強化エンジンブレーキ:トラックの制動を深掘り
車のことを知りたい
先生、「強化エンジンブレーキ」って、普通のエンジンブレーキと何が違うんですか?
車の研究家
いい質問だね。普通のエンジンブレーキは、エンジンの圧縮を利用してブレーキをかけるんだけど、その時にピストンを押し下げる反発力が発生して、ブレーキの力が弱くなってしまうんだ。強化エンジンブレーキは、その反発力をなくすことで、より強くブレーキをかけることができるんだよ。
車のことを知りたい
反発力をなくすって、具体的にはどうするんですか?
車の研究家
エンジンの中で空気を圧縮した後、膨張する時に空気を逃がす仕組みがあるんだよ。そうすることで、ピストンを押し戻す力が減って、ブレーキ力が強くなるんだ。さらに、空気を逃がした後、またバルブを閉じて、エンジンの中に負圧を作り出して、よりブレーキ力を高めるんだよ。
強化エンジンブレーキとは。
大型トラックなどに使われている『強化エンジンブレーキ』について説明します。これは、排気ブレーキと同じように、エンジンのブレーキの効きを良くする補助ブレーキです。圧縮圧解放式ブレーキとも呼ばれ、三菱の『パワータードブレーキ』や日野の『エンジンリターダー』などがこれにあたります。
エンジンは、空気を取り込んで圧縮する行程(圧縮行程)と、圧縮した空気を爆発させてピストンを動かす行程(膨張行程)を繰り返して動いています。圧縮行程では、空気を約20分の1にまで圧縮しますが、この時に抵抗が生まれます。そして次の膨張行程では、この圧縮された空気の反発力でピストンが押し下げられて、ブレーキの効きが悪くなってしまいます。
強化エンジンブレーキは、この反発力をなくす仕組みです。膨張行程になった時に、排気バルブを開けて圧縮された空気を逃がします。そうすることでピストンを押し下げる力がなくなり、ブレーキの効きが良くなります。さらに、その後バルブを閉じて、ピストンが引き上げられる時に抵抗となる負圧を作り出して、エンジンのブレーキ効果をより高めます。
仕組み
車は走るためだけでなく、安全に止まるための仕組みも重要です。その一つに、強化エンジンブレーキというものがあります。これは、主に大きな貨物自動車で使われる補助的なブレーキの仕組みです。排気ブレーキと同じように、エンジンの力を借りてブレーキの効果を高める働きをします。圧縮圧解放式ブレーキとも呼ばれ、有名なものとしては、三菱自動車工業のパワータードブレーキや、日野自動車のエンジンリターダーなどがあります。
エンジンの動きを理解すると、強化エンジンブレーキの仕組みがより分かりやすくなります。エンジンは、空気を吸い込み、圧縮し、爆発させ、排気するという4つの動作を繰り返すことで力を生み出します。圧縮の段階では、ピストンと呼ばれる部品が上に向かって動き、空気を押し縮めて体積を約20分の1にします。この時、空気を押し縮めるための抵抗が発生し、これがエンジンブレーキの最初の抵抗力となります。しかし、次の爆発の段階では、圧縮された空気がピストンを下へ押し出す力となり、せっかく生まれた抵抗力は打ち消されてしまいます。
強化エンジンブレーキは、この問題を解決するために、爆発の段階で排気バルブを開けるという工夫をしています。排気バルブを開けることで、圧縮された空気を外へ逃がし、ピストンを押し下げる力をなくすのです。さらに、排気後にはバルブを閉じ、シリンダー内を真空に近い状態にすることで、ピストンの動きに抵抗を生み出し、ブレーキの効果をさらに高めます。このように、圧縮の段階での圧縮抵抗と、爆発の段階での真空抵抗を組み合わせることで、エンジンブレーキの効果全体を大きく高めるのが、強化エンジンブレーキの仕組みです。
項目 | 説明 |
---|---|
強化エンジンブレーキ | 主に大型貨物自動車で使われる補助ブレーキ。エンジンの力を利用しブレーキ効果を高める。圧縮圧解放式ブレーキとも。 |
種類 | 三菱自動車工業のパワータードブレーキ、日野自動車のエンジンリターダーなど |
エンジンの動作 | 吸入→圧縮→爆発→排気の4つの動作を繰り返すことで力を生み出す。 |
圧縮 | ピストンが空気を約20分の1に圧縮。この時の抵抗がエンジンブレーキの最初の抵抗力。 |
爆発 | 圧縮された空気がピストンを押し下げる。 |
強化エンジンブレーキの仕組み | 爆発時に排気バルブを開けて圧縮空気を排出し、ピストンを押し下げる力をなくす。排気後にバルブを閉じ、シリンダー内を真空状態に近づけることでピストンの動きに抵抗を生み出しブレーキ効果を高める。 |
効果 | 圧縮抵抗と真空抵抗を組み合わせることでエンジンブレーキの効果全体を大きく向上させる。 |
利点
力強い制動力を持つエンジンブレーキは、数々の利点を持っています。まず、足で操作するブレーキへの負担を大きく減らすことができます。特に、長い下り坂や、たくさんの荷物を積んだ状態での運転では、足で操作するブレーキだけだと、使いすぎによる過熱やブレーキの効きが悪くなる現象が起こりやすく、安全な運転に支障をきたすことがあります。このような時に、力強いエンジンブレーキを一緒に使うことで、足で操作するブレーキの使用を減らし、安定したブレーキの効きを保つことが可能になります。
次に、燃料消費の節約にも役立ちます。エンジンブレーキは、エンジンの抵抗を利用して速度を落とすため、燃料の消費を抑える効果があります。特に、力強いエンジンブレーキはより大きな抵抗を生み出すため、燃費向上効果が一層期待できます。長い下り坂などでは、その効果は顕著に現れるでしょう。
さらに、環境への影響を少なくすることにも貢献します。ブレーキの摩擦によって生じる粉塵の発生を抑えることができるため、空気の汚れを減らすことに繋がります。環境問題への関心が高まっている現代において、この点は大きな利点と言えるでしょう。
このように、力強いエンジンブレーキは、安全性、経済性、環境性能の向上に大きく貢献するため、様々な運転状況で役立つ機能と言えるでしょう。特に、商用車や重量車など、ブレーキへの負担が大きい車両にとっては、必要不可欠な機能と言えるでしょう。
メリット | 説明 | 特に有効な場面 |
---|---|---|
ブレーキへの負担軽減 | 足ブレーキの負担を軽減し、過熱や効き低下を防ぐことで安定した制動力を確保 | 長い下り坂、荷物満載時 |
燃費向上 | エンジンの抵抗を利用し燃料消費を抑える。力強いエンジンブレーキほど効果大 | 長い下り坂 |
環境負荷低減 | ブレーキ粉塵の発生を抑え、大気汚染を軽減 | – |
種類
車を安全に走らせる上で、減速はとても大切な役目です。減速するには、主にフットブレーキを使いますが、長い下り坂などでは、ブレーキの過熱による制動力の低下が心配されます。このような時に補助的に使えるのが強化エンジンブレーキです。
強化エンジンブレーキには、大きく分けて二つの種類があります。一つ目は、排気バルブの開閉を調整する機構を持つ種類です。この種類の代表例として、三菱自動車工業が開発したパワータードブレーキが挙げられます。これは、排気バルブをエンジンの回転に合わせて開閉することで、エンジンの回転数を抑え、ブレーキの負担を軽減します。
二つ目は、排気の通り道に弁などを設けて排気の排出量を調整する種類です。この種類の代表例として、日野自動車が開発したエンジンリターダーが挙げられます。これは、排気の通り道に設けられた弁の開閉度合いを調整することで、エンジンの回転に抵抗を生み出し、減速効果を高めます。
どちらの種類も、エンジンの仕組みを利用して減速するという点では同じです。エンジンはピストンが上下運動することで動力を生み出しますが、このピストンの動きによって生まれる圧縮抵抗と膨張抵抗をブレーキの補助として利用しています。圧縮抵抗とは、ピストンが空気を圧縮する際に生じる抵抗のことで、膨張抵抗とは、圧縮された空気が膨張する際に生じる抵抗のことです。これらの抵抗を利用することで、フットブレーキの使用を減らし、安全な走行を実現します。
各自動車メーカーは、それぞれの技術を生かして様々な強化エンジンブレーキを開発しています。制御の仕方や作動する速度の範囲、効果の大きさなどは、種類によって様々です。そのため、強化エンジンブレーキを導入する際には、車の特性や用途に合った種類を選ぶことが重要になります。例えば、大型トラックやバスのような重い車を運転する場合には、より強力な減速効果を持つ種類を選ぶ必要があるでしょう。
種類 | 仕組み | 代表例 | メーカー |
---|---|---|---|
排気バルブ開閉調整式 | 排気バルブの開閉を調整し、エンジンの回転数を抑える | パワータードブレーキ | 三菱自動車工業 |
排気排出量調整式 | 排気の通り道に弁などを設け、排気の排出量を調整し、エンジンの回転に抵抗を生み出す | エンジンリターダー | 日野自動車 |
搭載車種
力強い制動装置である強化型機関停止補助装置は、主に大型の仕事で使う車に取り付けられています。例えば、荷物を運ぶ大きなトラックや人を運ぶバス、土砂などを運ぶ工事現場で働くダンプカーなどです。これらの車は、たくさんの荷物を積んだり、多くの人を乗せたりするため、車体がとても重くなります。そのため、安全に止まるための力、つまり制動力がとても大切になります。特に、山道や坂道など、ブレーキをたくさん使う場所や、長距離を走る車には、この強化型機関停止補助装置は欠かせないものと言えるでしょう。
この装置は、エンジンの力を利用して車を減速させる仕組みです。坂道を下る時などに、ブレーキペダルを踏まなくても、エンジンの力で速度を抑えることができます。そのため、ブレーキの負担を減らし、ブレーキの効きが悪くなるのを防ぐことができます。これは、安全性向上に大きく貢献しています。
近年では、交通事故を減らすための関心が高まっており、小さなトラックや一部の自家用車にも、この強化型機関停止補助装置が搭載される例が増えてきました。これまで大型車中心だったこの装置が、小型車にも広がりつつあるのです。
この装置は、運転の負担を軽くする効果もあります。長距離運転では、ブレーキペダルを踏み続けるのは疲れるものです。しかし、強化型機関停止補助装置を使えば、ペダル操作が減り、運転手の疲労軽減につながります。また、下り坂で速度が出過ぎるのを防ぐ効果もあるので、安全運転にも役立ちます。
今後、この装置は、環境保護の観点からも注目されるでしょう。ブレーキを使う回数を減らすことで、ブレーキ部品の摩耗が少なくなり、部品交換の頻度が減ります。これは、資源の節約にもつながります。このように、様々な利点を持つ強化型機関停止補助装置は、将来、もっと多くの車に取り付けられていくことが期待されます。
項目 | 内容 |
---|---|
搭載車両 | 大型トラック、バス、ダンプカーなど。近年では小型トラックや一部の自家用車にも搭載が増加。 |
目的 | 安全な制動力の確保、ブレーキの負担軽減、運転手の疲労軽減、環境保護 |
仕組み | エンジンの力を利用して車を減速。坂道下りでブレーキペダルを踏まなくても速度抑制が可能。 |
効果 | ブレーキの効き悪化防止、安全性向上、運転負担軽減、ブレーキ部品摩耗減少、資源節約 |
将来展望 | 更なる普及が見込まれる。 |
将来展望
自動車の未来を考える上で、強化エンジンブレーキは安全性、経済性、環境性能の向上に欠かせない重要な技術と言えるでしょう。この技術は、様々な面で進化を続け、私たちの暮らしをより豊かにしてくれる可能性を秘めています。
まず、安全性の向上という点では、自動運転技術との連携が大きな鍵となります。周りの状況を把握する様々な装置を使って、車の速度や道路の状態、前方の車との距離などを細かく調べ、エンジンブレーキの強さを自動で調整する仕組みが実現するでしょう。これにより、運転する人の負担を軽くするだけでなく、事故を防ぐ効果も期待できます。例えば、下り坂で前の車が急に減速した場合、自動でエンジンブレーキが作動して車間距離を適切に保ち、追突事故を防ぐといった状況が考えられます。
次に経済性については、燃料消費を抑えるという点で大きな効果が期待できます。エンジンブレーキを効果的に使うことで、通常のブレーキを使う機会が減り、ブレーキ部品の摩耗も抑えられます。結果として、維持費の節約にも繋がるでしょう。
環境性能の向上という点でも、強化エンジンブレーキは大きな役割を果たします。ブレーキを踏む回数が減ることで、ブレーキダストの発生が抑えられ、大気汚染の軽減に貢献します。また、電気で動く車やガソリンと電気を併用する車では、回生ブレーキと組み合わせることで、より効率的にエネルギーを回収できるようになります。これは、走行距離の向上に繋がり、環境負荷の低減に大きく貢献するでしょう。
このように、強化エンジンブレーキは、自動車技術の進歩と共に、様々な可能性を秘めています。自動運転技術との融合、電気自動車への応用など、未来の車社会において中心的な役割を果たす技術として、更なる発展が期待されます。
観点 | 内容 |
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安全性 | 自動運転技術との連携により、エンジンブレーキの強さを自動調整。
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経済性 | 燃料消費を抑え、ブレーキ部品の摩耗も軽減。
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環境性能 | ブレーキダスト発生抑制による大気汚染軽減。
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