点火プラグの自己清浄作用について
車のことを知りたい
先生、「自己清浄性」って、つまり点火プラグが自分で汚れを落とすってことですよね?でも、どうやって汚れを落とすんですか?
車の研究家
そうだね。簡単に言うと、自分で汚れを落とす機能のことだよ。高温にすることで、汚れを燃やして落とすんだ。点火プラグの温度を高く保つことで、カーボンなどの汚れが自然に燃え尽きるんだよ。
車のことを知りたい
なるほど!燃やすんですね。でも、温度が高すぎると良くないって書いてありましたよね?
車の研究家
その通り。高すぎる温度は、異常燃焼の原因になるんだ。だから、適切な温度(自己清浄温度)を保つことが重要なんだよ。この温度は650℃くらいと言われていて、点火プラグを選ぶ時の目安になるんだよ。
自己清浄性とは。
スパークプラグの”自分で綺麗になる機能”について説明します。スパークプラグの先端や、エンジンの燃焼室の中にある部品には、燃えカスが付着します。これを”自分で綺麗になる機能”で自然に取り除くことができます。
燃料が濃すぎたり、エンジンが冷えたまま長時間運転したり、エンジンオイルが燃焼室に入り込んだりすると、スパークプラグの先端や周りの部品に、炭素を中心とした燃えカスが溜まります。この燃えカスは、主に燃焼によって取り除かれます。
スパークプラグの先端が、自分で綺麗になるために必要な温度は約650℃で、これを”自分で綺麗になる温度”と呼びます。スパークプラグを選ぶ際には、先端がこれ以上の温度になるように選びます。しかし、先端の温度が高すぎると、ノッキングやデトネーションといった異常燃焼を起こしてしまうので、注意が必要です。
はじめに
車は、燃料を燃やして力を得ていますが、この燃焼を起こすためには、燃料と空気の混合気に火をつけなければなりません。その大切な役割を担うのが点火栓です。点火栓は、先端に電極があり、その電極間に高電圧をかけることで火花を飛ばし、混合気に点火します。これにより、エンジンの中で爆発が起こり、車が走ることができるのです。
点火栓は、エンジンの中で非常に過酷な環境に置かれています。高温高圧の状況に常にさらされているため、様々な要因で性能が落ちてしまうことがあります。性能が落ちると、エンジンの始動が悪くなったり、力が出なくなったり、燃費が悪くなったりするなど、車の走りに様々な悪影響が出ます。
点火栓の性能低下の要因の一つに、電極への堆積物付着があります。堆積物とは、燃料に含まれる不純物や、エンジンオイルの燃えカスなどが電極に付着したものです。これらの堆積物は、火花が飛びにくくする原因となります。火花が弱くなったり、飛んだり飛ばなかったりするようになると、エンジンの燃焼が不安定になり、最終的にはエンジンが止まってしまうこともあります。
そこで重要になるのが点火栓の「自己清浄性」です。自己清浄性とは、点火栓自身が高温になることで、電極に付着した堆積物を燃やし、除去する機能のことです。 一般的に、点火栓の温度が450度を超えると、堆積物は自然に燃え始めます。この温度を「自己清浄温度」と呼びます。自己清浄温度に達することで、堆積物が溜まりにくくなり、点火栓の性能を維持することができます。
自己清浄温度に達しない運転を続けると、堆積物が除去されずに溜まり続け、点火栓の不調につながります。例えば、短距離運転ばかりしていると、エンジンが十分に温まらず、自己清浄温度に達しません。そのため、定期的に高速道路などを走行し、エンジンを高回転まで回して点火栓を高温にすることで、堆積物を除去し、点火栓の性能を保つことが大切です。
堆積物の発生原因
火花を飛ばす部品である点火栓の電極や、電気を遮る絶縁体には、エンジン内部で燃料が燃える時に様々な物質が付着することがあります。この付着物、つまり堆積物は、燃料が完全に燃え切らない不完全燃焼や、潤滑油であるエンジンオイルが燃焼室に入り込むオイル上がりなどが主な原因で発生します。燃料と空気の適切な混合比率が崩れて燃料が濃くなりすぎると、燃え残りが生じやすくなります。また、エンジンが温まりきらないうちに低回転で長時間運転すると、これもまた燃焼が不完全になり堆積物が発生しやすくなります。
さらに、エンジンオイルが燃焼室に上がってくるオイル上がりも堆積物の大きな原因となります。ピストンとシリンダーの間にあるピストンリングの摩耗や劣化、バルブステムシールと呼ばれる部品の不具合などによって、エンジンオイルが燃焼室に入り込んで燃えてしまい、堆積物となるのです。オイル上がりは、白っぽい排気煙やオイルの消費量の増加といった症状を伴うため、比較的容易に気づくことができます。
これらの堆積物は、点火栓の火花を弱めたり、火花が飛ばなくなったりする原因となります。その結果、エンジンの始動不良や出力低下、燃費の悪化、排気ガスの悪化など、様々な不調につながります。最悪の場合、エンジンが停止してしまうこともあります。堆積物を放置すると、エンジンに深刻なダメージを与える可能性があるため、定期的な点検と適切なメンテナンスが必要です。点火栓の交換やエンジンオイルの管理、燃料系統のクリーニングなどによって堆積物の発生を抑え、エンジンの調子を良好に保つことが重要です。
原因 | 詳細 | 症状 | 対策 |
---|---|---|---|
不完全燃焼 | 燃料と空気の混合比率の崩れ、低回転での長時間運転 | 堆積物の発生 | 点火栓の交換、エンジンオイル管理、燃料系統のクリーニング、定期点検 |
オイル上がり | ピストンリングの摩耗・劣化、バルブステムシールの不具合 | 白っぽい排気煙、オイル消費量の増加 |
自己清浄作用とは
自動車のエンジン内部で火花を散らし、混合気を燃焼させる重要な部品である点火栓には、自己清浄作用と呼ばれる優れた機能が備わっています。この機能は、点火栓の電極に付着するカーボンなどの堆積物を、自ら焼き払って除去する働きをします。
点火栓の電極は、エンジンが稼働するたびに高温にさらされます。この高温状態を利用して、自己清浄作用は発揮されます。具体的には、エンジン内部の燃焼熱によって点火栓の電極温度が上昇し、ある一定の温度に達すると、電極に付着した堆積物が燃え始めるのです。まるで薪ストーブの中で薪が燃えるように、堆積物は高温によって酸化し、灰となって消失します。
この自己清浄作用が効果的に働く温度は、一般的に約650度と言われています。これは、堆積物を燃焼させるのに十分な高温です。この温度に達すると、電極表面はまるで洗浄されたかのようにきれいになり、点火栓本来の性能を維持することができます。この650度という温度は、自己清浄温度と呼ばれ、点火栓の性能維持において重要な役割を果たしています。
自己清浄作用が正常に働かないと、電極に堆積物が蓄積し、火花が飛びにくくなる、あるいは火花が弱くなるといった問題が発生します。その結果、エンジンの始動不良や出力低下、燃費悪化につながる可能性があります。しかし、自己清浄作用によって電極が常に清浄に保たれることで、安定したエンジン性能と良好な燃費が維持されるのです。つまり、自己清浄作用は、自動車の円滑な走行に欠かせない重要な機能と言えるでしょう。
項目 | 説明 |
---|---|
機能名 | 自己清浄作用 |
目的 | 点火栓電極のカーボンなどの堆積物を除去 |
方法 | エンジン燃焼熱による電極温度上昇を利用し、堆積物を燃焼 |
自己清浄温度 | 約650度 |
効果 | 電極の清浄化、安定したエンジン性能と良好な燃費の維持 |
不具合発生時の影響 | エンジンの始動不良、出力低下、燃費悪化 |
点火プラグの熱価
火花を飛ばし、混合気に点火する重要な部品、点火栓。その性能を左右する要素の一つに「熱価」があります。熱価とは、点火栓が燃焼室で受けた熱をどのくらい速く逃がすかを示す数値です。この数値は、点火栓の温度を適切な範囲に保つために非常に重要です。
点火栓の温度は、理想的には500度から800度の間で保たれる必要があります。この温度帯を自己清浄温度と呼びます。自己清浄温度では、燃焼によって生じる煤などの汚れが自然に焼き切れるため、点火栓の性能が維持されます。もし点火栓の温度が低すぎると、汚れが焼き切れずに蓄積し、失火の原因となります。逆に、温度が高すぎると、点火栓の先端が過熱し、異常燃焼を引き起こす可能性があります。これがいわゆる「過早着火」です。
熱価は数字で表され、数値が小さいほど熱を逃がしにくく、大きいほど熱を逃がしやすくなります。例えば、熱価5番の点火栓は、熱価7番の点火栓よりも熱を逃がしにくい特性を持っています。高出力の車や、高速道路を頻繁に利用する車は、燃焼室内の温度が高くなる傾向があるため、熱を逃がし易い高熱価の点火栓が適しています。一方、街乗りが中心で、低速走行が多い車は、熱価の低い点火栓を選ぶのが一般的です。
適切な熱価の点火栓を選ぶためには、車の説明書をよく読むか、整備士に相談するのが良いでしょう。間違った熱価の点火栓を使用すると、エンジンの性能低下や故障につながる可能性があります。点火栓は小さな部品ですが、車の調子を大きく左右する重要な部品です。定期的な点検と交換を心掛け、最適な熱価の点火栓を選ぶことで、快適な運転を楽しみましょう。
項目 | 説明 |
---|---|
熱価 | 点火栓が燃焼室で受けた熱をどのくらい速く逃がすかを示す数値。数字が小さいほど熱を逃がしにくく、大きいほど熱を逃がしやすくなる。 |
自己清浄温度 | 点火栓の理想的な温度帯(500~800℃)。この温度帯では、燃焼によって生じる煤などの汚れが自然に焼き切れる。 |
低温時の問題 | 汚れが焼き切れずに蓄積し、失火の原因となる。 |
高温時の問題 | 点火栓の先端が過熱し、異常燃焼(過早着火)を引き起こす可能性がある。 |
高熱価点火栓の適用例 | 高出力の車、高速道路を頻繁に利用する車など、燃焼室内の温度が高くなる傾向がある車。 |
低熱価点火栓の適用例 | 街乗りが中心で、低速走行が多い車。 |
熱価の選択方法 | 車の説明書をよく読むか、整備士に相談する。 |
熱価選択の注意点
火花を飛ばし、混合気に点火する役割を担う点火栓は、その性能を維持するために適切な温度管理が欠かせません。この温度管理の鍵となるのが点火栓の熱価です。熱価とは、点火栓が燃焼室の熱をどの程度逃がすかを示す数値で、数値が高いほど熱を逃がしやすく、低いほど熱を逃がしにくい性質を持ちます。
点火栓の温度は、自己清浄作用と呼ばれる重要な機能に影響します。自己清浄作用とは、点火栓の温度が適切な範囲にあることで、燃焼室内のすすや汚れが自然に焼き払われる現象です。この作用を効果的に働かせるためには、ある程度の高温状態を維持する必要があり、熱価の高い点火栓が有効です。熱価の高い点火栓は、燃焼熱を素早く逃がすため、点火栓先端の温度上昇を抑え、過度の加熱を防ぎます。
しかし、高すぎる熱価を選ぶと、別の問題が生じることがあります。熱価が高すぎると、点火栓の温度が低くなりすぎて、自己清浄作用が十分に働かなくなります。その結果、すすやカーボンが点火栓の先端に付着し、火花が飛ばなくなるくすぶりと呼ばれる現象が起こり、エンジン不調につながる可能性があります。
反対に、熱価が低すぎると、点火栓の温度が上がりすぎて、異常燃焼を引き起こす可能性があります。異常燃焼とは、混合気が正常に燃焼せず、点火栓の先端で異常な爆発を起こす現象です。これは、エンジン部品に深刻な損傷を与える可能性があるため、注意が必要です。
最適な熱価は、エンジンの種類や運転状況、使用燃料などによって異なります。愛車の取扱説明書や点火栓製造元の推奨値を参考に、適切な熱価の点火栓を選びましょう。自己清浄作用を適切に活用することで、点火栓の寿命を延ばし、エンジンの性能を最適な状態に維持することができます。
熱価 | 熱の逃がしやすさ | 点火栓温度 | 自己清浄作用 | 結果 |
---|---|---|---|---|
高い | 熱を逃がしやすいため、温度上昇を抑える | 低い | すすや汚れが焼き払われるが、高すぎると不十分になる | 過度の加熱を防ぐが、高すぎるとくすぶりが発生する |
低い | 熱を逃がしにくいため、温度上昇しやすい | 高い | 自己清浄作用が活発になりすぎる | 異常燃焼のリスクがある |
最適な熱価は、エンジンの種類や運転状況、使用燃料などによって異なり、取扱説明書や点火栓製造元の推奨値を参考にすべき。
まとめ
自動車の心臓部である原動機を動かすには、混合気に点火する火花が必要です。その火花を発生させる部品、点火栓の自己清浄作用について解説します。点火栓の先端にある電極は、高温にさらされることでカーボンなどの堆積物を焼き切り、常にきれいな状態を保つ必要があります。これが自己清浄作用です。自己清浄作用が正常に働かないと、火花が弱くなったり、飛んだりしなくなり、原動機の不調につながります。では、なぜ堆積物が発生するのでしょうか?主な原因は、燃料の不完全燃焼です。低速走行や短距離走行が多い場合、燃焼温度が低いため、燃え残りが電極に付着しやすくなります。また、古い原動機油の使用や、空気と燃料の混合比が適切でない場合も、堆積物の原因となります。
自己清浄作用を効果的に働かせるためには、適切な熱価の点火栓を選ぶことが重要です。熱価とは、点火栓がどの程度の熱を逃がすかを示す数値です。熱価が高いほど熱を逃がしやすく、低いほど熱を逃がしにくくなっています。低速走行が多い場合は、熱価の高い点火栓を選ぶことで、電極の温度を高く保ち、堆積物を焼き切りやすくします。逆に、高速走行が多い場合は、熱価の低い点火栓を選ぶことで、過熱を防ぎます。点火栓を選ぶ際には、自動車の取扱説明書をよく読んで、推奨されている熱価の点火栓を選びましょう。
点火栓は消耗品です。定期的な点検と交換が必要です。一般的には、2万から4万キロメートルごとに交換することが推奨されています。点検時には、電極の状態をよく観察し、堆積物が excessive である場合は、清掃するか交換しましょう。また、電極の摩耗具合も確認し、必要に応じて交換します。点火栓の交換は比較的簡単な作業ですが、自信がない場合は、整備工場に依頼しましょう。点火栓を適切に管理することで、原動機の性能を維持し、燃費を向上させ、快適で安全な運転を楽しむことができます。
項目 | 説明 |
---|---|
点火栓の役割 | 混合気に点火する火花を発生させる |
自己清浄作用 | 電極の高温によってカーボンなどの堆積物を焼き切り、常にきれいな状態を保つ機能 |
自己清浄作用不良時の影響 | 火花が弱くなったり、飛ばなくなり、エンジンの不調につながる |
堆積物の発生原因 | 燃料の不完全燃焼(低速走行、短距離走行、古いエンジンオイル、不適切な混合比など) |
熱価 | 点火栓が熱を逃がす度合いを示す数値。高熱価は熱を逃がしやすく、低熱価は熱を逃がしにくい。 |
熱価の選択方法 | 車種や走行条件に合わせ、適切な熱価を選択する。低速走行が多い場合は高熱価、高速走行が多い場合は低熱価。 |
点検と交換 | 点火栓は消耗品。2万~4万キロメートルごとに交換が推奨。電極の堆積物や摩耗を確認。 |