多数歯トロコイドオイルポンプ:車の心臓を支える潤滑の秘密
車のことを知りたい
『多数歯トロコイドオイルポンプ』って、普通の歯車ポンプと何が違うんですか?
車の研究家
いい質問だね。普通の歯車ポンプは歯車の噛み合いで送る量が決まるけど、トロコイドポンプは特殊な形の歯車を使うことで、薄い歯車でもたくさんの油を送ることができるんだよ。
車のことを知りたい
薄い歯車でたくさんの油を送れるって、どういうことですか?
車の研究家
トロコイドポンプは、少し変わった形の歯車を組み合わせ、回転させることで、ポンプ内の油を送る空間の大きさをうまく変化させているんだ。そのおかげで、薄い歯車でも多くの油を送ることができるんだよ。また、この仕組みは、回転が滑らかで、振動が少ないという利点もあるんだ。
多数歯トロコイドオイルポンプとは。
車の部品である『多数歯トロコイドオイルポンプ』について説明します。このポンプは、かみ合う歯の形が変わることで、エンジンオイルを送り出す仕組みになっています。
仕組みとしては、波のような形の歯を持つ内側の歯車(インナーギヤ)の周りに、内側の歯車よりも歯の数が多い、少し変わった形の歯車(ローター)を、中心からずれた位置に取り付けています。内側の歯車を回転させると、歯車の間の空間の大きさが変化し、エンジンオイルを送り出すことができます。
このポンプは、歯車の厚みが薄くても多くのオイルを送り出すことができるため、多くの車に使われています。内側の歯車は、エンジンのクランクシャフトの先端で回転させています。ポンプの外側の部分は、エンジンの前側を覆うカバーを兼ねていることが多いです。
現在主流なのは、内側に多数の歯を持つタイプのポンプですが、以前は『内接4葉5節トロコイドポンプ』と呼ばれる種類のポンプが多く使われていました。
仕組み
車は、様々な部品が組み合わさって動いています。その中で、エンジンを滑らかに動かすために欠かせないのが、多数歯トロコイドオイルポンプです。これは、特殊な形の歯車を使ってエンジンオイルを送り出す、いわば車の心臓部とも言える重要な部品です。
このポンプの心臓部は、内側歯車と外側歯車と呼ばれる二つの歯車で構成されています。中心に位置する内側歯車の周りを、外側歯車が回転します。外側歯車の歯の数は内側歯車よりも一つ多く、この歯数の違いが巧妙な油の送り出しを生み出します。外側歯車が内側歯車の周りを回ることで、二つの歯車の間に小さな空間が生まれます。この空間が、エンジンオイルを閉じ込める部屋の役割を果たすのです。
外側歯車が回転し続けると、この空間の大きさが変化します。空間が広がると、エンジンオイルが吸い込まれ、反対に空間が狭まると、エンジンオイルが押し出されます。この繰り返しが、ポンプとしての働きを生み出し、エンジンオイルを循環させているのです。まるで私たちの心臓が血液を全身に送り出すように、オイルポンプはエンジンオイルをエンジンの隅々まで送り届け、円滑な動きを支えています。
この多数歯トロコイドオイルポンプは、複雑な歯形が特徴です。この特殊な歯形のおかげで、少ない回転数でも効率的にオイルを送り出すことができます。また、振動や騒音を抑える効果もあり、快適な運転を実現するためにも重要な役割を果たしています。まさに、縁の下の力持ちと言えるでしょう。
部品名 | 特徴 | 役割 |
---|---|---|
多数歯トロコイドオイルポンプ | 特殊な形の歯車 外側歯車の歯数は内側歯車より一つ多い 複雑な歯形 |
エンジンオイルを送り出す エンジンオイルをエンジンの隅々まで送り届ける 少ない回転数でも効率的にオイルを送り出す 振動や騒音を抑える |
内側歯車 | 中心に位置する | 外側歯車と合わせてオイルを送り出す空間を作る |
外側歯車 | 内側歯車の周りを回転する 内側歯車より歯の数が多い |
内側歯車と合わせてオイルを送り出す空間を作る 回転することで空間の大きさを変化させ、オイルを吸い込んだり押し出したりする |
特徴
多数歯トロコイド式油送り機は、薄い歯車を使っても多くの油を送ることができるのが大きな特長です。これは、歯車の特別な形と、内側の歯車と外側の歯車の歯数の組み合わせによるものです。歯数が一つだけ違うことで、噛み合わせが滑らかになり、油を効率よく圧縮して送ることができます。
この油送り機に使われている歯車は、トロコイド曲線という複雑な曲線を描いた形をしています。この特別な形によって、内側の歯車と外側の歯車がぴったりと組み合わさり、少ない隙間で油を閉じ込めることができます。このため、薄い歯車でも多くの油を送り出すことが可能になるのです。また、内側の歯車と外側の歯車の歯数が一つだけ違うことで、歯車の回転が滑らかになり、振動や騒音も抑えられます。
多数歯トロコイド式油送り機のもう一つの特長は、小型化できることです。多くの油を送ることができるため、従来の油送り機に比べて小型化が可能になります。これは、車を作る上での設計の自由度を高めることに繋がります。限られたスペースに様々な部品を配置する必要がある車にとって、油送り機のような重要な部品が小型化できることは大きなメリットです。
さらに、この油送り機は耐久性にも優れています。歯車の噛み合わせが滑らかで、摩擦が少ないため、摩耗が少なく長持ちします。また、油を送る能力も長期間安定しています。車は、様々な環境で使用されるため、油送り機には高い信頼性が求められます。多数歯トロコイド式油送り機は、このような厳しい要求にも応えることができ、車の心臓部を支える重要な部品として活躍しています。
特長 | 詳細 |
---|---|
高油量送出 | 薄い歯車でも多くの油を送ることができる。トロコイド曲線と歯数差1による滑らかな噛み合わせで、油を効率よく圧縮・送出。 |
小型化 | 高油量送出により、従来型より小型化が可能。車の設計自由度向上に貢献。 |
高耐久性 | 滑らかな噛み合わせで摩擦・摩耗を低減。長寿命化と安定した油送能力を実現。 |
種類
車の心臓部ともいえるエンジンには、潤滑油を循環させる油圧ポンプが不可欠です。その油圧ポンプの中でも、現在主流となっているのが内接多数歯トロコイドポンプです。
トロコイドポンプとは、内側と外側の2つの歯車がかみ合って回転することで、油を送り出す仕組みのポンプです。歯車の形が特徴的で、内側の歯車は外側の歯車よりも小さく、そして少ない歯数となっています。外側の歯車は内側の歯車を包み込むような形で配置され、回転することで油を閉じ込め、圧力をかけて送り出すのです。
以前は内接4葉5節トロコイドポンプが主流でした。これは、内側の歯車が4つの歯を持ち、外側の歯車が5つの歯を持つ構造です。しかし、技術の進歩とともに、より多くの歯を持つ多数歯トロコイドポンプが主流となりました。多数歯タイプは、4葉5節に比べて歯の数が多く、かみ合いも細かくなっています。このため、油の流れがより滑らかになり、脈動が少なく安定した油圧を生み出すことができるのです。また、同じ大きさでもより多くの油を送り出すことができ、エンジンの性能向上に貢献しています。
多数歯トロコイドポンプは、4葉5節に比べて騒音も少なく、快適な運転環境を実現する上でも重要な役割を果たしています。このように、時代の変化とともに油圧ポンプの技術も進化し、より効率的で高性能、そして静粛性も高いものへと発展を続けているのです。
項目 | 4葉5節トロコイドポンプ | 多数歯トロコイドポンプ |
---|---|---|
歯数 | 内側:4歯、外側:5歯 | 内側:4歯以上、外側:5歯以上 |
油の流れ | 脈動あり | 滑らか、脈動少 |
油圧 | 安定性低い | 安定性高い |
吐出量 | 少ない | 多い |
騒音 | 大きい | 小さい |
主流 | 以前は主流 | 現在は主流 |
配置と駆動
自動車の心臓部である原動機を支える重要な要素の一つに、潤滑油の循環があります。この循環を担うのが潤滑油を送り出すポンプで、多くの場合、多数歯トロコイド型式が採用され、原動機の回転軸であるクランク軸の先端に設置されています。クランク軸は原動機の動力を伝える主要部品であり、その回転力を利用してポンプを駆動しているのです。
ポンプ本体は、原動機の前部を覆う前部覆いと一体化されていることが一般的です。原動機の内部は限られた区画に様々な部品が密集しているため、装置全体の大きさを抑える設計は大変重要です。一体型にすることで、部品点数を減らし、配置の自由度を高めるだけでなく、原動機全体の小型化にも繋がります。
クランク軸の回転と連動してポンプが駆動することで、潤滑油は絶えず原動機の隅々まで送られます。潤滑油は、原動機の各部品の摩擦を減らし、摩耗を防ぐだけでなく、冷却効果も担っています。潤滑油が適切に循環することで、原動機は滑らかに動き、性能を維持し、寿命を延ばすことができるのです。
ポンプの配置場所も重要です。クランク軸先端は、回転力が直接得られる場所であるため、ポンプの駆動に最適な位置と言えるでしょう。また、前部覆いへの組み込みは、原動機の前面に潤滑油供給機構を集約することを可能にし、整備性も向上させています。このように、多数歯トロコイドポンプの配置と駆動方式は、原動機の円滑な動作に不可欠な要素となっています。
役割と重要性
車は、私たちの生活に欠かせない移動手段となっています。そして、その心臓部であるエンジンを支える重要な役割を担っているのがエンジンオイルと、それを循環させるオイルポンプです。
エンジンオイルは、エンジン内部をくまなく巡り、様々な働きをしています。まず、金属同士の摩擦を減らし、部品の摩耗を防ぐ潤滑作用があります。エンジン内部は高温になるため、熱を奪い冷却する働きも担っています。さらに、エンジン内部で発生する汚れを洗い流す洗浄作用や、錆を防ぐ防錆作用もあります。これら一つ一つの働きが、エンジンの正常な動作に欠かせないのです。
この重要なエンジンオイルを循環させるのがオイルポンプです。多くの車種で採用されている多数歯トロコイドオイルポンプは、小さな歯車を組み合わせることで、安定してオイルを送り出すことができます。もしオイルポンプが故障し、オイルが循環しなくなると、エンジン内部の摩擦が急激に増大します。その結果、エンジンが焼き付いてしまい、大きな修理が必要になることもあります。まさにオイルポンプは、車の心臓部を支える縁の下の力持ちと言えるでしょう。
車は、定期的な点検と適切な部品交換が不可欠です。エンジンオイルの量や汚れ具合を定期的に確認し、規定量を維持することはもちろん、オイルポンプの動作音にも気を配る必要があります。異音を感じたら、すぐに専門家に見てもらうことが大切です。日頃からオイルとオイルポンプの状態に気を配り、適切な整備を行うことで、車の寿命を延ばし、安全で快適な運転を続けることができるのです。