車の速度計:マグネット式とは?
車のことを知りたい
先生、『マグネット式スピードメーター』って、普通のスピードメーターと何が違うんですか?
車の研究家
良い質問だね。普通のスピードメーターは、回転する軸を使って針を動かしているのに対し、マグネット式は磁石の力で針を動かしているんだ。軸を使わないので、針の動きが正確でスムーズになるんだよ。
車のことを知りたい
なるほど。磁石の力を使うっていうのは、具体的にどういう仕組みなんですか?
車の研究家
メーターの中にコイルがあってね、そこに電気を流すと磁界が発生する。その磁界と、針についている磁石が反応して針が動くんだよ。電気の量を調整することで、針の動きを細かく制御できるんだ。それと、最近の車はタイヤの回転数を読み取る装置(ABS)と連携しているので、より正確な速度が測れるようになっているんだ。
マグネット式スピードメーターとは。
自動車の速度計の一種である「マグネット式速度計」について説明します。この速度計は、メーター内部の電子部品が、車の速度信号に応じて各コイルに電気を流すことで磁界を作り、その磁力によって磁石でできた回転子を動かし、針を動かします。従来の、歯車を使って回転を伝える機械式の速度計と比べて、針の動きが滑らかで正確なのが特徴です。近年、車の速度を測る部品は、ブレーキの制御装置と兼用されることが一般的になってきており、それに伴い、このマグネット式の速度計も主流になりつつあります。なお、法律で許される速度計の誤差は、時速35キロメートル以上で、実際の速度より10%遅く表示されても、15%速く表示されてもよいことになっています。
速度計の種類
車の速度を知るために欠かせない速度計。速度計にはいくつかの種類があり、それぞれに特徴があります。大きく分けると、かつて主流だった機械式と、現在の主流である電気式に分類されます。
機械式は、エンジンの回転運動をワイヤーで速度計に伝え、針を動かして速度を表示する仕組みです。内部では、回転するケーブルが速度計の内部にある磁石と連動しており、この磁石が針を引っ張ることで速度を示します。構造が単純でわかりやすいという長所がある一方、ワイヤーの経年劣化による誤差や、振動による針の揺れといった欠点も抱えていました。また、速度計の設置場所もワイヤーの長さに制限されるため、設計の自由度が低いという側面もありました。
一方、電気式は車輪の回転速度をセンサーで検知し、電気信号に変換して速度計に表示します。電気式には、大きく分けてマグネット式とデジタル式があります。マグネット式は、機械式と同様に針で速度を表示しますが、電気信号によって針を制御するため、機械式よりも正確な速度表示が可能です。また、ワイヤーがないため、設計の自由度も高く、様々な場所に速度計を設置することができます。デジタル式は、液晶画面に数字で速度を表示する方式です。表示が見やすく、正確な速度を把握しやすいというメリットがあります。近年は、このデジタル式が主流になりつつあり、多くの車種で採用されています。
このように、速度計は時代と共に進化を遂げてきました。かつての機械式から、より正確で多機能な電気式へと変化し、ドライバーにとってより安全で快適な運転環境を提供しています。今後も技術の進歩と共に、更なる進化が期待されます。
種類 | 方式 | 仕組み | 長所 | 短所 |
---|---|---|---|---|
機械式 | – | エンジンの回転運動をワイヤーで速度計に伝え、針を動かして速度を表示 | 構造が単純でわかりやすい | ワイヤーの経年劣化による誤差、振動による針の揺れ、設計の自由度が低い |
電気式 | マグネット式 | 車輪の回転速度をセンサーで検知し、電気信号に変換して針で速度を表示 | 機械式よりも正確な速度表示が可能、設計の自由度が高い | – |
デジタル式 | 車輪の回転速度をセンサーで検知し、電気信号に変換して液晶画面に数字で速度を表示 | 表示が見やすく、正確な速度を把握しやすい | – |
マグネット式速度計の仕組み
車の速さを指し示す計器、速度計には色々な種類がありますが、その一つに磁石を使った速度計があります。これは、磁石の力を利用して針を動かす仕組みで、専門的には「交差コイル方式」と呼ばれています。
計器の中身を見てみると、まず、いくつかコイルが組み合わさって入っています。このコイルは電気を流すと磁石のような働きをする部品です。そして、このコイルの中心には、小さな磁石が置かれていて、自由に回転できるようになっています。これが回転子です。
車が動き出すと、車の速度を測る部品(速度センサー)が、どれくらいの速さで動いているかを電気信号に変えます。この電気信号は、速度計の中にあるコイルに送られます。信号の強さは車の速さに合わせて変化します。
コイルに電気が流れると、コイルは磁石のような性質を持つようになり、周りの空間に磁力線を発生させます。速度計には複数のコイルが交差するように配置されているため、それぞれのコイルが発生させる磁力線が重なり合い、回転子はその力の向きに回転しようとします。
回転子の回転力は、小さな歯車などを介して速度計の針に伝えられます。回転子の回転する角度は、コイルに流れる電流の強さ、つまり車の速さに比例するため、針は車の速さに応じて正確な位置を指し示すことができます。
従来の機械式の速度計に比べると、この磁石を使った速度計は、針の動きが滑らかで、正確な速度表示ができるという利点があります。また、部品の摩耗も少ないため、長持ちするという特徴もあります。
機械式速度計との比較
昔ながらの速度計は、機械仕掛けで動いていました。車の動きを伝える装置から回転の力をひっぱり出し、それを細い針金で速度計に伝えていました。この仕組みは、構造が簡単で費用も抑えられるという良い点がありました。しかし、針金を伝わる力の摩擦や車の揺れによる影響を受けやすく、速度の表示が正確でないという困った点もありました。さらに、針金は年月とともに傷んでくるため、故障しやすいという欠点もありました。
例えば、でこぼこ道を走ると、車の揺れが針金に伝わり、速度計の針が小刻みに動いてしまうことがありました。また、長い間車を使っていると、針金が伸びたり、錆びたりして、速度表示が狂ってくることも珍しくありませんでした。速度計の針が実際よりも遅い速度を示すこともあれば、逆に速い速度を示すこともあり、運転手は正確な速度を把握するのが難しかったのです。
一方、最近よく使われている磁石を使った速度計は、これらの問題点を解決しています。磁石の力を利用して回転を捉えるため、機械的な摩擦や振動の影響を受けにくく、より正確な速度表示ができます。また、針金のような消耗する部品がないため、故障も少なく、長い間安心して使えるようになりました。
このように、磁石を使った速度計は、昔ながらの機械式速度計と比べて、正確さや信頼性の面で大きく進歩しています。そのため、今では多くの車に磁石を使った速度計が採用され、運転手はより正確な速度情報を得ながら、安全に運転できるようになっています。
項目 | 機械式速度計(従来型) | 磁石式速度計(新型) |
---|---|---|
仕組み | 車の動きを回転の力に変換し、針金で速度計に伝える | 磁石の力を利用して回転を捉える |
メリット | 構造が簡単、費用が安い | 摩擦や振動の影響を受けにくい、正確な速度表示、消耗部品がなく故障が少ない、長持ち |
デメリット | 摩擦や揺れの影響を受けやすい、速度表示が不正確、針金が傷みやすく故障しやすい | – |
その他 | でこぼこ道で針が小刻みに動く、針金が伸びたり錆びたりして速度表示が狂う | 正確さや信頼性の面で大きく進歩 |
速度センサーとABS
くるまの速度を知る部品である速度計には、以前はくるまの回転する部分を鋼索でつないで速度を表示する機械式速度計が多く使われていました。現在は、速度を感じる部品である速度センサーを使って速度を表示する方式が主流です。この速度センサーは、磁石の力を利用して車輪の回転速度を測っています。磁石とコイルを組み合わせた構造で、車輪の回転とともに磁界の変化を捉え、電気信号に変換することで速度を検知しています。 この方式は構造が単純で故障が少ないため、広く使われています。
この速度センサーは、アンチロックブレーキシステム(ABS)にも使われています。ABSは、ブレーキを強く踏んだ時にタイヤがロックして滑ってしまうのを防ぐ安全装置です。タイヤがロックするとハンドル操作がきかなくなり、大変危険です。ABSは、速度センサーの情報をもとに、タイヤがロックしそうになるとブレーキの力を自動的に調整し、タイヤのロックを防ぎます。ABSのおかげで、急ブレーキ時でもハンドル操作を維持できるようになり、安全性が高まりました。
速度計とABSは、どちらも車輪の回転速度を正確に知る必要があるため、同じ速度センサーを使うことが一般的です。部品を共通化することで、部品を作るのにかかる費用を抑えられ、また、部品の種類を減らすことで整備もしやすくなります。このように、速度センサーは速度計とABSという二つの重要な機能を支える、現代のくるまにとってなくてはならない部品となっています。
速度センサーは、単に速度を知るだけでなく、安全を守る上でも重要な役割を担っています。くるまの技術は日々進歩していますが、速度センサーのように基本的な部品の信頼性が、安全で快適な運転を支えていると言えるでしょう。
速度計の精度
自動車の速度計は、どれほど正確に速度を示しているのでしょうか。実は、法律によって速度計の表示にはある程度の誤差が許されているのです。具体的には、時速35キロメートル以上の速度で走行している場合、実際の速度よりも表示が1割低い値から1割半高い値の範囲内であれば、問題ないとされています。
例えば、実際に時速100キロメートルで走行しているとき、速度計の表示が時速90キロメートルから115キロメートルまでの範囲内であれば、法的に認められた誤差の範囲内ということになります。なぜこのような誤差が許容されているのでしょうか。それは、速度計の仕組みそのものに理由があります。速度計は、タイヤの回転数をもとに速度を計算しています。しかしタイヤの回転数は、路面の状態やタイヤの状態によって微妙に変化します。そのため、速度計で完全に正確な速度を表示することは非常に難しいのです。
また、タイヤの空気圧も速度計の表示に影響を与えます。タイヤの空気圧が低いと、タイヤは潰れた状態になり、外径が小さくなります。すると、同じ回転数でも進む距離が短くなるため、実際の速度よりも速度計の表示値が大きくなる傾向があります。逆に、タイヤの空気圧が高い場合は、タイヤの外径が大きくなり、実際の速度よりも速度計の表示値が小さくなる傾向があります。タイヤの摩耗も同様に、速度計の表示値に影響を及ぼします。
このように、様々な要因によって速度計の表示値と実際の速度の間には誤差が生じることがあります。ドライバーは、速度計の表示が必ずしも実際の速度と完全に一致するわけではないことを理解し、常に安全運転を心がける必要があります。周囲の交通状況をよく確認し、速度を出しすぎないように注意することが大切です。
項目 | 説明 |
---|---|
速度計の許容誤差 | 時速35km以上の場合、実際の速度の-10% ~ +15% |
誤差の例(時速100kmの場合) | 時速90km ~ 115km |
誤差が生じる理由 | 速度計はタイヤの回転数から速度を計算するため、路面状況、タイヤの状態、空気圧、摩耗などの影響を受ける |
タイヤの空気圧の影響 |
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ドライバーへの注意 | 速度計の表示値は必ずしも実際の速度と一致しないため、安全運転を心がける |
今後の動向
自動車の計器類は、時代と共に大きく変化してきました。かつては、針が動くアナログ式の速度計が主流でしたが、近年は液晶画面に数値を表示するデジタル式の速度計が増えています。デジタル式速度計の普及は、自動車のデジタル化の流れを象徴するものと言えるでしょう。
デジタル式速度計の最大の利点は、表示できる情報の多さです。速度だけでなく、走行距離や燃費、ナビゲーションの情報なども一つの画面にまとめて表示することができます。また、デザインの自由度も高く、自動車のデザインに合わせて様々な表示形式を選ぶことができます。さらに、全地球測位システムと連携することで、従来のアナログ式速度計よりも正確な速度を知ることができます。これらの利点から、高級車だけでなく、一般的な乗用車にもデジタル式速度計が広く採用されるようになっています。
一方、従来のアナログ式速度計にも根強い人気があります。アナログ式速度計は、構造が単純であるため故障のリスクが低く、過酷な環境でも安定して作動します。また、製造コストもデジタル式に比べて低いため、価格を抑えたい小型車や業務用車両などでは、引き続きアナログ式速度計が選ばれるケースが多いです。アナログ式速度計は、その信頼性と経済性から、今後も一定の需要が見込まれます。
このように、自動車の速度計は、デジタル式とアナログ式が共存する時代を迎えています。それぞれの方式には、それぞれの長所と短所があり、用途や価格帯によって使い分けられています。今後、自動車の電動化や自動運転技術の進展に伴い、速度計の役割も変化していく可能性があります。例えば、自動運転技術が高度に発達すれば、運転手は速度計を見る必要がなくなるかもしれません。しかし、安全性の観点から、速度計は自動車にとって不可欠な装置であり続けると考えられます。どのような表示形式であれ、速度計は、安全な運転を支える重要な役割を担っているのです。
項目 | デジタル式速度計 | アナログ式速度計 |
---|---|---|
表示情報 | 速度、走行距離、燃費、ナビゲーション情報など多くの情報を表示可能 | 主に速度を表示 |
デザイン | 自由度が高く、多様な表示形式が可能 | シンプルな表示形式 |
精度 | GPSと連携することで高精度な速度表示が可能 | デジタル式に比べて精度は低い |
信頼性 | 故障のリスクはアナログ式より高い可能性がある | 構造が単純なため故障のリスクが低い |
コスト | 製造コストはアナログ式より高い | 製造コストが低い |
採用車種 | 高級車、一般的な乗用車 | 小型車、業務用車両 |
今後の展望 | 自動運転技術の進展により役割が変化する可能性がある | 信頼性と経済性から一定の需要が見込まれる |