめらかに動かすための油を混ぜた燃料のことです。二行程エンジンという種類のエンジンでは、この混合油を使います。ガソリンにエンジンオイルを混ぜることで、エンジンの内部にある軸受けや、ピストンといった部品をなめらかに動かしています。ガソリンとオイルを混ぜる割合は、エンジンによって決まっていて、例えばガソリン25に対してオイル1といった具合です。混合油に使うオイルは、ガソリンと一緒に燃えても、燃えかすが残らないようにする必要があります。近頃は、ガソリンを入れるタンクとオイルを入れるタンクをそれぞれ別に持っていて、オイルの量を計りながらガソリンと混ぜてエンジンに送るやり方が主流になっています。

混合油とは

混合油とは

混合油とは、読んで字のごとく、燃料となるガソリンと潤滑油であるエンジンオイルを混ぜ合わせたものです。主に、2行程機関と呼ばれる形式の原動機で使われます。原動機には、よく知られている4行程機関と2行程機関の二つの種類があります。4行程機関はピストンの上下運動が4回で1工程が終わり、2行程機関は上下運動2回で1工程が終わります。行程数が少ないため、2行程機関は構造が単純で軽く、小型化しやすいという利点があります。

しかし、2行程機関には4行程機関のように独立した油の供給機構がありません。4行程機関では、クランクケースと呼ばれる部分にエンジンオイルが溜められており、そこからポンプなどを使って各部に油を送り、潤滑しています。一方、2行程機関ではクランクケースがピストンの動きで空気を出し入れする通路を兼ねており、そこに油を溜めることができません。そこで、燃料であるガソリンにあらかじめエンジンオイルを混ぜておくことで、潤滑を可能にしています。これが混合油です。

混合油を使う2行程機関では、ガソリンとオイルが一体となって燃焼室に送られます。この混合油が燃焼室で爆発すると、ガソリンは燃料として燃えますが、エンジンオイルは燃え尽きずに微細な油滴となってシリンダー内壁やピストン、クランクシャフトなどの摺動部に付着します。そして、金属同士が直接触れ合うのを防ぎ、摩擦や摩耗を減らす働きをします。混合油の比率、つまりガソリンとオイルの混ぜる割合は、原動機の機種や使用状況によって異なります。適切な比率で混合油を作ることは、原動機の性能を維持し、寿命を長くするためにとても重要です。指定された比率を守らないと、潤滑不足による焼き付きや、オイル過多による排気管の詰まりなどを引き起こす可能性があります。

現在では、環境保護の観点から、排気ガス規制が厳しくなっており、混合油を使う2行程機関を搭載した自動車はほとんど見られなくなりました。しかし、小型で軽量という利点を活かし、チェーンソーや刈払機、一部のオートバイなどでは、現在も2行程機関が活躍しています。

機関の種類 行程数 潤滑方式 メリット デメリット 用途
4行程機関 4 独立した油供給機構
  • 排気ガスが比較的クリーン
  • 燃費が良い
構造が複雑で重い 自動車など
2行程機関 2 混合油
  • 構造が単純
  • 軽量
  • 小型化しやすい
  • 排気ガスが汚い
  • 燃費が悪い
チェーンソー、刈払機、一部のオートバイなど

混合の比率

混合の比率

混合燃料を作る際、燃料と潤滑油の混ぜ合わせる割合は、機械の種類によって大きく変わります。どのくらいの割合で混ぜるべきかは、それぞれの機械の説明書に必ず書いてありますので、よく読んでそれに従うことが大切です。割合の書き方は、「燃料25に対して潤滑油1」のように書かれたり、「251」のように比で表されたりします。

正しい割合で混合燃料を作らないと、機械の働きが悪くなったり、壊れたりすることがあります。潤滑油が多すぎる濃い混合燃料は、燃料がしっかりと燃えにくくなり、火花を出す部品が汚れたり、排気ガスが悪くなったりします。反対に、潤滑油が少なすぎる薄い混合燃料は、機械の内部が滑らかに動かず、摩擦で熱が発生し、部品が焼き付いてしまい、大きな故障につながることもあります。

混合燃料を作る時は、容器に燃料を先に注ぎ、そこに潤滑油を加えるのが良いでしょう。潤滑油を先に入れてしまうと、容器の内側に潤滑油が付着してしまい、正しい割合で混ざらない可能性があります。また、目分量ではなく、計量カップや計量器を使って正確な量を測ることが重要です。燃料と潤滑油の種類を間違えないようにも注意しましょう。混合燃料は、作ってから時間が経つと分離してしまうことがあるので、使う直前に作るのが理想的です。もし作り置きをする場合は、よく振ってから使いましょう。

安全のために、混合燃料を作る際には換気を良くし、火気のない場所で行うように心がけましょう。燃料や潤滑油は引火性が高いので、火の近くで取り扱うのは大変危険です。また、皮膚に付着すると炎症を起こす可能性がありますので、保護手袋や保護眼鏡を着用するなどの対策も必要です。もし誤って皮膚に付着した場合は、すぐに水と石鹸で洗い流しましょう。

項目 内容
混合燃料の割合 機械の種類によって異なり、説明書に記載されている「燃料:潤滑油」の比に従う。例:25:1 または 251
正しい割合の重要性
  • 濃い混合燃料:不完全燃焼、部品の汚れ、排気ガス悪化
  • 薄い混合燃料:摩擦による発熱、部品の焼き付き、故障
混合燃料の作り方
  1. 容器に燃料を先に入れる
  2. 潤滑油を加える
  3. 計量カップや計量器で正確な量を測る
  4. 燃料と潤滑油の種類を確認する
  5. 使う直前に作る(作り置きする場合はよく振る)
安全対策
  • 換気を良くする
  • 火気のない場所で行う
  • 保護手袋、保護眼鏡を着用する
  • 皮膚に付着した場合は水と石鹸で洗い流す

オイルの選定

オイルの選定

乗り物の心臓部とも言える機関を守るには、適切な油を選ぶことが何よりも大切です。混合油を使う乗り物には、二行程機関専用の油を使う必要があります。なぜなら、四行程機関用の油は、燃える時に燃えカスや炭素のかたまりを作りやすく、二行程機関の働きを悪くしてしまうことがあるからです。二行程機関は、構造上、油が燃料と一緒に燃えるため、四行程機関用の油では燃え残りが多く発生してしまいます。

二行程機関専用の油は、燃料と一緒に燃えても、燃えカスや炭素のかたまりができにくいように作られています。これにより、機関の中をいつも綺麗に保ち、良い調子を維持することができます。また、油の粘り具合も大切です。粘り具合は、油のねばねばした度合いを示すもので、機関の種類や使う場所の気温などによって、ちょうど良い粘り具合が変わってきます。粘り具合が合っていない油を使うと、機関の動きが悪くなったり、傷んでしまうことがあります。

油の粘り具合は、数字で表されます。例えば、「10W-30」のように書かれており、数字が小さいほどサラサラした油、大きいほどねばねばした油になります。「W」の前の数字は低温時の粘り具合、「W」の後の数字は高温時の粘り具合を表しています。ですから、寒い場所では、低温でも固まらないサラサラした油、暑い場所では、高温でも油膜が保持できるねばねばした油が良いでしょう。

乗り物の説明書には、その乗り物に合った油の粘り具合が書いてあります。説明書をよく読んで、推奨されている粘り具合の油を使うことで、機関をしっかりと守り、長く乗り続けることができます。正しい油選びは、乗り物を良い状態で保つための第一歩です。

種類 特徴 使用上の注意
二行程機関用オイル 燃料と一緒に燃えても、燃えカスや炭素のかたまりができにくい。 二行程機関専用のオイルを使用する。四行程機関用オイルは使用不可。
四行程機関用オイル 二行程機関で使用すると、燃えカスや炭素のかたまりを作りやすい。 二行程機関には使用しない。
オイルの粘度 数字が小さいほどサラサラ、大きいほどねばねば。Wの前の数字は低温時、後の数字は高温時の粘度を表す。 粘度が合わないと機関の動きが悪くなったり、傷む。説明書に推奨粘度が記載されている。

混合方法

混合方法

混合燃料を作る作業は、正しい手順で行わないと機械の故障に繋がることがあるので、正確な手順を踏むことが大切です。まず、混合燃料を作るための専用の容器を用意します。この容器には目盛りが付いているので、燃料と油の量を正確に測ることができます。

先に燃料を入れます。燃料を先に入れる理由は、油を先に入れてしまうと、容器の内側に油が付着し、後から入れる燃料の量が正確に測れなくなってしまうからです。決められた量の燃料を入れたら、次に油を入れます。油の種類は機械によって指定されているので、必ず指定された種類の油を使い、決められた量を正確に測って入れます。

燃料と油を容器に入れたら、容器の蓋をしっかり閉めます。蓋がしっかり閉まっていないと、混ぜている最中に中身が漏れてしまう可能性があります。蓋を閉めたら、容器を傾けたり回したり、上下に振ったりして、燃料と油が均一に混ざるようにしっかりと混ぜ合わせます。混ぜ方が足りないと、機械の動きが悪くなったり、故障の原因になることがあります。

混ぜ合わせた燃料は、すぐに機械の燃料タンクに入れましょう。作ってから時間が経つと、燃料と油が分離してしまうことがあるので、作ってすぐに使うのが理想です。もしすぐに使わない場合は、直射日光の当たらない、風通しの良い、涼しい場所に保管し、なるべく早く使い切るようにします。保管場所の温度が高すぎると、燃料が劣化しやすくなるので注意が必要です。

手順 詳細 注意点
1. 容器の準備 混合燃料を作るための専用の容器を用意する。
2. 燃料を入れる 決められた量の燃料を先に入れる。 油を先に入れると、燃料の量が正確に測れなくなる。
3. 油を入れる 指定された種類の油を、決められた量入れる。 機械によって指定された油の種類と量を守る。
4. 混ぜ合わせる 容器の蓋をしっかり閉めて、燃料と油が均一に混ざるようにしっかりと混ぜる。 混ぜ方が足りないと、機械の故障の原因になる。
5. 燃料タンクに入れる 混ぜ合わせた燃料は、すぐに機械の燃料タンクに入れる。
6. 保管 すぐに使わない場合は、直射日光の当たらない、風通しの良い、涼しい場所に保管し、なるべく早く使い切る。 保管場所の温度が高すぎると、燃料が劣化しやすくなる。

最近の混合方式

最近の混合方式

近頃の二輪車では、燃料と潤滑油を混ぜて使う仕組みが様々あります。中でも広く使われているのが「分離給油」と呼ばれる方式です。これは、燃料となるガソリンと潤滑油であるオイルを別々の容器に入れておき、機械が自動で混ぜてエンジンに送る仕組みです。燃料とオイルを混ぜる割合は、エンジンの回転数やアクセルの開き具合に応じて常に変化し、最適な状態を保ちます。この調整を行うのが「計量オイルポンプ」と呼ばれる装置です。 このポンプのおかげで、必要な時に必要なだけオイルを供給できるので、燃料の無駄な消費を抑え、排気ガスも綺麗にする効果があります。

昔ながらの混合方式では、ガソリンとオイルを自分で混ぜる必要がありましたが、分離給油方式ではオイルを補充するだけで済みます。これは手間が省ける大きな利点です。しかし、便利な反面、注意も必要です。もしオイルポンプが壊れてオイルの供給が止まると、エンジンが焼き付いてしまう恐れがあります。これは、エンジン内部の金属同士が摩擦で高温になり、溶けてくっついてしまう現象です。ですから、分離給油方式の二輪車では、オイルポンプの状態を定期的に点検することが大切です。また、分離給油方式だからといって、どんなオイルでも使えるわけではありません。二行程エンジン専用のオイルを使う必要がある点は、従来の混合方式と同じです。適切なオイルを使うことで、エンジンを長く良い状態で保つことができます。

項目 説明
分離給油方式 燃料(ガソリン)と潤滑油(オイル)を別々の容器に入れ、機械が自動で最適な割合で混ぜてエンジンに送る方式。
計量オイルポンプ エンジンの回転数やアクセルの開き具合に応じて、燃料とオイルの混合割合を調整する装置。
分離給油のメリット オイル補充の手間が省ける、燃料の無駄な消費を抑える、排気ガスを綺麗にする。
分離給油の注意点 オイルポンプの故障によるエンジン焼き付きのリスクがあるため、定期的な点検が必要。二行程エンジン専用のオイルを使用する必要がある。
混合方式 ガソリンとオイルを自分で混ぜる従来の方式。

注意点

注意点

混ぜ合わせた燃料を使うときには、いくつか気を付けることがあります。まず、混ぜ合わせた燃料は、4行程の機械には使えません。4行程の機械に混ぜ合わせた燃料を使うと、機械が壊れることがあります。

混ぜ合わせた燃料は、蒸発しやすく、火が付きやすいので、火の気がある場所での扱いは避けるべきです。また、保管場所にも注意が必要です。子供の手に届かない場所に保管しなければなりません。たとえば、高い場所に置いたり、鍵のかかる場所に保管したりするなどの工夫が必要です。

混ぜ合わせた燃料は、長い間置いておくと劣化し、機械の性能に悪い影響を与えることがあります。作った後は、できるだけ早く使い切るようにしましょう。もし長い間置いておく場合は、密閉できる容器に入れて、日光の当たらない涼しい場所に保管するようにしてください。

燃料を混ぜる割合は、機械の種類によって異なります。機械の説明書をよく読んで、正しい割合で混ぜるようにしてください。間違った割合で混ぜると、機械の性能が低下したり、故障の原因となることがあります。混ぜる際には、専用の容器を使い、こぼさないように注意しましょう。また、混ぜた後は、容器に何の燃料をどのくらいの割合で混ぜたか、混ぜた日付を記入しておくと、次回使う際に便利です。

安全のためにも、混ぜ合わせた燃料を取り扱う際には、保護眼鏡や手袋を着用することをお勧めします。もし皮膚に付いてしまった場合は、すぐに石鹸と水で洗い流してください。目に入った場合は、きれいな水で十分に洗い流し、すぐに医師の診察を受けてください。

項目 注意点
使用できる機械 2ストロークエンジンのみ(4ストロークエンジンには使用不可)
危険性 引火性が高い
保管場所
  • 火の気のない場所
  • 子供の手の届かない場所(高い場所、鍵のかかる場所など)
  • 日光の当たらない涼しい場所
  • 密閉できる容器
使用期限 できるだけ早く使い切る
混合割合 機械の説明書に従う
混合時の注意点
  • 専用の容器を使用
  • こぼさないように注意
  • 燃料の種類、割合、日付を容器に記入
安全対策
  • 保護眼鏡、手袋を着用
  • 皮膚に付着した場合は、石鹸と水で洗浄
  • 目に入った場合は、水で洗浄後、医師の診察を受ける