電気自動車の航続距離:カタログ値と実用値のずれ

電気自動車の航続距離:カタログ値と実用値のずれ

車のことを知りたい

『一充電走行距離』って、カタログに書いてある値をそのまま信用していいんですか?

車の研究家

カタログの値は、ある決まった条件で走ったときの距離なんだ。だから、実際の道路を走るときは、カタログ値どおりにはいかないことが多いんだよ。

車のことを知りたい

じゃあ、実際にはどれくらい走れるんですか?

車の研究家

走り方や気温、エアコンを使うかどうかで変わるけど、カタログ値より10~15%くらい短くなることもあるよ。車の使い方を考えて、余裕を持った距離を見ておく必要があるね。

一充電走行距離とは。

電気自動車のバッテリーが満タンの状態から、決められた走り方でどれだけの距離を走れるかを示す『一充電走行距離』について説明します。電気自動車はバッテリーの容量に限りがあるため、この走行距離は非常に重要な性能です。しかし、ガソリン車と同じように、実際の道路での走り方は様々で、決められた走り方をすることはほとんどありません。また、バッテリーのこれまでの使い方や外の気温、電気を使う機器の有無によっても走行距離は変わります。特に、エアコンを使うと10~15%ほど走行距離が短くなります。つまり、普段の運転ではカタログに書いてある距離よりも短い距離しか走れないので、実際に自分がどのように使うかを考えて、実際の走行距離を把握しておくことが大切です。

カタログ値の意義

カタログ値の意義

車を買い替える際、カタログに載っている数値は重要な判断材料となります。特に、電気を動力源とする車の場合、一度の充電で走れる距離は気になる点でしょう。この、一度の充電で走れる距離をカタログ値で確認することができます。この数値は、国が定めた決まった手順で測られたもので、異なる車種を比べる時の基準となる大切な数値です。
しかし、このカタログ値は、あくまでも決まった条件下で測られた値だということを覚えておく必要があります。実際の道路を走る時の状況や、運転の仕方、天気など、様々な条件によって、走れる距離は変わってきます。例えば、坂道が多い道や、エアコンをたくさん使う暑い日、寒い日は、電気を多く使うため、カタログ値よりも走れる距離は短くなります。また、急発進や急ブレーキを繰り返す運転の仕方でも、電気を多く消費してしまいます。
つまり、カタログ値は目安として考え、実際に走る時は、カタログ値よりも短い距離しか走れないと想定しておくことが大切です。普段どのくらいの距離を走るか、充電はどこでどれくらいできるかを考え、自分の使い方に合った走れる距離を持つ車種を選びましょう。カタログ値だけで判断するのではなく、試乗して実際の車の性能を確かめることも重要です。販売員に相談して、自分の生活に合った車選びをしましょう。自分の使い方に合った車を選ぶことで、快適な車生活を送ることができます。

項目 説明
カタログ値の意義 電気自動車の航続距離を比較するための重要な基準となる。
国が定めた手順で測定されている。
カタログ値と実走行距離の違い カタログ値は一定条件下での測定値であり、実際の走行距離は様々な条件によって変化する。
例えば、道路状況、運転方法、天候など。
カタログ値の使い方 カタログ値はあくまで目安
実走行距離はカタログ値より短くなると想定する。
車選びのポイント 普段の使い方(走行距離、充電環境など)を考慮し、カタログ値だけでなく試乗や販売員との相談も重要。

実走行距離への影響要因

実走行距離への影響要因

電気自動車の実際に走れる距離は、様々な要因によって変化します。まず、運転の仕方によって大きく左右されます。急な発進や急な停止を繰り返すと、電気をたくさん使ってしまい、走れる距離が縮まってしまいます。これは、急な加減速で多くのエネルギーが必要となるためです。穏やかに発進・停止する運転を心がけることで、電力の消費を抑え、より長い距離を走ることができます。

次に、道路の種類も重要な要素です。高速道路のように速い速度で走る道路では、一般道に比べて空気抵抗が大きくなり、電気を多く消費します。結果として、走れる距離が短くなってしまいます。一方、一般道では速度が比較的遅いため、高速道路ほど電気を消費せず、長い距離を走ることができます。高速道路と一般道では、同じ電気量でも走れる距離が異なることを意識しておく必要があります。

周りの気温も、電気自動車の走れる距離に影響を与えます。寒い冬は、電池の性能が低下し、蓄えられる電気の量が減ってしまいます。また、車内を温める暖房を使うため、さらに電気を消費し、走れる距離が短くなります。反対に暑い夏は、冷房を使うため電気を多く消費し、走れる距離が短くなることがあります。気温の変化による電池への影響や冷暖房の使用を考慮し、季節ごとの走れる距離の変化を把握しておくことが大切です。

その他にも、乗っている人の数や荷物の量、道路の傾斜なども走れる距離に影響します。人が多く乗っていたり、荷物が多かったりすると、車は重くなり、より多くの電気を使って走ることになります。また、坂道を上る際には、平坦な道を走るよりも多くの電気を使うため、走れる距離が短くなります。これらの要素を理解し、運転の仕方や冷暖房の使い方を調整することで、走れる距離を伸ばす工夫をすることが重要です。

要因 影響 詳細
運転の仕方 急発進/急停止は走行距離↓ 急加減速はエネルギー消費↑
道路の種類 高速道路は走行距離↓ 高速道路は空気抵抗↑
気温 冬は走行距離↓、夏は走行距離↓ 冬は電池性能↓&暖房使用、夏は冷房使用
その他 乗車人数/荷物が多いと走行距離↓、坂道は走行距離↓ 重量増加はエネルギー消費↑、坂道はエネルギー消費↑

エアコンの影響

エアコンの影響

電気自動車の冷暖房は、車の走る距離に大きな影響を与えます。特に夏の暑い時期は、車内を冷やすために冷房を長く使うことが多く、結果として走れる距離が10から15ほど短くなることもあります。冬の寒い時期も、車内を暖めるための暖房を使うことで電気を多く消費し、走れる距離が短くなってしまいます。

冷暖房の使用を控えれば、走れる距離を延ばすことはできますが、車内の快適さを諦めることになります。快適な車内環境を保ちつつ、走れる距離を十分に確保するには、冷暖房の設定温度を調整するなどの工夫が必要です。例えば、冷房を使う場合、設定温度をなるべく外気温に近づけることで、電力の消費を抑えることができます。また、暖房を使う場合も、設定温度を低めに設定し、厚着をするなどの工夫で、消費電力を抑えることが可能です。

走行する時間帯を選ぶことも重要です。真夏の昼間など、外気温が非常に高い時間帯の運転は避け、朝早くや夜など、気温が比較的低い時間帯に運転することで、冷房の使用を最小限に抑えられます。反対に、冬場は日中の暖かい時間帯に運転することで、暖房の使用を控えることができます。

さらに、駐車中の工夫も効果的です。真夏に車を駐車する際は、直射日光を避けて日陰に駐車するか、サンシェードなどを用いて車内温度の上昇を抑えることで、乗車時の冷房の使用を軽減できます。また、窓を開けて換気することで、車内の熱気を逃がすことも有効です。このように、様々な工夫を組み合わせることで、電気自動車の走れる距離を確保しつつ、快適なドライブを楽しむことができます。

影響 対策 効果
冷暖房の使用は電気自動車の航続距離に大きな影響を与える。特に夏と冬は影響が顕著。 冷暖房の設定温度を調整する。
外気温に近い温度に設定する。
厚着をする。
電力の消費を抑え、航続距離を延ばす。
走行時間帯を選ぶ。
夏は涼しい時間帯、冬は暖かい時間帯に運転する。
冷暖房の使用を最小限に抑える。
駐車中の工夫
日陰に駐車する、サンシェードを使う、窓を開けて換気する。
車内温度の上昇を抑え、冷房の使用を軽減する。

電池の劣化

電池の劣化

車の動力源である電池は、繰り返し充電と放電を繰り返すうちに、徐々に性能が落ちていきます。これは、携帯電話や持ち運びできる計算機など、充電して使う電池と同じです。この性能の低下を、電池の劣化と呼びます。電池が劣化すると、一度の充電で走れる距離が短くなります。例えば、新品の電池で500里走れた車が、劣化によって450里しか走れなくなるといった具合です。

電池の劣化の速さは、使い方や保管の仕方によって大きく変わります。毎日長距離を走る、あるいは暑い場所や湿気の多い場所に車を停めておくことが多い場合、電池の劣化は早くなります。反対に、近距離の利用が中心で、車を保管する場所にも気を配っている場合は、劣化は比較的ゆっくりです。一般的には、数年で数割と程度性能が落ちるといわれています。

電池の劣化を少しでも遅らせるには、正しい充電の仕方が大切です。急速充電は便利ですが、電池に大きな負担をかけるため、劣化を早める原因になります。毎日の充電は、できるだけ普通の充電器を使うようにしましょう。また、充電の度に電池を使い切るまで待つ必要はありません。電池の残量が少なくなったら、こまめに充電する方が、電池への負担は軽くなります。

保管場所にも気を配りましょう。高温多湿の環境は電池の大敵です。直射日光の当たる場所や、湿気の多い場所に車を長時間停めておくのは避けましょう。屋根付きの駐車場や、温度変化の少ない場所に車を保管することで、電池の劣化を遅らせることができます。また、長期間車を乗らない場合は、電池の残量を半分程度にしておくのが良いでしょう。満充電のまま放置すると、電池に負担がかかり、劣化を早める可能性があります。

項目 詳細
電池劣化 車の動力源である電池は、繰り返し充電と放電を繰り返すうちに、徐々に性能が落ちていく現象。一度の充電で走れる距離が短くなる。
劣化速度 使い方や保管の仕方によって大きく変わる。長距離走行、高温多湿の環境は劣化を早める。一般的には、数年で数%程度性能が落ちる。
劣化対策:充電 急速充電は劣化を早めるため、できるだけ普通の充電器を使用。電池残量が少なくなったらこまめに充電。
劣化対策:保管 高温多湿の環境を避ける。直射日光の当たる場所や湿気の多い場所に長時間駐車しない。屋根付き駐車場や温度変化の少ない場所に保管。長期間乗らない場合は、電池残量を半分程度にする。

実際の使用状況に合わせた判断を

実際の使用状況に合わせた判断を

電気自動車を買うかどうか迷っているなら、カタログに書いてある走行距離だけでなく、実際に自分がどれくらい走るかをよく考えることが大切です。毎日どのくらい車を走らせるのか、どこで充電するのか、どれくらいの間隔で充電するのかといったことを具体的に考えて、自分に合った走行距離の車を選びましょう。

例えば、通勤で毎日往復50キロメートル走る人なら、最低でも100キロメートル以上走れる車が必要になります。もし、充電を自宅で毎日行う予定であれば、1回の充電で通勤に十分な距離を走れれば問題ありません。しかし、自宅での充電が難しく、週に1回だけ充電スタンドを利用する場合には、1週間分の走行距離をカバーできるだけの走行距離を持つ車を選ぶ必要があるでしょう。

さらに、冷暖房の使用や急発進、急ブレーキが多い運転は、電気の消費量を増やし、走行距離を縮めてしまうので、カタログ値よりも実際の走行距離は短くなると考えておいた方が良いでしょう。冬場は特に暖房を使うことで電気を多く消費するため、夏場よりも走行距離が短くなる傾向があります。

販売店で話を聞いたり、試乗して実際に運転してみることで、走行距離や充電時間を確かめることも大切です。車の大きさや重さ、搭載されている電池の種類によっても走行距離は変わってきます。試乗では、通勤や買い物など、普段と同じように運転してみることをお勧めします。

インターネット上には、電気自動車に乗っている人たちの体験談や評価がたくさん載っています。これらの情報も参考に、色々な意見を聞きながら、自分に合った電気自動車を選び、快適な電気自動車生活を送りましょう。

検討事項 詳細
走行距離
  • カタログ値だけでなく、実際の走行距離を想定する。
  • 通勤距離、充電頻度、充電場所などを考慮。
  • 毎日50km走行の場合、最低100km以上の走行距離が必要。
  • 自宅充電可能なら1回の充電で通勤距離をカバーできればOK。週1回充電スタンド利用なら1週間分の走行距離をカバーできる車が必要。
  • 冷暖房、急発進/急ブレーキは走行距離を縮める。
  • 冬場は暖房使用で走行距離が短くなる。
充電
  • 充電場所、充電頻度を検討
  • 自宅充電の可否で必要な走行距離が変わる
確認方法
  • 販売店で相談、試乗
  • 試乗時は普段通りの運転をする
  • インターネットで体験談や評価を参考にする