クルマのリサイクル:未来への走り
車のことを知りたい
先生、「使用済み自動車リサイクルイニシアチブ」って、何のことかよくわからないんですが…
車の研究家
簡単に言うと、古い車をきちんと処理して、使える部品を再利用できるようにするための指針のことだよ。1997年に、今の経済産業省が出したんだ。
車のことを知りたい
ふーん。具体的にはどんなことが書いてあるんですか?
車の研究家
例えば、車を作る会社は、新しい車をほとんど再利用できるようにしたり、有害な鉛の使用量を減らしたりする。解体する会社などは、実際に再利用する割合を増やしたり、埋め立て処分を減らしたりする目標が書かれているんだよ。
使用ずみ自動車リサイクルイニシアチブとは。
中古車の適切な処理を進め、資源の再利用をより良くするために、かつての通商産業省(今の経済産業省)が1997年5月に指針を出しました。これは「使用済み自動車リサイクルイニシアチブ」と呼ばれています。この指針では、自動車業界や関連業界が担うべき役割と目標が示されています。自動車メーカーは、新しい車の資源再利用可能な割合を2002年以降90%以上にすること、鉛の使用量を2000年までに半分に、2005年までに3分の1以下にすることなどを目標としています。関連業界は、実際に資源が再利用されている割合を2002年以降85%以上、2015年以降95%以上にすること、埋め立て処分される量を2002年以降1996年と比べて3分の2以下に、2015年以降5分の1以下にすることなどを目標としています。
取り組みの始まり
資源を大切に使い、周りの自然を守ることは、今の世の中にとってとても大切なことです。たくさんの物を作って、たくさんの物を使い捨てる時代を経て、ゴミが増え続けることは、大きな問題となっています。地球への負担を軽くするために、様々な工夫が必要です。特に、車は主要な工業製品の一つであり、その一生涯における環境への影響はとても大きいと言えます。
使い終わった車をきちんと処理し、再び資源として活用することをより良くするために、1997年の5月に当時の通商産業省(今の経済産業省)が『使った車を再び資源にする取り組みの計画』を立てました。これは、車を作る会社や売る会社など、車に関わる全ての会社が協力して、未来に向けてより良い社会を作るために積極的に取り組むべき道を示した、とても重要な一歩でした。
この計画では、車の部品を繰り返し使えるようにしたり、燃えるゴミや燃えないゴミにきちんと分けたりすることが決められました。また、車を解体する場所を整備したり、車の持ち主が車を処分する時にかかるお金を分かりやすくしたりすることも決められました。これらの取り組みによって、ゴミの量を減らし、資源を無駄なく使うことができるようになりました。
車を作る会社は、車を設計する段階から、再び資源として使えるようにすることを考えるようになりました。例えば、簡単に分解できるような構造にしたり、有害な物質を使わないようにしたりする工夫がされています。また、部品を修理したり、交換したりすることで、車を長く使えるようにする取り組みも進められています。
これらの取り組みは、車業界全体が協力して進めているもので、資源の有効活用と環境保全という目標に向かって、大きな成果を上げています。今後も、技術の進歩や社会の変化に合わせて、より良い方法を考え、持続可能な社会の実現に向けて努力していく必要があるでしょう。
主体 | 取り組み | 目的 |
---|---|---|
政府(旧通商産業省、現経済産業省) | 『使った車を再び資源にする取り組みの計画』の策定 (1997年5月) – 車の部品の再利用促進 – 適切なゴミ分別 – 解体場所の整備 – 車処分費用の透明化 |
ゴミの削減、資源の有効活用、より良い社会の実現 |
自動車メーカー | – 設計段階からの資源再利用の考慮(分解容易な構造、有害物質不使用) – 部品の修理・交換による長寿命化 |
資源の有効活用、環境保全 |
自動車業界全体 | 上記取り組みへの協力 | 資源の有効活用、環境保全、持続可能な社会の実現 |
目指す未来の姿
私たちは、廃棄物を単に処理するのではなく、資源を循環させて有効に活用する社会の実現を目指しています。その中で、自動車は重要な役割を担っています。自動車の誕生から最期まで、すべての段階において環境への負担をできる限り少なくすることが求められています。
まず、新しい車を設計する段階から見直していきます。分解しやすく、再利用しやすい材料を積極的に採用することで、将来の資源循環を考慮した車づくりを進めます。また、部品を組み合わせる工夫や、材料の種類を減らすことで、解体作業をより簡単に行えるようにします。
車の解体においては、作業手順を標準化し、効率を高めることで、作業時間を短縮し、コスト削減を目指します。さらに、再利用できる部品をより多く回収するために、高度な選別技術の開発や、部品の状態を正確に評価するシステムの構築を進めます。使える部品をきちんと選別し、修理や再製造に回すことで、資源の有効活用を図ります。
そして、どうしても再利用できない材料は、可能な限り再生利用します。再生利用が難しい材料は、その量を最小限に抑えることで、最終的に埋め立て処分される量を大幅に減らすことを目指します。
この目標を達成するためには、自動車メーカー、部品メーカー、解体業者、リサイクル業者など、自動車に関わるすべての事業者が協力していくことが不可欠です。それぞれの得意分野を生かし、技術開発や情報共有を積極的に進めることで、資源循環型社会の実現に貢献していきます。
具体的な数値目標
この取り組みでは、達成状況をしっかりと把握し、進捗を管理するために、具体的な数値を掲げた目標を設定しています。例えば、新しく製造される車の資源再利用率については、2002年以降、90%以上を目標としています。環境や人体への影響が懸念される鉛の使用量についても、段階的に減らしていく計画を立て、具体的な数値目標を定めています。
使用済みの車の資源再利用についても力を入れており、その実行率は2002年以降85%以上を達成、さらに将来的には95%以上を目指して、様々な取り組みを進めています。具体的には、解体業者における分別作業の徹底や、再利用可能な部品の回収ルートの整備、そして材料のリサイクル技術の向上などに取り組んでいます。
また、最終処分場に運ばれる廃棄物の量を減らすことも重要な課題です。処分場の残存容量の確保や、環境への負荷軽減のために、埋め立て処分量の削減目標を設定しています。目標達成のため、関係省庁や自治体、自動車メーカー、解体業者、そしてリサイクル事業者など、様々な立場の人々が協力して、技術開発や制度改革、意識改革といった多角的な取り組みを進めています。例えば、自動車メーカーは、より分解しやすい構造の車を作る工夫をし、リサイクル事業者は、回収した部品から新たな資源を抽出する技術の開発に力を入れています。このようにして、資源を大切に使い、環境を守る社会の実現に向けて、具体的な数値目標を軸に、様々な活動が展開されています。
項目 | 目標 | 達成状況 | 取り組み |
---|---|---|---|
新車の資源再利用率 | 90%以上 (2002年以降) | – | 鉛の使用量削減 |
使用済み車の資源再利用率 | 95%以上 (将来) | 85%以上 (2002年以降) | 解体業者における分別作業の徹底、再利用可能な部品の回収ルートの整備、材料のリサイクル技術の向上 |
最終処分場に運ばれる廃棄物の量 | 削減 | – | 関係省庁、自治体、自動車メーカー、解体業者、リサイクル事業者などによる技術開発、制度改革、意識改革
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自動車メーカーの役割
自動車を作る会社は、環境に優しい車を作る上でとても大切な役割を担っています。単に車を組み立てるだけではなく、地球環境への影響を少なくするために、様々な工夫が必要です。
まず、車を作る材料選びが重要です。リサイクルしやすい材料を積極的に使うことで、資源の無駄遣いを減らすことができます。鉄やアルミなどの金属はもちろん、プラスチックやゴムについても、リサイクルしやすい種類を選ぶ必要があります。また、部品の設計段階からリサイクルを意識することも大切です。分解しやすい構造にすることで、後で資源を回収しやすくなります。
さらに、車の製造工程も見直す必要があります。工場から出る廃棄物を減らす工夫や、製造過程で使うエネルギーを少なくする技術の開発が求められます。例えば、塗装工程で使う塗料を環境に優しいものに変えたり、工場で使う電気を太陽光発電でまかなうなど、様々な方法が考えられます。
自動車を作る会社は、車を販売した後の責任も負っています。使い終わった車を回収し、解体する仕組みを作る必要があります。回収された車は、リサイクルできる部品とそうでない部品に分けられます。リサイクルできる部品は、新しい車を作る材料として再利用されます。そうでない部品も、適切な方法で処理する必要があります。
さらに、リサイクル技術の開発も重要です。より効率的に資源を回収し、再利用できる技術を開発することで、環境への負担をさらに減らすことができます。例えば、廃プラスチックから燃料を作る技術や、使えなくなったバッテリーを再利用する技術などが研究されています。
これらの取り組みは、単に環境を守るだけでなく、会社の評判を良くすることにも繋がります。環境問題に関心のある人は、環境に優しい車を作る会社を応援したくなります。また、環境を守るための活動は、持続可能な社会を作る上で欠かせないものです。自動車を作る会社は、これらの取り組みを通して、持続可能な社会の実現に貢献することができます。
取り組み | 詳細 |
---|---|
材料選び | リサイクルしやすい材料(鉄、アルミ、プラスチック、ゴムなど)を積極的に使用 部品の設計段階からリサイクルを意識し、分解しやすい構造にする |
製造工程 | 工場から出る廃棄物を削減 製造過程で使用するエネルギーを削減(例:環境に優しい塗料、太陽光発電) |
使用済み車両の回収・解体 | 使い終わった車を回収し、解体する仕組みを作る リサイクル可能な部品は再利用、そうでない部品は適切に処理 |
リサイクル技術の開発 | 資源回収・再利用技術の開発(例:廃プラスチックから燃料、バッテリー再利用) |
効果 | 環境保護 企業の評判向上 持続可能な社会への貢献 |
関連業界の連携
車を廃車にする際、資源を無駄にせず再利用するためには、様々な業種の人々の協力が欠かせません。このリサイクル作業は、車を製造する会社だけでなく、部品を作る会社、車を解体する会社、資源を再生する会社など、多くの会社が関わっています。まるで大きなチームで作業を進めるように、それぞれの会社がそれぞれの役割を担うことで、初めて資源の再利用が可能になるのです。
まず、車を解体する会社が作業しやすいように、部品には共通の記号で何の部品かを示す必要があります。どの会社が作った部品でも、同じ記号がついていれば、解体する会社は部品の種類をすぐに判断でき、作業がスムーズに進みます。また、解体作業の手順を統一することで、安全かつ効率的に作業を進めることができます。さらに、再生する会社が使いやすいように、解体した部品を種類ごとに分けておくことも大切です。
資源を再生する技術は、常に進歩しています。新しい技術を関係者全員で共有することで、より効率的に資源を再生できるようになります。例えば、ある会社が開発した新しい技術を他の会社も使えるようにすることで、業界全体でリサイクルの質を高めることができます。
さらに、車を使う人にもリサイクルの大切さを知ってもらう必要があります。車のリサイクルに関する情報を分かりやすく伝え、協力を呼びかけることで、より多くの資源を再利用できるようになります。車を使う人、作る人、解体する人、再生する人、みんなが同じ目標に向かって協力することで、資源を大切にする社会を作ることができます。それぞれの立場でできることを考え、行動することで、未来の環境を守ることへと繋がります。
私たちの責任
私たちは車を所有し、運転する者として、地球環境を守る上で大きな役割を担っています。その役割は、単に車を運転するだけでなく、車の生涯全体を通して責任を持つことを意味します。例えば、もう使わなくなった車をどのように処理するかは、環境に大きな影響を与えます。
車を廃車にする場合、決められた手続きに従って、認可を受けた解体業者に依頼することが大切です。そうすることで、車に含まれる鉄やアルミなどの貴重な資源を再利用することができます。また、適切な処理によって、有害物質が環境に漏れ出すのを防ぎ、土や水、空気を汚染から守ることができます。廃車の適切な処理は、資源の無駄をなくし、環境への負荷を減らすことに繋がります。
さらに、環境への影響を考えた車選びも重要です。燃費の良い車を選ぶことで、燃料の消費を抑え、二酸化炭素の排出量を減らすことができます。地球温暖化の進行を少しでも遅らせるためにも、燃費性能は重要な要素です。また、リサイクルしやすい材料で作られた車を選ぶことも、将来の資源の有効活用に繋がります。車を選ぶ際には、環境への配慮がされているかどうかも確認するようにしましょう。
美しい地球を未来の世代に引き継ぐためには、私たち一人ひとりが環境問題に真剣に向き合い、責任ある行動をとる必要があります。車を所有し、運転するということは、同時に環境を守る責任も負うということです。日々の運転から廃車手続きまで、環境への影響を常に意識し、持続可能な社会の実現に貢献していく必要があるでしょう。
責任ある車の所有と運転 |
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