車の空気抵抗:燃費と速度への影響
車のことを知りたい
先生、空気抵抗って、車の形だけじゃなくて、表面のツルツル具合も関係あるんですか?
車の研究家
そうだね。空気抵抗は、車の前面の投影面積と空気抵抗係数で決まるんだけど、この空気抵抗係数に、車の表面のツルツル具合が関係しているんだ。
車のことを知りたい
ツルツルだと、空気抵抗が小さくなるんですか?
車の研究家
そう。表面がザラザラしていると、空気の流れが乱れて抵抗が大きくなる。だから、表面をツルツルにすることで、空気の流れがスムーズになり、抵抗を小さくすることができるんだ。これをフラッシュサーフェイス化というんだよ。
空気抵抗とは。
車が走るときに、空気から受ける抵抗のことを空気抵抗といいます。この空気抵抗の大きさは、空気抵抗係数(記号はシーディー)と前面投影面積(記号はエー)を掛け合わせた値で表されます。前面投影面積とは、車の前から見たときの面積のことです。
近頃は、高速道路を走る機会が増えたり、燃費を良くすることが求められたりしているため、空気抵抗を小さくすることがますます重要になってきています。そのため、車の形について研究したり、車体の表面をなめらかにしたりする工夫が進められています。
空気抵抗とは
車は道路を進む時、常に空気の中を進んでいます。まるで水の中を進む船のように、車は空気という見えない海を押し分けて走っているのです。この時に、車にぶつかる空気によって進む方向とは反対の力が生まれます。これが空気抵抗です。空気抵抗は、目には見えませんがブレーキのように車の動きを邪魔する力であり、燃費を悪くするだけでなく、最高速も下げてしまいます。
この空気抵抗の大きさは、主に二つの要素によって決まります。一つは空気抵抗係数(読み方くうきていこうけいすう)、一般的にCd値(読み方シーディーち)と呼ばれるものです。これは、車の形がどれくらい空気の流れに沿っているかを示す数値です。Cd値が小さい車は、空気の流れをスムーズに受け流し、抵抗を小さく抑えることができます。例えば、流線型のスポーツカーは、空気抵抗を減らすように設計されているため、Cd値が小さくなる傾向があります。逆に、箱型の車は空気の流れを乱しやすいため、Cd値が大きくなります。
もう一つの要素は、前面投影面積(読み方ぜんめんとうえいめんせき)です。これは、車を前から見た時の面積のことで、この面積が大きいほど、たくさんの空気にぶつかることになり、空気抵抗も大きくなります。例えば、大型トラックは前面投影面積が大きいため、空気抵抗が大きくなります。軽自動車は前面投影面積が小さいため、空気抵抗も小さくなります。
つまり、空気抵抗を小さくするには、空気の流れをスムーズにする形にしてCd値を小さくし、同時に前面投影面積も小さくする必要があるのです。近年の車は、燃費を良くするために、これらの点を考慮して設計されています。
空気抵抗を決める要素 | 説明 | 例 |
---|---|---|
空気抵抗係数(Cd値) | 車の形がどれくらい空気の流れに沿っているかを示す数値。Cd値が小さい車は、空気の流れをスムーズに受け流し、抵抗を小さく抑える。 | 流線型のスポーツカーはCd値が小さく、箱型の車はCd値が大きい。 |
前面投影面積 | 車を前から見た時の面積。面積が大きいほど、空気抵抗も大きくなる。 | 大型トラックは前面投影面積が大きく、軽自動車は前面投影面積が小さい。 |
空気抵抗の影響
車は走る時、空気の壁を押し分けて進みます。この時にかかる抵抗が空気抵抗で、速度が上がるほど大きくなります。時速100キロメートルで走ると、空気抵抗はエンジン出力のおよそ7割を占めると言われています。これは、高速道路での燃費に大きく関わってきます。
空気抵抗が大きい車は、同じ速度で走るにもより多くの力を必要とします。そのため、エンジンはより多くの燃料を消費し、燃費が悪くなります。例えば、箱のような形をした車は空気抵抗が大きく、燃費が悪くなります。一方、流線型の車は空気抵抗が小さいため、燃費が良くなります。
また、空気抵抗は車の最高速度にも影響します。エンジンがいくら力を出しても、空気抵抗がある一定以上になるとそれ以上速度を上げることができなくなります。これは、空気抵抗とエンジンの力が釣り合うためです。つまり、空気抵抗を減らすことは最高速度を上げることに繋がります。
空気抵抗を小さくするために、様々な工夫が凝らされています。例えば、車の形を流線型にする、車体の表面を滑らかにする、ドアミラーを小さくする、車高を低くするなどです。これらの工夫によって燃費を良くし、最高速度を上げる努力が続けられています。 最新の車は、コンピューターを使った設計で空気の流れを細かく計算し、空気抵抗を極限まで減らすように作られています。
空気抵抗の影響 | 具体的な影響 | 空気抵抗への対策 |
---|---|---|
燃費 | 速度が速いほど空気抵抗が大きくなり、燃費が悪化する。時速100kmではエンジン出力の約7割が空気抵抗に費やされる。 | ・流線型の車体形状 ・表面の滑らか化 ・小型ドアミラー ・低車高 ・コンピューターによる空気抵抗の計算と設計 |
最高速度 | 空気抵抗とエンジンの力が釣り合うとそれ以上速度が上がらなくなる。 |
空気抵抗を減らす工夫
車は走る時、空気の壁を押し分けて進みます。この空気の壁による抵抗を減らすことは、燃費を良くし、速く走るためにとても大切です。そのため、車を作る会社は様々な工夫をしています。
まず、車の形を滑らかに流れるように、まるで魚の体のような形にすることが重要です。このような形を流線型と呼びます。流線型は空気の流れをスムーズにし、空気抵抗の大きさを示す指標であるCd値を小さくします。Cd値が小さければ小さいほど、空気抵抗は小さくなります。
次に、車の表面をツルツルにすることも大切です。表面がザラザラしていると、空気との摩擦で抵抗が大きくなってしまいます。まるで水を流す時、ツルツルの管の中の方が流れやすいのと同じです。
車の横についている鏡や、ドアを開けるための取っ手のような、出っ張っている部分は空気の流れを邪魔します。そのため、これらの部品の形を工夫したり、なるべく小さくすることで、空気抵抗を減らす努力がされています。タイヤと車体の間の隙間も、空気の流れを乱す原因となるため、できるだけ小さくするように設計されています。
車の底も空気抵抗に影響します。 車の底面は、道路からの反射やタイヤの回転によって、空気が乱れやすい場所です。そこで、底面を平らにすることで、空気の乱れを抑え、抵抗を減らすことができます。
最新の車では、状況に応じて空気抵抗を調整する技術も使われています。例えば、エンジンの前の空気を取り込む部分にある、格子状の部品を開け閉めする仕組みや、走行中に車の部品の形を変える仕組みなどがあります。これらの技術を使うことで、状況に応じて最適な空気抵抗を実現し、燃費を向上させています。
工夫 | 説明 | 効果 |
---|---|---|
流線型 | 魚の体のような滑らかな形にすることで、空気の流れをスムーズにする。 | Cd値を小さくし、空気抵抗を減らす。 |
表面をツルツルにする | 空気との摩擦による抵抗を減らす。 | 空気抵抗を減らす。 |
出っ張りを減らす | 鏡やドアの取っ手など、出っ張っている部分を小さくしたり、形を工夫する。タイヤと車体の隙間も小さくする。 | 空気の流れを邪魔するものを減らし、空気抵抗を減らす。 |
底面を平らにする | 道路からの反射やタイヤの回転による空気の乱れを抑える。 | 空気抵抗を減らす。 |
空気抵抗の調整 | エンジンの前の格子状の部品の開閉や、走行中に部品の形を変えるなど、状況に応じて空気抵抗を調整する。 | 状況に応じて最適な空気抵抗を実現し、燃費を向上させる。 |
燃費向上への貢献
自動車の燃費を良くするには、空気との摩擦を減らすことが大切です。特に、高速道路をよく走る人にとっては、空気の抵抗を少なくすることで燃費が大きく変わってきます。空気の抵抗が小さい車は、少ない燃料で長い距離を走ることができるからです。
近年の自動車メーカーは、燃費を良くするために、空気抵抗を減らす様々な工夫をしています。車体の形を滑らかにしたり、部品の隙間を小さくしたりすることで、空気の流れをスムーズにしています。空気抵抗の大きさを表す数値に「Cd値」というものがありますが、最近の車では、このCd値が0.3よりも小さい車も珍しくありません。
空気抵抗を10%減らすことができれば、高速道路での燃費は2~3%程度良くなると言われています。これは、一見すると小さな数字に思えるかもしれません。しかし、長距離ドライブや毎日の通勤などで車を使う人にとっては、燃料費の節約に大きく貢献するでしょう。例えば、年間1万キロメートルを走る人が、燃費を3%向上させることができれば、年間で数百リットルもの燃料を節約できる計算になります。
空気抵抗以外にも、燃費を良くする方法はいくつかあります。タイヤの空気圧を適切に保つことや、不要な荷物を積まないことも効果的です。また、急発進や急ブレーキを避けるなど、運転方法を工夫することで燃費を改善することもできるでしょう。一人ひとりが燃費向上に気を配ることで、家計の節約だけでなく、地球環境の保護にも繋がります。
燃費向上の要素 | 具体的な方法 | 効果 |
---|---|---|
空気抵抗の低減 | 車体の形状を滑らかにする | 高速道路での燃費が2~3%程度向上 年間数百リットルの燃料節約 |
部品の隙間を小さくする | ||
Cd値を小さくする | ||
その他 | タイヤの空気圧を適切に保つ | 燃費向上、燃料費節約 |
不要な荷物を積まない 急発進・急ブレーキを避ける |
今後の技術開発
自動車づくりにおいて、空気との闘いは永遠の課題と言えるでしょう。いかに空気の流れをスムーズにするか、すなわち空気抵抗をいかに減らすかが、燃費の向上や走行性能の向上に直結するからです。自動車会社各社は、様々な技術を駆使して、空気抵抗を少しでも減らすための研究開発にしのぎを削っています。
まず、設計の段階から空気抵抗を減らす工夫が凝らされています。コンピューターを使った模擬実験で、空気の流れを目に見えるようにして、最も空気抵抗が少ない車体の形を設計する技術が用いられています。まるで風を切って進む鳥のように、流れるような曲線を描く車体や、細かな凹凸にも意味を持たせたデザインが生まれています。
さらに、車体を作る材料にも工夫があります。軽いだけでなく、空気抵抗も減らせる新しい材料が次々と開発されています。軽い車は、動かすのに必要な力が少なくて済むので、燃費が良くなります。また、空気の流れを邪魔しない特殊な表面加工を施すことで、空気抵抗をさらに減らす工夫もされています。
そして、走行中の状況に応じて車体の形を変化させる技術も開発が進んでいます。例えば、高速で走る時は、車体から小さな翼のような部品が出てきて、空気の流れを制御し、車体を地面に押し付ける力を強めることで、安定した走行を可能にします。また、低速で走る時は、これらの部品を収納することで空気抵抗を減らし、燃費を向上させます。
これらの技術は、燃費向上だけでなく、走行性能の向上にも大きく貢献します。空気抵抗が減ることで、加速性能が向上し、よりスムーズで快適な運転が可能になります。 空気抵抗の低減は、自動車の進化にとって、これからも重要な課題であり続け、さらなる技術革新が期待されます。
空気抵抗低減技術 | 説明 |
---|---|
設計技術 | コンピューターを使った模擬実験で空気の流れを解析し、空気抵抗が少ない車体の形を設計する。 |
材料技術 | 軽量で空気抵抗も減らせる新しい材料の開発や、空気の流れを邪魔しない特殊な表面加工技術。 |
可変技術 | 走行中の状況に応じて車体の形を変化させる技術(例: 高速走行時に小さな翼でダウンフォースを発生させ安定性を向上、低速走行時には収納して空気抵抗を低減)。 |