ポンプの脈動を抑える技術
車のことを知りたい
先生、「ポンプ脈動」ってどういう意味ですか?なんか難しそうです。
車の研究家
簡単に言うと、ポンプで送られる液体の流れが、波のように強くなったり弱くなったりすることだよ。歯車ポンプなどでよくあるんだ。たとえば、自転車の空気入れを想像してみて。押すたびに空気が出て、その間は出ないよね。ああいう感じで、流れが一定じゃないんだ。
車のことを知りたい
ああ、なんとなくわかります。でも、それが何で問題になるんですか?
車の研究家
脈動があると、音がうるさくなったり、ポンプや配管に負担がかかったりするんだ。だから、脈動が少ない方が良い場合が多いんだよ。扇風機みたいに連続的に送るタイプのポンプだと、脈動はほとんどないんだよ。
ポンプ脈動とは。
歯車のような形をした複数の歯を持つポンプや、歯車ポンプといった、決まった量の液体を出すポンプを使うと、送り出される液体には、波のように強弱が繰り返される成分が含まれます。この繰り返しのせいで、音が発生する場合もあります。また、ルーツブロワーという空気などを圧縮する機械でも、同じように波のような強弱が発生します。これに対して、タービンなどの軸に沿って液体を流すタイプや、遠心力を使って液体を送り出すタイプのポンプでは、ほぼ強弱のない圧力をかけた液体を送り出すことができます。
脈動とは
押し出す力や圧縮する力を利用する機械は、私たちの暮らしを支える様々な場面で活躍しています。しかし、これらの機械を使う際に、どうしても避けられない現象があります。それが脈動です。脈動とは、液体や気体などの流れが周期的に変化する現象のことを指します。まるで心臓の鼓動のように、流体の流れが強まったり弱まったりを繰り返すのです。
この脈動は、機械の内部構造や、扱う液体、気体の性質など、様々な原因によって引き起こされます。例えば、回転する羽根を使って液体を送り出すポンプを考えてみましょう。羽根が回転するたびに、液体は断続的に押し出されます。この時、まるで波のように流れが強まったり弱まったりするわけです。これが脈動です。また、ピストンを使って液体を押し出すポンプでも同様の現象が見られます。ピストンが前後に動くたびに液体が吐き出されるため、脈動が発生するのです。
脈動は、単に流れが変動するだけではありません。配管に振動を起こしたり、騒音を発生させたりする原因となります。さらに、機械の寿命を縮めたり、最悪の場合は故障に繋がることもあります。
このような脈動による悪影響を防ぐためには、脈動を抑える様々な工夫が凝らされています。例えば、配管の途中に脈動を吸収する装置を取り付けたり、ポンプの構造を工夫して脈動の発生を抑えたりするなど、様々な方法が用いられています。脈動を理解し、適切な対策を施すことは、機械を安全かつ効率的に運用するために非常に重要なことなのです。
脈動とは | 液体や気体などの流れが周期的に変化する現象 |
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発生原因 | 機械の内部構造(例: ポンプの羽根の回転、ピストンの往復運動) 扱う液体、気体の性質 |
脈動の影響 | 配管の振動 騒音の発生 機械の寿命短縮 機械の故障 |
脈動対策 | 脈動吸収装置の設置 ポンプ構造の工夫 |
脈動の原因
車は、様々な部品が組み合わさって動いています。その中で、燃料や冷却水、潤滑油などを送り出す役目を担うのが「ポンプ」です。ポンプには色々な種類がありますが、車でよく使われるものの中には、送り出す液体の流れに「脈動」と呼ばれるムラが生じるものがあります。この脈動は、乗り心地や部品の寿命に影響を与えることがあるため、その原因を理解することは重要です。
脈動の主な原因は、「容積型ポンプ」と呼ばれる種類のポンプの構造にあります。容積型ポンプは、内部の空間の大きさを周期的に変えることで液体を送り出します。この空間の大きさの変化が、脈動を生み出す根本的な原因です。
例えば、「歯車ポンプ」を考えてみましょう。歯車ポンプは、かみ合った歯車が回転することで液体を送り出します。歯車の歯と歯の間の空間に入った液体が、歯車の回転に伴って押し出されることで流れが生じます。しかし、この流れは一定ではなく、歯車が回転するたびに液体が押し出されるため、流れに強弱が生じ、脈動が発生します。
また、「羽根車ポンプ」も容積型ポンプの一種です。羽根車ポンプは、回転する羽根車が、ポンプのケースとの間に作り出す空間の大きさを変化させることで液体を送り出します。この空間の大きさの変化も周期的に起こるため、やはり脈動が生じます。羽根車が回転するたびに、羽根とケースの間の空間の容積が大きくなったり小さくなったりすることで、液体の流れにムラができてしまうのです。
さらに、「ピストンポンプ」も脈動を生み出すポンプです。ピストンポンプは、シリンダーの中をピストンが往復運動することで液体を送り出します。ピストンが押し出す時に液体が流れ、ピストンが戻る時には流れないため、断続的な流れとなり、脈動が発生します。
このように、容積型ポンプは、その構造上、どうしても脈動を発生させてしまうという課題を抱えています。この脈動を抑えるために、様々な工夫が凝らされていますが、完全に無くすことは難しいのが現状です。
ポンプの種類 | 脈動発生のメカニズム |
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歯車ポンプ | 歯車の歯と歯の間の空間に入った液体が、歯車の回転に伴って押し出される際に、流れに強弱が生じる。 |
羽根車ポンプ | 羽根車が回転するたびに、羽根とケースの間の空間の容積が大きくなったり小さくなったりすることで、液体の流れにムラができる。 |
ピストンポンプ | ピストンが押し出す時に液体が流れ、ピストンが戻る時には流れないため、断続的な流れとなる。 |
脈動の影響
機械の動きで生まれる、まるで脈打つような圧力の変化。これを脈動と呼びます。この脈動は、機械や周辺環境に様々な悪影響を及ぼすのです。
まず、配管に脈動が伝わると、配管自体が振動を始めます。この振動は、耳障りな騒音を生み出し、工場などで働く人の作業環境を悪化させます。さらに、騒音は工場の外へも広がり、近隣住民の生活に迷惑をかける可能性も無視できません。また、振動は配管を疲れさせ、ひび割れや破損の原因にもなります。まるで金属疲労のように、少しずつダメージが蓄積され、最終的には重大な事故につながる恐れもあるのです。
脈動の影響は配管だけに留まりません。ポンプや圧縮機といった機械本体にも悪影響を及ぼします。機械自身の振動や騒音が大きくなり、内部の軸受けが早く摩耗したり、密閉性を保つためのシール部分が損傷したりするのです。これらは機械の寿命を縮める大きな要因となります。脈動が大きければ大きいほど、これらの悪影響は深刻化し、機械の交換頻度を高め、維持管理にかかる費用を増大させることにつながります。
加えて、脈動は流体の圧力を不安定にします。これは、精密な制御を必要とする工程において、制御装置が正確に動作しなくなる原因となります。また、圧力の変動は測定機器の精度を低下させ、正しいデータを得ることを難しくします。特に、化学工場や薬品製造など、正確な流量制御が不可欠な工程では、脈動の影響を最小限に抑える対策が必要不可欠です。脈動を抑えることは、安定した操業、製品の品質維持、そして安全確保のために非常に重要なのです。
脈動の影響を受ける対象 | 具体的な影響 |
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配管 |
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ポンプ、圧縮機などの機械本体 |
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流体、制御、測定 |
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脈動の抑制方法
機械の動きで発生する振動、脈動を抑えることは、装置の寿命を延ばし、安定した動作を確保するために欠かせません。脈動を抑えるには、いくつかの方法があります。
まず、脈動を抑える装置として「蓄圧器」があります。これは、配管の中に組み込まれ、内部の空気やばねの力を利用して、脈動による圧力の変化を吸収する仕組みです。ちょうど、水の入ったバケツを揺らした時に、水面が大きく波立つところを、スポンジを入れることで波立ちを抑えるような働きをします。蓄圧器を使うことで、配管全体に伝わる脈動を少なくすることができます。
次に、複数のポンプを組み合わせる方法です。ポンプは、一つ一つが脈動を生み出しますが、二つのポンプをタイミングをずらして動かすことで、互いの脈動を打ち消し合うことができます。これは、波がぶつかり合って打ち消し合う現象と似ています。この方法も、脈動を効果的に抑えることができます。
さらに、ポンプの回転速度を調整する方法もあります。ポンプの回転速度を変えることで、脈動の周期も変化します。特定の周期の脈動は、配管と共鳴して大きな振動を引き起こす可能性があります。ちょうど、ブランコをタイミングよく押すと大きく揺れるように、配管にも特定の振動しやすい周期があります。ポンプの回転速度を調整することで、この共鳴を避けることができます。
最後に、配管自体の設計も重要です。配管の太さ、長さ、曲がり具合など、設計段階から脈動の影響を考慮することで、脈動の伝わり方を抑えることができます。例えば、太い配管は細い配管よりも脈動の影響を受けにくく、急な曲がり角は脈動を増幅させる可能性があります。最適な配管設計は、脈動抑制の効果を高める上で重要な要素となります。
方法 | 仕組み | 例え |
---|---|---|
蓄圧器 | 配管に組み込み、空気やばねの力で圧力変化を吸収 | バケツの水面にスポンジを入れて波立ちを抑える |
複数ポンプ | 複数のポンプをタイミングをずらして動かし、互いの脈動を打ち消す | 波がぶつかり合って打ち消し合う |
ポンプ回転速度調整 | 回転速度を変えることで脈動の周期を変化させ、共鳴を避ける | ブランコをタイミングよく押すと大きく揺れる |
配管設計 | 配管の太さ、長さ、曲がり具合を調整し脈動の伝わり方を抑える | 太い配管は脈動の影響を受けにくい、急な曲がり角は脈動を増幅させる |
遠心ポンプと軸流ポンプ
遠心羽根車を使う遠心ポンプと、軸方向に流体を動かす軸流ポンプは、どちらも羽根車を回して流体に力を加え、勢いを増して圧力を高める仕組みです。これらは容積式ポンプのように、空間の大きさを変えて流体を動かす方式とは違い、流体が切れ目なく流れるので、流れのムラ(脈動)が少なく、安定した水の流れを作ることができます。
遠心ポンプは、中心から外側へ向かって広がる羽根車を高速で回転させることで、流体を外側へ飛ばすようにして勢いをつけ、圧力を高めます。この遠心力を使った仕組みのおかげで、比較的小さな装置でも高い圧力を生み出すことができ、様々な用途で使われています。例えば、家庭で使われる水道や、工場での水の循環など、私たちの生活には欠かせない存在です。
一方、軸流ポンプは、プロペラのような羽根車を回転させることで、流体を軸方向、つまり羽根車の回転軸に平行な方向へ流して圧力を高めます。遠心ポンプに比べると圧力はそれほど高くできませんが、大量の水を比較的低い圧力で送ることに得意です。そのため、大量の水を扱う場面、例えば、農業用水路や河川での排水などに多く使われています。
どちらのポンプも、脈動が少ない滑らかな流れを作るのが得意です。しかし、粘り気が強い液体や、固形物が混ざった液体にはあまり向きません。また、流れる量が変わると圧力も変わるため、流量を一定に保つ必要がある場合は、特別な調整が必要になります。それぞれのポンプの特性を理解して、適切な用途を選ぶことが大切です。
項目 | 遠心ポンプ | 軸流ポンプ |
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羽根車の形状 | 中心から外側へ向かって広がる | プロペラ状 |
流体の動き | 中心から外側へ | 軸方向(回転軸に平行) |
圧力 | 高圧 | 低圧 |
流量 | 比較的小さい | 大きい |
用途 | 水道、工場での水の循環 | 農業用水路、河川での排水 |
得意な点 | 小さな装置で高圧 | 大量の水を低圧で送水 |
共通の弱点 | 粘度の高い液体や固形物が混ざった液体に不向き、流量変化で圧力変動 |