車の心臓、エンジンの秘密
車のことを知りたい
先生、エンジンの種類についてよくわからないのですが、教えていただけますか?
車の研究家
もちろんよ。エンジンは大きく分けて、外で熱を作る外燃機関と、中で燃料を燃やす内燃機関があるわ。自動車に使われているのは内燃機関ね。
車のことを知りたい
内燃機関の中でも種類があるんですか?
車の研究家
そうね。ピストンで動力を得るものと、タービンなどを回して動力を得るものがあるわ。自動車ではピストンを使ったものが一般的ね。ロータリーエンジンもピストンの一種と考えていいわ。
エンジンとは。
熱を動力に変える機械であるエンジンについて説明します。エンジンは、作動ガスと呼ばれる気体の膨張を利用して動力を生み出します。エンジンの種類は、熱を発生させる場所によって分けられます。熱源がエンジン外部にあるものを外燃機関、内部にあるものを内燃機関といいます。さらに、動力の取り出し方によって、ピストンを使って動力を得る容積型機関と、気体の運動エネルギーでタービンを回したり、ガスを噴射して動力を得る速度型機関があります。自動車に使われるエンジンは、内燃機関であり、かつピストンで動力を得る容積型機関です。回転するピストンを使うロータリーエンジンも、容積の変化を利用しているので、同じ種類に分類されます。エンジンには、基本的な出力と燃費の良さだけでなく、排ガスのきれいさや静かさ、そしてリサイクルのしやすさや製造時の省エネルギー化なども求められています。
動力発生の仕組み
車は、エンジンの中で燃料を燃やして力を生み出し、その力で走ります。 燃料を燃やすと、空気は温められて大きく膨らみます。この膨らむ力を使って、エンジンの中のピストンという部品を動かします。ピストンは上下に動き、その動きはクランクシャフトという部品に伝えられて、回転運動に変わります。この回転する力が、タイヤに伝わることで車は前に進むのです。
エンジンには、外で熱を作ってそれを利用するものと、エンジンの中で燃料を燃やして熱を作るものの二種類があります。外で熱を作るものを外燃機関、エンジンの中で熱を作るものを内燃機関といいます。蒸気機関車が外燃機関の代表例で、ボイラーで石炭を燃やし、その蒸気の力でピストンを動かします。一方、現在ほとんどの車に使われているのは内燃機関です。ガソリンや軽油といった燃料をエンジンの中で直接燃やし、その爆発力でピストンを動かします。
内燃機関の中でも、ガソリンエンジンとディーゼルエンジンが代表的です。ガソリンエンジンは、ガソリンと空気を混ぜたものに電気の火花を飛ばして爆発させます。ディーゼルエンジンは、空気を圧縮して高温にしたところに軽油を噴射して爆発させます。どちらも燃料が燃えてピストンが動き、クランクシャフトが回転する仕組みは同じです。
エンジンの性能は、燃料をどれだけ効率よく力に変えられるか、どれだけの力を出せるか、どれだけの有害な排気ガスを出すか、どれだけの騒音を出するかといった点で評価されます。 近年、様々な技術改良により、エンジンの燃費は向上し、排気ガスはきれいになり、静粛性も高まっています。より環境に優しく、より快適な車を作るために、エンジンの技術開発は日々進歩しています。
エンジンの種類
車を動かすための心臓部とも言える装置は、動力の源である機関です。この機関は、気体の膨張を利用して動力を発生させる仕組みの違いから、大きく二つの種類に分けられます。一つは容積型機関、もう一つは速度型機関です。
容積型機関は、密閉された空間の中の気体の体積を変化させることで力を生み出します。車の機関として広く使われているガソリン機関や軽油機関は、この容積型機関の代表例です。これらの機関では、筒の中でピストンが上下に動くことで気体の体積を変化させ、その動きを回転運動に変換して車輪に伝えています。ピストンを用いる機関以外にも、回転機関と呼ばれる少し変わった種類の機関も容積型機関に分類されます。回転機関は、三角おむすびのような形をした回転子が回転することで気体の体積を変化させ、同様に回転運動を生み出します。この回転機関は、複雑な構造ではありますが、小型軽量で、高い回転数まで滑らかに回るのが特徴です。
一方、速度型機関は、高温高圧の気体の流れによって羽根車を回転させることで動力を得る仕組みです。飛行機に使われる噴射機関や気体タービン機関などがこの種類に該当します。気体の流れの速度が速ければ速いほど、羽根車を回転させる力も大きくなり、より大きな動力を得ることができます。速度型機関は、容積型機関に比べて構造が単純であるという利点がありますが、排気ガスの温度が高いことや、低速回転時の効率が悪いことなど、いくつかの課題も抱えています。現在、車に搭載される機関としては、ピストンを用いる容積型の燃焼機関が主流ですが、環境問題への関心の高まりを受けて、電気機関や燃料電池など、新しい動力源の開発も盛んに行われています。
出力と燃費
車を動かす心臓部である原動機、その性能を語る上で欠かせないのが出力と燃費です。この二つの要素は、車の使い勝手や維持費に大きく関わってきます。出力とは、原動機がどれだけの力を出せるかを示す尺度です。単位は馬力や仕事率で表され、数値が大きいほど力強い走りを実現します。大きな荷物を運んだり、急な坂道を登ったりする際に、高い出力は頼もしい味方となります。一般的に、原動機の大きさが大きくなるほど、出力も高くなります。一方、燃費とは、燃料をどれだけ有効に使えるかを示す尺度です。単位は燃料1単位あたりの走行距離で表され、数値が良いほど燃料消費が少なく、経済的です。燃費が良い車は、燃料代を抑えることができるため、家計にも優しいと言えるでしょう。近年、様々な技術革新により、出力と燃費の向上は目覚ましいものがあります。例えば、二つ以上の異なる原動機を組み合わせる技術や、排気量を小さくしつつ過給器で空気を押し込む技術など、様々な工夫が凝らされています。これらの技術により、より少ない燃料でより大きな力を生み出す原動機が開発され、環境性能と動力性能の両立が実現しています。かつては、出力が高い車は燃費が悪く、燃費が良い車は出力が低いのが一般的でした。しかし、技術の進歩により、高い出力と優れた燃費を両立する車が増えてきており、車の選択肢も広がっています。車を選ぶ際には、自身の使用用途や目的に合わせて、出力と燃費のバランスを考慮することが大切です。
項目 | 説明 | メリット |
---|---|---|
出力 | 原動機がどれだけの力を出せるかを示す尺度。単位は馬力や仕事率。 | 数値が大きいほど力強い走りを実現。大きな荷物を運んだり、急な坂道を登ったりする際に有利。 |
燃費 | 燃料をどれだけ有効に使えるかを示す尺度。単位は燃料1単位あたりの走行距離。 | 数値が良いほど燃料消費が少なく、経済的。 |
技術革新 | 異なる原動機を組み合わせる技術、排気量を小さくしつつ過給器で空気を押し込む技術など。 | より少ない燃料でより大きな力を生み出す原動機が開発され、環境性能と動力性能の両立が実現。 |
排気と騒音
自動車の排気ガスと騒音問題は、環境保護と人々の暮らしを守る上で避けては通れない課題です。排気ガスには、窒素酸化物や粒子状物質といった有害な物質が含まれており、大気を汚染し、人の健康や生態系に悪影響を及ぼします。特に窒素酸化物は、光化学スモッグの原因物質の一つであり、呼吸器系の疾患を悪化させる恐れがあります。粒子状物質はさらに小さく、肺の奥深くまで入り込み、呼吸器疾患や循環器疾患のリスクを高めると言われています。これらの物質の排出量を減らすため、自動車メーカーは様々な技術開発に取り組んでいます。例えば、排気ガス中の有害物質を浄化する触媒装置の性能向上や、エンジン内部での燃料の燃え方を最適化することで、不完全燃焼を抑制する技術などが挙げられます。
また、自動車の騒音も、環境問題の一つとして深刻化しています。エンジンの回転音や排気音、タイヤと路面が擦れる音など、様々な音が発生し、近隣住民の安眠妨害や日常生活への支障となることがあります。騒音の大きさは、騒音レベルという単位で表され、数値が大きいほど大きな音であることを示します。長期間にわたって騒音にさらされると、ストレスや睡眠障害、集中力の低下などを引き起こす可能性があります。そのため、自動車メーカーは、エンジン本体の静音化や、排気系に消音装置を設けるなど、様々な対策を施しています。車体構造を工夫し、音を吸収する素材を使用するといった工夫も凝らされています。最近では、電気自動車やハイブリッド車など、モーター駆動を活用した静粛性の高い車も普及が進んでいます。
環境負荷を低減し、人々の健康を守るためには、自動車メーカーの技術革新だけでなく、私たち一人ひとりの運転マナーの向上も重要です。急発進や急ブレーキを控える、適切な速度で走行するなど、環境に配慮した運転を心がけることが大切です。
問題点 | 原因 | 影響 | 対策 |
---|---|---|---|
排気ガス | 窒素酸化物 | 大気汚染、光化学スモッグ、呼吸器疾患 | 触媒装置の性能向上、燃料の燃焼効率最適化 |
粒子状物質 | 呼吸器疾患、循環器疾患 | ||
騒音 | エンジン回転音、排気音、タイヤと路面摩擦音 | 安眠妨害、日常生活への支障、ストレス、睡眠障害、集中力低下 | エンジン本体の静音化、排気系に消音装置、吸音素材の使用、電気自動車・ハイブリッド車の普及 |
将来の技術
近年の自動車業界は、地球環境への配慮から、従来のガソリンエンジンに代わる新たな動力源の開発にしのぎを削っています。電気で走る電気自動車や、水素と酸素の化学反応で発電する燃料電池車などが、その代表例です。これらの車は、走行中に排気ガスを全く出さない、もしくは極めて少ないという大きな利点があります。そのため、大気汚染の軽減や地球温暖化対策への貢献が期待されています。
電気自動車は、充電式の電池に蓄えた電気でモーターを回し、車を走らせます。静かで力強い加速性能が特徴ですが、充電時間の長さや一度の充電で走れる距離の短さが課題です。また、充電設備の普及も不可欠です。より多くの場所で手軽に充電できるよう、充電スタンドの設置拡大が求められています。
燃料電池車は、水素と酸素を化学反応させて電気をつくり、モーターを回して走ります。水素を充填する時間はガソリン車とほぼ変わらず、一度の充填で電気自動車よりも長い距離を走ることができます。排出されるのは水だけなので、環境負荷が非常に低いのが魅力です。しかし、水素の製造や貯蔵、運搬にはコストがかかり、燃料電池車自体も高価です。さらに、水素ステーションなどのインフラ整備も遅れています。
これらの新しい技術が実用化され、広く普及するには、まだ多くの課題を乗り越える必要があります。同時に、従来のガソリンエンジンも、燃費向上や排気ガスの浄化といった改良が続けられています。近い将来、電気自動車や燃料電池車といった新技術と、改良されたガソリンエンジンを組み合わせたハイブリッド車が、自動車の動力源の主流になる可能性があります。環境性能と利便性を両立させた、より良い車を開発するために、自動車業界の技術革新は今後も続いていくでしょう。
動力源 | メリット | デメリット | 今後の展望 |
---|---|---|---|
電気自動車 | 静かで力強い加速、走行中の排気ガスゼロ | 充電時間の長さ、航続距離の短さ、充電設備の普及 | 充電スタンドの設置拡大 |
燃料電池車 | 充填時間短、航続距離長、排出物は水のみ | 水素製造・貯蔵・運搬コスト高、車両価格高、インフラ整備遅延 | 水素ステーションなどのインフラ整備 |
ガソリンエンジン | 既存技術、インフラ整備済 | 排気ガス、燃費 | 燃費向上、排気ガスの浄化、ハイブリッド化 |
環境への配慮
自動車は私たちの生活を便利にする一方で、地球環境に大きな影響を与えています。そのため、環境への負荷を減らすための技術開発がこれまで以上に重要になっています。
まず、燃料消費量を抑えることは、二酸化炭素の排出量削減に直結します。エンジンの燃焼効率を高める技術や、摩擦抵抗を減らす工夫、軽量化など、様々な角度から燃費向上への取り組みが進められています。ハイブリッド車や電気自動車といった、新たな動力源の開発もこの流れを加速させています。
次に、排気ガスによる大気汚染を防ぐことも重要です。有害物質を浄化する触媒技術の進化は目覚ましく、排出ガスは近年、大幅にクリーン化されています。しかし、より厳しい規制に対応するため、さらなる技術革新が求められています。
自動車を作る過程でも環境への配慮は欠かせません。製造過程で発生する廃棄物を減らし、部品のリサイクルを進めることで、資源の有効活用と環境負荷の低減を両立させることができます。また、製造に必要なエネルギーを減らすための省エネルギー化も重要な課題です。工場での太陽光発電や、製造工程の見直しなど、様々な工夫が凝らされています。
将来を見据えれば、植物由来の燃料や水素といった、二酸化炭素排出量が少ない燃料の活用も期待されています。これらの燃料を効率よく利用するためのエンジン開発や、燃料を供給するための社会基盤の整備も必要です。
地球環境を守るためには、自動車メーカーだけでなく、私たち一人ひとりが環境問題への意識を高め、持続可能な社会の実現に向けて協力していくことが大切です。