ツインターボの仕組みと利点
車のことを知りたい
先生、「ツインターボ」って、ターボが2つ付いているって意味ですよね?どんな車に付いているんですか?
車の研究家
その通り!ターボチャージャーが2つ付いているエンジンだよ。 多くは、馬力が高い車、例えばスポーツカーや高級車などに使われているね。
車のことを知りたい
なんで2つも付ける必要があるんですか?1つで十分じゃないんですか?
車の研究家
1つより2つのターボを使うことで、エンジンの排気の流れをスムーズにして、より効率的にパワーを引き出すことができるんだ。ターボが1つの場合よりも、加速性能が向上するんだよ。
ツインターボとは。
『二つのターボ』とは、主に偶数気筒のエンジンに使われる仕組みのことです。排気を押し込むためのターボを二つ、並べて配置します。例えば、直列6気筒エンジンでは、排気が滑らかに入るように、1-2-3番気筒と4-5-6番気筒にそれぞれ独立したターボを付けます。V型エンジンの場合は、V字のそれぞれの片側にターボを一つずつ付けます。このとき、二つのターボは同じ性能のものを使います。
ツインターボとは
二つの巻き貝のような装置、それが「過給機」です。ツインターボとは、この過給機をエンジンに二つ備えた仕組みのことです。過給機は、エンジンの排気ガスを利用して小さな風車を回し、その風車とつながったもう一つの風車で空気を圧縮してエンジンに送り込みます。
通常のエンジンには過給機が一つしか付いていませんが、ツインターボではこの過給機を二つ搭載することで、より多くの空気をエンジンに送り込み、大きな力を生み出すことができます。これは、自転車の空気入れでタイヤに多くの空気を送り込むと、タイヤがパンパンに膨らむのと同じ原理です。エンジンに多くの空気を送り込むことで、より多くの燃料を燃焼させることができ、結果として大きな力につながります。
しかし、過給機にも弱点があります。エンジンの回転数が低い時、つまり車がゆっくり走っている時は、排気ガスの勢いも弱いため、風車が十分な速さで回らず、過給機の効果が十分に発揮されません。これは、アクセルを踏んでもすぐに加速しない、いわゆる「もたつき」を感じさせる原因となり、「過給機の遅れ」と呼ばれています。
ツインターボは、この「過給機の遅れ」を解消するための有効な手段の一つです。二つの過給機をうまく連携させることで、エンジンの回転数が低い時でも、一方の過給機が効果を発揮し、スムーズな加速を実現します。また、エンジンの回転数が高くなった時には、二つの過給機が同時に大きな力を生み出し、力強い走りを可能にします。
このように、ツインターボは、エンジンの性能を向上させるための優れた技術の一つと言えるでしょう。
項目 | 説明 |
---|---|
過給機 | エンジンの排気ガスを利用して空気を圧縮し、エンジンに送り込む装置。 |
ツインターボ | 過給機を二つ搭載したエンジン。 |
ツインターボのメリット | より多くの空気をエンジンに送り込み、大きな力を生み出す。 過給機の遅れを解消し、スムーズな加速を実現。 |
過給機の弱点 | エンジンの回転数が低い時、排気ガスの勢いが弱いため、効果が十分に発揮されない(過給機の遅れ)。 |
ツインターボの種類
自動車のエンジン出力向上方法として、排気ガスのエネルギーを利用してタービンを回し、その力で空気をエンジンに送り込む装置、過給機があります。過給機の中でもターボチャージャーを二つ備えたものをツインターボと呼び、その仕組みは大きく二つに分けられます。
一つ目は、並列型と呼ばれるものです。並列型ツインターボは、二つのターボチャージャーをエンジンに並べて配置し、排気ガスをそれぞれ独立して送り込みます。例えば、直列6気筒エンジンであれば、1-2-3番気筒と4-5-6番気筒というように、排気の出るタイミングが均等になるように二つのターボチャージャーを配置します。こうすることで、排気干渉によるターボチャージャーの効率低下を防ぎ、スムーズな過給効果を得ることが可能です。一般的に、排気量が大きく、高出力を目指すエンジンに採用されることが多いです。各気筒から出る排気ガスを無駄なく利用することで、全回転域において力強い加速を生み出します。
二つ目は、シーケンシャル型と呼ばれるものです。シーケンシャル型ツインターボは、エンジンの回転数に合わせて二つのターボチャージャーを順番に作動させます。低い回転数の領域では、小さなターボチャージャーだけを使い、素早い過給効果を得て、発進時から力強い加速を実現します。エンジン回転数が上がると、それに合わせて大きなターボチャージャーも作動させ、高回転域まで途切れることのない力強い出力を得ます。この方式は、ターボラグと呼ばれる、アクセルを踏んでからターボが効き始めるまでの時間差を小さくすることができ、スムーズな加速感を得られるという利点があります。特に、V型エンジンでは、左右それぞれのバンクに独立したターボチャージャーを配置する並列型ツインターボが採用されることが多いですが、シーケンシャル型も存在します。それぞれの方式には一長一短があり、エンジンの特性や目指す性能に合わせて最適な方式が選択されます。
項目 | 並列型ツインターボ | シーケンシャル型ツインターボ |
---|---|---|
ターボチャージャーの数 | 2 | 2 |
仕組み | 2つのターボチャージャーをエンジンに並べて配置し、排気ガスをそれぞれ独立して送り込む。 | エンジンの回転数に合わせて2つのターボチャージャーを順番に作動させる。 |
排気ガスの利用方法 | 各気筒から出る排気ガスを無駄なく利用 | 低回転: 小さなターボチャージャー、高回転: 大きなターボチャージャーも作動 |
メリット | 排気干渉による効率低下を防ぎ、スムーズな過給効果。全回転域で力強い加速。 | ターボラグを小さくし、スムーズな加速感。低回転から高回転まで力強い出力。 |
主な採用エンジン | 排気量が大きく、高出力を目指すエンジン | 様々なエンジン(V型エンジンにも採用例あり) |
例 | 直列6気筒エンジン(1-2-3番気筒と4-5-6番気筒にそれぞれターボチャージャーを配置) | – |
ツインターボの利点
二つのターボチャージャーを備えた、ツインターボエンジンは、様々な利点を持っています。最も大きな利点は、エンジンの出力が向上することです。空気はエンジン内で燃料と混合され、爆発することで車を走らせる力を生み出します。この時、より多くの空気をエンジンに送り込むことができれば、より多くの燃料を燃焼させることができ、結果としてエンジンの力はより大きくなります。ツインターボは、まさにこの空気の供給量を増やす働きをします。
また、ツインターボは、アクセルペダルを踏んでからエンジンの出力が上がるまでに時間差が生じる現象、いわゆる「ターボラグ」を軽減する効果も期待できます。ターボチャージャーは排気ガスの力を利用してエンジンに空気を送り込む装置ですが、排気ガスの量が十分でない低回転域では効果が薄く、ターボラグが生じやすい傾向にあります。ツインターボでは、二つのターボチャージャーを異なる回転域で動作させることで、低回転域から高回転域まで途切れることなくターボチャージャーの効果を得ることができ、スムーズな加速を可能にします。特に、大きな排気量や高い出力を持つエンジンでは、ターボラグが大きくなりやすい傾向があるため、ツインターボは有効な手段となります。
さらに、場合によっては燃費の向上に繋がることもあります。ツインターボは、エンジンの燃焼効率を高めることで、少ない燃料でより大きな出力を得ることを可能にします。これにより、特定の条件下では燃費の向上に貢献する場合があります。しかし、燃費は運転方法や走行状況にも大きく左右されるため、必ずしも燃費が向上するとは限りません。
利点 | 説明 |
---|---|
エンジンの出力向上 | より多くの空気をエンジンに送り込み、より多くの燃料を燃焼させることで、エンジンの出力を向上させる。 |
ターボラグの軽減 | 二つのターボチャージャーを異なる回転域で動作させることで、低回転域から高回転域まで途切れることなくターボチャージャーの効果を得ることができ、スムーズな加速を可能にする。 |
燃費の向上 | エンジンの燃焼効率を高めることで、少ない燃料でより大きな出力を得ることを可能にし、特定の条件下では燃費の向上に貢献する。ただし、必ずしも燃費が向上するとは限らない。 |
ツインターボの欠点
二つの巻き貝を持つ心臓、ツインターボ。高性能の走りを叶える魅力的な技術ですが、光があれば影があるように、いくつか弱点も抱えています。まず、お財布への負担が大きくなります。ターボを二つ備えるため、部品の数が増え、組み立てる手間も増えるため、どうしても製造費用が高くなってしまいます。また、複雑な構造であるがゆえに、不具合が起きた際の修理費用も高くつく傾向があります。
次に、エンジンの熱対策が重要になります。ツインターボは、より多くの空気をエンジンに送り込むため、燃焼による熱の発生量も増えます。この熱を逃がす工夫を怠ると、エンジンルームの温度が上がりすぎて、大切な車の心臓部を傷めてしまう可能性があります。そのため、冷却装置を強化するなど、熱対策をしっかりと行う必要があります。
さらに、エンジンの寿命にも影響が出ることがあります。高出力を実現するために、エンジン内部の部品には大きな力が加わります。この負荷が大きすぎると、部品の摩耗が早まり、エンジンの寿命が短くなる可能性も否定できません。まるで鍛え抜かれたスポーツ選手のように、高性能を発揮する代償として、体に負担がかかってしまうのです。
これらの弱点を克服するためには、適切な整備が欠かせません。定期的な点検や部品交換をしっかりと行うことで、ツインターボの寿命を延ばし、高性能を維持することができます。高性能と引き換えに、より一層の注意と愛情が必要となる、それがツインターボの持つもう一つの顔と言えるでしょう。
メリット | デメリット | 対策 |
---|---|---|
高性能の走り | 高価(製造費用、修理費用) | 適切な整備(定期点検、部品交換) |
エンジンの熱対策が必要 | 冷却装置の強化 | |
エンジンの寿命に影響 |
まとめ
二つの巻き貝のような部品を使うことで、車の心臓部である原動機をより力強く動かす仕組み、それが二連過給機です。二つの過給機を巧みに使うことで、原動機の働きを二倍にも三倍にも高めることが出来ます。まるで駿馬に羽を生やすが如く、車に力強い加速力と高い速さを与えてくれるのです。
しかし、良いことばかりではありません。二連過給機を取り付けるには、それなりの費用がかかります。さらに、複雑な仕組みであるがゆえに、維持管理にも手間と費用が掛かるのです。精密な部品で構成されているため、定期的な点検や部品交換は欠かせません。また、原動機の負担も大きくなるため、冷却装置の強化も必要になります。ちょうど、鍛え上げた体に栄養価の高い食事が必要なのと同じように、二連過給機付きの車は、より高度な冷却機構を必要とするのです。
二連過給機には、もう一つ課題があります。それは、アクセルを踏んでから加速するまでの時間差、いわゆる「待ち時間」です。一つの過給機であれば、待ち時間は比較的短いのですが、二つの過給機を同調させるには、より複雑な制御が必要になります。この制御のずれが、待ち時間を生む原因となるのです。近年の技術革新により、この待ち時間は大幅に短縮されましたが、それでも完全に無くすことは出来ていません。
このように二連過給機には、高い性能と引き換えに、費用や維持管理の手間、待ち時間といった欠点も存在します。速く力強い走りを求める一方で、費用や維持管理の手間を許容できるのか、総合的に判断することが大切です。車を選ぶということは、単に移動手段を選ぶだけでなく、自分の価値観や生活様式に合った相棒を選ぶことでもあるのですから。
メリット | デメリット |
---|---|
原動機の働きを高め、力強い加速力と高い速さを与える。 | 取り付け費用、維持管理費が高い。 |
精密な部品で構成され、定期的な点検や部品交換が必要。 | |
原動機の負担が大きく、冷却装置の強化が必要。 | |
アクセルを踏んでから加速するまでの時間差(待ち時間)がある。 |