快適な乗り心地:電子制御サスペンション
車のことを知りたい
先生、「電子制御式空気ばね」ってどういうものですか?1984年のスバル・レオーネに初めて使われたって書いてありますが、よく分かりません。
車の研究家
いい質問だね。簡単に言うと、空気の力で車体を支える仕組みで、電子制御によって車高や乗り心地を調整できるんだ。普通のばねの代わりに空気が入った袋を使うんだよ。
車のことを知りたい
車高や乗り心地を調整できるって、どういうことですか?
車の研究家
例えば、デコボコ道では車高を上げて、でこぼこを乗り越えやすくする。高速道路では車高を下げて、安定した走行ができるようにする。また、空気圧を変えることで、乗り心地を柔らかくしたり、固くしたりもできるんだよ。だから、乗り心地と悪路の走破性を両立できる画期的な技術だったんだ。
エレクトロニューマチックサスペンションとは。
昭和59年に発売されたスバルのレオーネに、日本で初めて搭載された電子制御式の空気バネを使ったサスペンションについて説明します。このサスペンションは「電子制御空気ばね」と呼ばれ、車高の調整や衝撃の吸収力を電気で制御することで、乗り心地の良さ悪路での走破性の両立を目指した、当時としては非常に高度な技術でした。
電子制御サスペンションとは
電子制御式のサスペンションは、空気の力を用いて、車の高さを変えたり、揺れを抑える強さを調節できる仕組みです。昔ながらの金属バネを使ったサスペンションとは違い、空気の柔らかさを利用することで、より滑らかで心地良い乗り心地を実現します。
路面の状況や車の走り方に合わせて、車の高さや揺れを抑える強さを自動で調節することで、安定した走り心地と快適さを両立させています。この技術のおかげで、乗り心地が良くなるだけでなく、荷物を積んだ時の車の高さの変化を抑えたり、速い速度で走る時の安定性を高めたりと、様々な利点があります。
近年の自動車技術の進歩によって、色々な種類の電子制御式サスペンションが登場し、高級車だけでなく、普通の乗用車にも搭載されるようになりました。そのおかげで、多くの人が快適な乗り心地を味わえるようになっています。
電子制御式サスペンションは、路面の凸凹を吸収する力に優れているため、乗っている人への振動や衝撃を大幅に和らげ、疲れを少なくする効果も期待できます。長距離の運転や悪い道の走行での快適性の向上は、運転する人だけでなく、一緒に乗っている人にとっても大きな利点と言えるでしょう。
また、車の高さを調節する機能によって、乗り降りのしやすさも向上します。お年寄りや体の不自由な方にとっては、車の高さを下げることで乗り降りが楽になり、負担を軽くすることができます。
このように、電子制御式サスペンションは、快適さだけでなく、安全性や使いやすさも向上させる画期的な技術と言えるでしょう。
電子制御式サスペンション | 特徴 | メリット |
---|---|---|
仕組み | 空気の力で車高調整と揺れを抑える強さを調節 | 滑らかで心地良い乗り心地 |
制御 | 路面状況や走り方に合わせて車高と揺れを抑える強さを自動調節 | 安定した走り心地と快適さを両立 |
効果 | 乗り心地向上、荷物積載時の車高変化抑制、高速走行時の安定性向上 | 快適性向上、安全性向上、長距離運転や悪路走行での快適性向上 |
普及 | 高級車だけでなく一般乗用車にも搭載 | 多くの人が快適な乗り心地を体感可能 |
その他 | 路面からの振動や衝撃を吸収し、疲れを軽減、車高調整機能で乗り降りしやすさ向上 | 運転者だけでなく同乗者にも利点、お年寄りや体の不自由な方の負担軽減 |
歴史
乗り物の揺れを抑える仕組み、つまり緩衝装置の歴史において、大きな転換点となったのが電子制御式の緩衝装置です。その始まりは、1984年に発表されたスバル・レオーネに搭載された「電子空気式緩衝装置」でした。これは、国内で初めて電子制御によって車体の高さを調整する機能を持つ空気ばね式の緩衝装置として、当時大きな話題となりました。
それまでの緩衝装置は、金属製のばねの硬さや揺れを抑える部品の強さが、あらかじめ決まっていました。そのため、道路の状態や車の動き方に関わらず、一定の働きしかできませんでした。しかし、電子制御式の緩衝装置が登場したことで、これらの設定を瞬時に変えることができるようになり、乗り心地や走行性能は格段に向上しました。まるで魔法のじゅうたんに乗っているかのような、滑らかで快適な乗り心地が実現されたのです。
当初は高価な車にしか搭載されていませんでしたが、技術の進歩と製造費用が抑えられたことで、今では様々な車種で採用されています。この技術は、車の進化における重要な出来事であり、その後の緩衝装置の開発に大きな影響を与えました。
近年の自動車製造会社は、電子制御式緩衝装置をさらに進化させ、より高度な制御方式を開発することで、さらなる快適性と走行性能の向上を目指しています。例えば、道路の状態を予測して車体の高さや揺れを抑える強さを調整する仕組みや、運転する人の癖に合わせて最適な設定を行う仕組みなどが開発されています。これらの技術革新は、単に快適性を追求するだけでなく、安全性の向上にも大きく貢献しています。未来の車は、まるで路面を感じさせないスムーズな乗り心地を提供してくれることでしょう。
時代 | 緩衝装置の種類 | 特徴 | 乗り心地/走行性能 | 搭載車種 |
---|---|---|---|---|
1984年以前 | 機械式緩衝装置 | ばねの硬さや揺れを抑える部品の強さが固定 | 道路状況や車の動きに関わらず一定 | – |
1984年~ | 電子制御式緩衝装置 |
|
格段に向上、滑らかで快適 | 当初は高級車、現在は様々な車種 |
仕組み
電子制御サスペンションは、様々な部品が複雑に絡み合い、自動車の乗り心地と操縦安定性を高める仕組みです。中心となるのは、空気でできたばね、様々な情報を処理する電子制御装置、そして車や路面の状況を細かく捉える様々な感知機です。
空気ばねは、ゴムでできた袋に空気を詰めて、ばねの働きをさせています。この空気の量を調整することで、車高を自在に変えることができます。電子制御装置は、車の速さや路面の状態、運転手の操作など、様々な情報を基に、最適な空気量を計算します。そして、空気ばねに空気を送ったり抜いたりすることで、車高を調整します。
さらに、振動を抑える減衰力も電子制御弁で調整できます。これは、路面の状況に合わせて、滑らかな乗り心地と安定した走りを実現するために重要な役割を果たします。
感知機は、車の傾きや速さの変化、路面の凸凹などを感知し、その情報を電子制御装置に送ります。これらの情報は瞬時に処理され、サスペンションの制御に反映されます。例えば、高速道路を走行中に路面の凹凸を感知すると、即座に減衰力を調整し、振動を吸収することで、乗員が快適に過ごせるようにします。また、カーブを曲がるときには、車の傾きを感知し、サスペンションを制御することで、安定した走行を維持します。
このように、電子制御サスペンションは、空気ばね、電子制御装置、そして感知機が精密に連携することで、高度な制御を実現しています。この緻密な制御こそが、快適な乗り心地と優れた走行性能を両立させる要です。そして、これらの技術は日進月歩で進化しており、より快適で、より安全な乗り心地を実現するための研究開発が続けられています。
利点
電子制御式のサスペンションには、たくさんの良い点があります。何よりもまず、乗り心地が良くなります。路面の凸凹を滑らかに受け止め、乗っている人に伝わる揺れを少なくすることで、まるで雲の上を走っているような気分にさせてくれます。
このサスペンションは、走る道に合わせて車高や跳ね返りの強さを変えることができます。そのため、高速道路では安定した走りを実現し、デコボコ道でもしっかりと進むことができます。急ブレーキや急ハンドルを切った時でも、車の傾きを抑えて安全性を高めます。また、車高を変えることで、荷物の積み下ろしや乗り降りが楽になるという利点もあります。これらの利点によって、運転する人はもちろん、一緒に乗っている人も快適で安全なドライブを楽しむことができます。
電子制御式サスペンションは、快適さだけでなく環境性能も向上させます。路面の状態に合わせてサスペンションを最適に制御することで、タイヤが路面にしっかりと接地し、燃費が良くなります。
車高調整機能にも注目すべき点があります。ボタン一つで車高を上げ下げできるため、立体駐車場など高さ制限のある場所でもスムーズに駐車できます。また、荷物をたくさん積む際に車高を下げることで、重心が安定し、走行安定性が向上します。さらに、アウトドアシーンでは、車高を上げることで、悪路走破性を高め、よりアクティブなドライブを楽しむことができます。
このように、電子制御式サスペンションは、様々な面で車の性能を向上させる技術です。快適性、安全性、環境性能、そして利便性、これら全てを高い次元で実現しています。これからの技術の進歩によって、さらに素晴らしいものになることが期待されます。
メリット | 詳細 |
---|---|
乗り心地向上 | 路面の凹凸を吸収し、揺れを軽減。 |
走行安定性向上 | 路面状況に応じて車高や減衰力を調整。急ブレーキや急ハンドル時の車体の傾きを抑制。 |
利便性向上 | 車高調整により、荷物の積み下ろしや乗り降りが容易に。立体駐車場への駐車もスムーズ。 |
環境性能向上 | 最適なサスペンション制御により、タイヤの接地性を高め燃費向上。 |
悪路走破性向上 | 車高を上げることで、悪路での走破性を向上。 |
欠点
乗り心地の良さと走行安定性を両立する電子制御サスペンションですが、いくつか弱点も抱えています。まず、部品点数の多さです。従来の機械式サスペンションと比べて、電子制御サスペンションは様々な装置が追加されています。例えば、車体の傾きや速度を測る感知器、それらの情報を元にサスペンションを調整する制御装置、そしてサスペンションの硬さを変化させる駆動装置などです。これらの部品によって構成は複雑になり、当然ながら製造費用もかさみます。結果として、車両価格の上昇に繋がってしまうのです。次に、故障のリスクです。電子制御サスペンションは電子部品を多く使用しているため、どうしても機械式と比べて故障の可能性が高まります。特に、路面からの振動や衝撃、温度変化、湿気など、過酷な環境に晒される車載部品にとって、故障は避けられない問題です。もしもの故障の際には、高度な技術が必要となるため、修理費用が高額になることも覚悟しなければなりません。さらに、燃費への影響も懸念されます。電子制御サスペンションは、常時、様々な情報を収集し、制御を行う必要があります。このためには電力を消費するため、少なからず燃費に悪影響を与えてしまうのです。とはいえ、これらの弱点は技術革新によって克服されつつあります。製造技術の進歩により、部品の製造費用は抑えられ、信頼性も向上しています。また、制御システムの改良により、消費電力も抑えられています。さらに、故障診断技術も進化しており、早期発見と迅速な修理が可能になり、維持費用を抑えることにも繋がっています。このように、電子制御サスペンションは弱点を克服しながら進化を続けている技術と言えるでしょう。今後ますます発展し、快適で安全な運転を多くの人が楽しめるようになるでしょう。
メリット | デメリット | デメリットへの対策 |
---|---|---|
乗り心地の良さと走行安定性の両立 | 部品点数の多さによる製造費用、車両価格の上昇 | 製造技術の進歩による製造費用抑制 |
電子部品の使用による故障リスクの増加、高額な修理費用 | 信頼性向上、故障診断技術の進化による早期発見と迅速な修理 | |
電力消費による燃費への悪影響 | 制御システムの改良による消費電力抑制 |