火花を飛ばす!イグニッションコイルの役割

火花を飛ばす!イグニッションコイルの役割

車のことを知りたい

イグニッションコイルって、一次コイルと二次コイルがあって電気を大きくするんですよね?でも、なんでコイルを二つ使う必要があるんですか?一つのコイルで電気を大きくするのではダメなんですか?

車の研究家

いい質問ですね。確かに一つのコイルでも電気を大きくすることはできます。しかし、イグニッションコイルでは、一次コイルと二次コイルを分けて使うことで、より効率的に高い電圧を作り出せるのです。

車のことを知りたい

効率的に、ですか?

車の研究家

そうです。一次コイルと二次コイルの巻き数の違いを利用することで、少ない電気を大きな電気に変えることができるのです。巻き数の比が大きいほど、電圧を高くすることができます。これは変圧器の原理と同じです。イグニッションコイルは、いわばエンジンのための小さな変圧器なのです。

イグニッションコイルとは。

車の点火装置の部品である『点火コイル』について説明します。点火コイルは、一次コイル、二次コイル、そして鉄心からできており、電圧を変える装置のような役割をしています。一次コイルは太い銅線を粗めに巻いて作られていますが、二次コイルは細い銅線を密に巻いて作られています。一次コイルに電気が流れると、その電圧を高めて、点火プラグに火花を飛ばします。点火プラグごとに点火コイルを直接取り付ける方法と、一つの点火コイルからそれぞれのシリンダー(エンジンの燃焼室)に電気を送る方法があります。

装置の仕組み

装置の仕組み

火花を飛ばして燃料に火をつける装置、点火装置で重要な働きをするのが点火コイルです。この点火コイルは、電気を大きくする道具である変圧器と似た仕組みでできています。変圧器の仕組みをまず見てみましょう。変圧器の中には鉄でできた芯があり、その周りに銅線が巻かれています。この銅線が巻かれたものをコイルと言い、変圧器には二つのコイルがあります。電気を送る方のコイルを一次コイル、電気を受け取る方のコイルを二次コイルと言います。一次コイルに電気を流すと、鉄の芯に磁力が生まれます。この磁力は二次コイルにも伝わり、二次コイルに電気を発生させます。ここで重要なのはコイルに巻かれた銅線の回数です。二次コイルの銅線の巻き数が一次コイルより多いと、受け取る側の電気の力が大きくなります。つまり電圧が高くなるのです。点火コイルもこれと同じ仕組みで、鉄の芯と一次コイル、二次コイルでできています。一次コイルには太い銅線が少しだけ巻かれていますが、二次コイルには細い銅線がぎっしりと巻かれています。そのため、一次コイルに電気を流すと、二次コイルには非常に高い電圧の電気が発生します。この高い電圧の電気が点火プラグに送られ、燃料に火をつけるための火花を飛ばすのです。火花が飛ばなければ車は走りません。小さな点火コイルですが、エンジンの動きに欠かせない重要な部品なのです。このように、点火コイルは電気を大きくする仕組みを巧りよく使って、エンジンの力強い動きを生み出しています。

火花発生の仕組み

火花発生の仕組み

自動車の心臓部であるエンジンは、ガソリンと空気の混合気に火花を飛ばすことで爆発力を生み出し、動力を得ています。この火花を発生させる重要な部品が点火プラグですが、そこに至るまでには、高電圧を作り出すイグニッションコイルの働きが欠かせません。

イグニッションコイルは、いわばエンジンのための「高電圧発生装置」と言えます。コイル内部には、巻数の異なる二つのコイルが重ねて巻かれており、一次コイルと呼ばれる巻数の少ないコイルに電流を流すと、二次コイルと呼ばれる巻数の多いコイルに高電圧が発生する仕組みになっています。この電圧は数万ボルトにも達し、家庭用電源の100倍以上にもなります。

発生した高電圧は、点火プラグへと送られます。点火プラグの先端には、中心電極と接地電極と呼ばれる二つの電極があり、高電圧によってこの電極間に強力な電場が生まれます。この電場は、エンジン内部の混合気に含まれる空気を電離させます。電離とは、電気的に中性だった空気がプラスとマイナスの電気を帯びた状態になることです。

電離した空気は電気を通すようになり、中心電極と接地電極の間で放電が起こります。これが、肉眼で見える火花です。この火花が、ガソリンと空気の混合気に点火し、爆発的な燃焼を引き起こします。この燃焼による圧力がピストンを押し下げ、エンジンを動かす力となるのです。このように、イグニッションコイルと点火プラグは、エンジンに火をつける「点火装置」として重要な役割を担っており、自動車の走行には欠かせない存在です。

火花発生の仕組み

取り付け位置の違い

取り付け位置の違い

火花を飛ばす装置である点火コイルの取り付け方には、大きく分けて二つの方法があります。一つは、それぞれの点火栓に直接コイルを取り付ける方法です。この方法を「ダイレクトイグニッション」と呼びます。ダイレクトイグニッションの仕組みは、各々の点火栓に独立したコイルが備え付けられているため、それぞれの点火栓に最適な高電圧を供給することができます。これにより、燃焼室での混合気の爆発力が上がり、エンジンの力強さが増し、燃費の向上も期待できます。また、高回転時にも安定した点火を維持できるため、滑らかな加速につながります。しかし、部品点数が多くなるため、製造費用がかさむという欠点もあります。

もう一つの方法は、一つのコイルから複数の点火栓に電気を送る方法です。これは「ディストリビューター式」と呼ばれ、以前の車に多く採用されていました。この方式では、分配器を用いて高電圧を各点火栓に順番に分配します。部品点数が少なく、構造も単純なため、製造費用を抑えることができます。しかし、点火時期の制御が複雑で、高回転時に点火のずれが生じやすく、エンジンの出力や燃費に悪影響を与える可能性があります。また、分配器の定期的な交換が必要となるなど、維持費用がかかる場合もあります。

このように、点火コイルの取り付け方にはそれぞれ長所と短所があります。車の種類やエンジンの特性、製造費用などを考慮して、最適な方法が選ばれているのです。近年の車は、出力向上や燃費改善、環境性能の向上を目指し、ダイレクトイグニッション方式を採用する傾向が強まっています。しかし、ディストリビューター方式も単純な構造で費用を抑えられるという利点があるため、一部の車種では現在も採用されています。

項目 ダイレクトイグニッション ディストリビューター式
取り付け方法 各点火栓に直接コイルを取り付け 1つのコイルから複数の点火栓に電気を送る
仕組み 各点火栓に独立したコイルが備え付けられ、最適な高電圧を供給 分配器を用いて高電圧を各点火栓に順番に分配
メリット
  • エンジンの力強さが増す
  • 燃費向上
  • 高回転時にも安定した点火
  • 滑らかな加速
  • 部品点数が少なく、構造が単純
  • 製造費用が安い
デメリット
  • 部品点数が多く、製造費用がかさむ
  • 点火時期の制御が複雑
  • 高回転時に点火のずれが生じやすい
  • エンジンの出力や燃費に悪影響
  • 分配器の定期的な交換が必要
  • 維持費用がかかる場合がある
採用傾向 近年の車に多く採用 以前の車に多く採用、現在も一部車種で採用

故障時の症状

故障時の症状

車が動かなくなる原因の一つに、火花を出す装置の不具合があります。この装置は、混合気に点火するための火花を発生させる重要な部品です。この装置が壊れると、様々な不具合が生じます。

まず、エンジンが始動しにくくなります。火花が弱かったり、出なかったりすると、混合気がうまく燃焼せず、エンジンがかかりにくくなります。また、かかったとしても、回転数が安定しないことがあります。これは、火花の発生が不安定なために、燃焼状態が一定しないことが原因です。

さらに、アクセルを踏んでも加速が悪くなることがあります。火花が弱いと、十分な出力が得られず、加速が鈍くなります。坂道や合流時など、力が必要な場面で特に顕著に感じられるでしょう。

燃費も悪化します。火花がうまく発生しないと、燃料が完全燃焼されずに無駄になってしまうため、燃費が悪くなります。また、排気ガスが黒くなることもあります。これは、燃焼しきれなかった燃料が、黒い煙となって排出されるためです。

これらの症状が現れた場合は、すぐに修理工場で点検してもらうことをお勧めします。放置しておくと、他の部品にも負担がかかり、さらなる不具合を引き起こす可能性があります。早期発見、早期対応が、大きな修理を防ぐための最良の方法です。装置の交換は比較的簡単な作業なので、早めに修理工場に相談しましょう。

症状 原因
エンジンが始動しにくい 火花が弱かったり、出なかったりする
エンジン回転数が安定しない 火花の発生が不安定
アクセルを踏んでも加速が悪い 火花が弱い
坂道や合流時など、力が必要な場面で特に加速が悪い 火花が弱い
燃費が悪化する 燃料が完全燃焼されない
排気ガスが黒くなる 燃焼しきれなかった燃料が排出される

交換時期の目安

交換時期の目安

始動装置の部品である点火コイルの寿命は、車の使われ方や周りの環境によって大きく変わりますが、一般的には5万から10万キロメートルが寿命と言われています。たとえば、毎日長い距離を走る車や、高温多湿な地域で使用される車は、点火コイルへの負担が大きいため、寿命が短くなる傾向があります。逆に、週末にしか乗らない車や、気温変化の少ない地域で使用される車は、点火コイルの寿命が長くなる傾向があります。

車に定期的に行う点検の際に、整備士に点火コイルの状態をチェックしてもらうことは、とても大切です。点火コイルは、エンジンが正常に動くために必要な部品であり、不具合があるとエンジンの性能が低下したり、燃費が悪くなったりする可能性があります。また、最悪の場合、エンジンがかからなくなることもあります。定期点検では、点火コイルの外観に損傷がないか、電気抵抗値に異常がないかなどを調べます。整備士は、点検結果に基づいて、点火コイルの交換が必要かどうかを判断します。

走行距離に関わらず、点火コイルの不具合を示す兆候が見られた場合は、すぐに交換を検討する必要があります。点火コイルの不具合の兆候としては、エンジンの始動不良、加速不良、アイドリングの不安定、燃費の悪化などがあります。これらの兆候が見られた場合は、放置せずにすぐに整備工場に持ち込み、点火コイルの状態を点検してもらいましょう。これらの兆候は、他の部品の不具合が原因である場合もありますが、点火コイルが原因である可能性も高いです。早めに対処することで、大きな故障を防ぎ、安全な運転を続けることができます。

適切な整備をすることで、エンジンの性能を保ち、安全な運転を続けることができるので、日頃から車の状態に気を配り、少しでも異常を感じたら、すぐに整備工場に相談することをお勧めします。点火コイルは消耗品であり、いずれは交換が必要になります。定期的な点検と適切な交換時期を守ることで、車の寿命を延ばし、安全で快適な運転を楽しむことができます。

項目 内容
点火コイルの寿命 一般的に5万~10万キロ。使用環境(走行距離、気温、湿度)により変化。
点検の重要性 定期点検時に整備士による点火コイルの状態チェック(外観、電気抵抗値)が必要。エンジンの正常動作、燃費、始動に影響。
交換の必要性 走行距離に関わらず、不具合の兆候(始動不良、加速不良、アイドリング不安定、燃費悪化など)が見られた場合は、すぐに交換を検討。
適切な整備 定期点検と適切な交換時期を守ることで、エンジンの性能維持、安全運転、車の寿命延長につながる。

まとめ

まとめ

車は、様々な部品が組み合わさって動いています。その中で、エンジンを始動させるために欠かせない部品の一つが点火コイルです。点火コイルは、バッテリーの低い電気を高い電気に変換し、スパークプラグに送る役割を担っています。この高い電気によってスパークプラグが火花を散らし、混合気に点火することでエンジンが始動するのです。

点火コイルは、エンジンの性能を大きく左右する重要な部品です。点火コイルが正常に作動しないと、エンジンがうまく始動しなかったり、出力不足に陥ったり、燃費が悪化したりすることがあります。また、点火コイルの不具合は、排気ガス中の有害物質の増加にもつながる可能性があります。快適な運転を楽しむためには、点火コイルを良好な状態に保つことが重要です。

点火コイルを良好な状態に保つためには、定期的な点検と適切な整備が必要です。点火コイルは消耗品であり、使用していくうちに劣化していきます。そのため、定期的に点検を行い、劣化している場合は交換する必要があります。また、エンジンオイルの交換やエアフィルターの清掃など、他の部品の整備も合わせて行うことで、点火コイルへの負担を軽減し、寿命を延ばすことに繋がります。

日頃から車の状態に気を配ることも大切です。エンジンのかかり具合が悪くなったり、異音がするようになったり、燃費が悪化したりした場合は、点火コイルに異常が発生している可能性があります。このような症状に気づいたら、早めに整備工場で点検してもらいましょう。早期発見、早期対処することで、大きな故障を防ぎ、安全で快適な運転を長く楽しむことができます。愛車に長く乗り続けるためには、点火コイルの役割を理解し、適切な整備を行うことが不可欠です。

点火コイルの役割 点火コイルの重要性 点火コイルのメンテナンス 日頃の注意点
バッテリーの低い電気を高い電気に変換し、スパークプラグに送る。スパークプラグが火花を散らし、混合気に点火することでエンジンが始動。 エンジンの性能を大きく左右する。不具合があると、エンジン始動不良、出力不足、燃費悪化、排気ガス悪化などを引き起こす。 定期的な点検と適切な整備が必要。消耗品のため、劣化している場合は交換。エンジンオイル交換やエアフィルター清掃も合わせて行う。 エンジンのかかり具合、異音、燃費悪化などに注意。異常があれば早めに整備工場で点検。