車の電動化:P0~P4ハイブリッドシステム
車のことを知りたい
先生、「P0〜P4ハイブリッドシステム」って複雑でよくわからないです。簡単に説明してもらえますか?
車の研究家
そうですね。簡単に言うと、P0〜P4は、どこにモーターを置くかで分類されるハイブリッドシステムの種類を表しています。P0はエンジンと変速機の外側に、P1、P2はエンジンの出力軸上に、P3は変速機付近に、P4はエンジンとは独立した位置にモーターを置く方式です。
車のことを知りたい
なるほど。場所によって何が変わるんですか?
車の研究家
モーターの配置場所によって、燃費の向上効果やシステムの複雑さ、コストが変わってきます。例えば、P0は簡易的なシステムでコストが低いですが、燃費向上効果は小さいです。一方、P4はより複雑でコストは高くなりますが、燃費向上効果は大きくなります。
P0〜P4ハイブリッドシステムとは。
自動車のエンジンとモーターを組み合わせた仕組みである『P0からP4までのハイブリッドシステム』について説明します。この呼び方は、ヨーロッパの技術会社や、ボッシュ、コンチネンタルといった大きな部品供給会社、ボルグワーナーのような変速機メーカーなどが提案している比較的簡単なハイブリッドシステムの名前です。『P』と数字を組み合わせて、『P0』『P1』『P2』『P3』『P4』のように呼ばれます。
P0は、エンジンと変速機のまとまりの外側に、始動用モーターと発電機を兼ねた装置を置く方式です。最も簡単な仕組みで、燃費向上効果は3%程度の、ごく小さなハイブリッドシステムです。スズキの『エネチャージ』のように、低価格であることが特徴です。
P1とP2は、エンジンの出力軸に、始動用モーターと発電機を兼ねた装置を置き、クラッチでその働きを繋いだり切ったりする方式です。いわゆる簡易型のハイブリッドです。
P3は、変速機の中、あるいは変速機よりも後の部分にモーターを置く方式です。ボルグワーナーでは『PS』と呼んでいます。これも簡易型のハイブリッドの一種です。
P4は、エンジンの仕組みとは別に、駆動用のモーターを置く方式です。前輪駆動車の場合、後輪を独立して動かすモーターになります。あるいは、車輪の中にモーターを組み込む場合もあります。コンチネンタルでは、エンジンからの動力を伝える車軸の中に駆動モーターを置く場合もP4と呼んでいます。
さらに、車輪の軸受けで世界一の日本のNTNは、車輪の中に組み込むモーターに加えて、軸の部分に小さな補助モーターを内蔵した『e-HUB』を開発し、独自にP5と呼んでいます。
P0からP4が何を指すかは、今のところ会社によって様々で、はっきりとした決まりはありません。
様々なハイブリッド方式
自動車の電動化の流れが加速する中で、様々な組み合わせ式の動力装置が登場しています。これらは、燃料消費量を抑えたり、走行能力を高めることを目指し、動力源としてエンジンと電動機を組み合わせた仕組みを採用しています。中でも、P0からP4と呼ばれる組み合わせ式動力装置は、ヨーロッパの技術開発会社や大手部品製造会社が提案した比較的シンプルな仕組みです。これらの仕組みは、電動機の設置場所や役割によって分類され、それぞれ異なる特徴を持っています。
まずP0は、エンジンの回転を補助する電動機を、エンジンの回転軸とベルトでつなぐ簡単な仕組みです。この電動機は、始動時や加速時の補助、発電機の役割などを担います。比較的安価に導入できるため、燃費改善の入門的な方法として人気です。次にP1は、エンジンと変速機の間にある電動機が、エンジンの始動や変速を滑らかにする役割を果たします。こちらもP0と同様に、導入しやすい仕組みです。P2は、変速機に直接電動機を組み込んだもので、エンジンと電動機の出力を組み合わせることで、力強い加速を実現できます。
P3は、駆動軸に電動機を配置する仕組みで、エンジンを停止した状態での電動走行も可能です。より高度な電動化に一歩近づいたシステムと言えます。最後にP4は、後輪の駆動軸に電動機を配置し、前輪をエンジンで駆動する仕組みです。これにより、四輪駆動を実現でき、走行安定性を向上させる効果があります。このようにP0からP4は、電動機の配置や役割が異なることで、それぞれ異なる特性を発揮します。自動車製造会社は、これらの多様な選択肢を活かすことで、様々な利用者の要望に合わせた電動化戦略を進めています。
分類 | 電動機の設置場所 | 役割・特徴 |
---|---|---|
P0 | エンジンの回転軸とベルトで接続 | 始動時や加速時の補助、発電機の役割。比較的安価。 |
P1 | エンジンと変速機の間 | エンジンの始動や変速を滑らかにする。導入しやすい。 |
P2 | 変速機に直接組み込み | エンジンと電動機の出力を組み合わせ、力強い加速を実現。 |
P3 | 駆動軸 | エンジン停止状態での電動走行も可能。 |
P4 | 後輪の駆動軸 | 前輪をエンジンで駆動、後輪を電動機で駆動する四輪駆動。走行安定性向上。 |
簡素な仕組みのP0
動力補助型の簡易な仕組みを持つP0型混合動力装置について解説します。P0型は、最も基本的な混合動力装置です。仕組みは、動力を生み出す原動機の出力軸の外側に、始動電動機と発電機を兼ねた装置(ISG)を配置する形をとります。このISGは、原動機である内燃機関の始動と停止を助ける働きをします。
ISGは単なる始動補助装置ではなく、内燃機関の動力を用いて発電機としても機能します。車は減速する際に失われる運動エネルギーを、ISGによって電気エネルギーに変換し、蓄電池にためます。この電気エネルギーは、後に加速時など、内燃機関を補助する動力として再利用されます。
P0型混合動力装置は、燃費向上効果は3%程度です。効果が小さい理由は、ISGが内燃機関の出力軸に直接繋がっておらず、動力の伝達効率が低いためです。しかし、仕組みが簡素なため、製造費用を抑えることができます。このため、購入しやすい価格帯の車両に搭載されることが多いです。一例として、ある自動車製造会社の『充電補助装置』などが挙げられます。
P0型は、簡易な仕組みと低価格という利点から、混合動力車の入門機として広く普及しました。近年では、より燃費向上効果の高い、複雑な仕組みの混合動力装置も開発されていますが、P0型混合動力装置は、費用対効果のバランスの良さから、依然として多くの車に採用されています。P0型は、環境性能と価格の両立を目指す上で、重要な役割を担っていると言えるでしょう。
項目 | 内容 |
---|---|
種類 | P0型 混合動力装置 |
仕組み | 原動機出力軸の外側に、始動電動機と発電機を兼ねたISGを配置 |
ISGの機能 | 1. 内燃機関の始動/停止補助 2. 発電機(減速時の運動エネルギーを電気エネルギーに変換し蓄電池に貯蔵) 3. 内燃機関の動力補助(加速時など) |
燃費向上効果 | 約3%(ISGが出力軸に直接繋がっておらず、動力伝達効率が低いため) |
メリット | 製造費用が安く、購入しやすい価格帯の車両に搭載可能 |
例 | ある自動車製造会社の『充電補助装置』 |
普及状況 | 混合動力車の入門機として広く普及 |
現状 | 費用対効果のバランスの良さから、依然として多くの車に採用 |
出力軸に組み込まれるP1とP2
車の動力伝達装置の一部である出力軸に、P1とP2と呼ばれる二種類の仕組みを取り入れることができます。これらは、ISG(統合スターター発電機)を使って燃費を良くする技術で、どちらもエンジンの出力軸にISGを組み込み、動力の伝わり方を切り替える装置を備えています。
P1方式は、エンジンの出力軸と変速機の間にISGと切り替え装置を配置します。エンジンと変速機を切り離すことで、モーターのみでの走行や、減速時のエネルギー回生を可能にします。これにより、燃費の向上に貢献します。
一方、P2方式では、変速機の後方、つまり駆動輪側にISGと切り替え装置を配置します。P1方式と同様にモーターのみでの走行やエネルギー回生が可能ですが、P1方式よりも複雑な制御を行うことができます。例えば、変速機と協調したより細やかな制御によって、エンジンの効率の良い回転域を維持しやすくなるため、P1方式よりも高い燃費向上効果が期待できます。
P1とP2はどちらも、補助的な役割を担う小型モーターを用いる「簡易な混合動力」に分類されます。エンジンをメインの動力源としつつ、モーターによる補助を行うことで、燃費向上と力強い走りを両立させています。
どちらの方式も、切り替え装置によってエンジンの動力を伝えたり、遮断したりすることで、様々な運転状況に対応します。例えば、発進時はモーターのみで静かに滑らかに動き出し、加速時にはエンジンとモーターの両方が力を合わせて力強い加速を実現します。また、減速時にはモーターで発電を行い、その電力をバッテリーに蓄えます。このように、状況に応じて最適な動力源を使い分けることで、燃費を向上させています。
項目 | P1方式 | P2方式 |
---|---|---|
ISGの位置 | エンジンの出力軸と変速機の間 | 変速機の後方(駆動輪側) |
制御の複雑さ | 比較的単純 | 複雑 |
燃費向上効果 | あり | P1方式より高い |
モーターの役割 | 補助的 | 補助的 |
動力伝達 | 切り替え装置によりエンジンの動力を伝達/遮断 | 切り替え装置によりエンジンの動力を伝達/遮断 |
機能 | モーターのみでの走行、エネルギー回生、エンジンとモーターの協調 | モーターのみでの走行、エネルギー回生、エンジンとモーターの協調 |
変速機とモーターの統合:P3
力装置『P3』は、乗用車の燃費向上を大きく期待できる技術です。P3とは、一体どんな仕組みなのでしょうか。
まず、『P3』という名前は、動力の流れの中で電動モーターがどこに配置されているかを表しています。エンジンに近い方からP0、P1、P2…と番号が振られており、P3は変速機の中、あるいは変速機のすぐ後ろにモーターを置く方式を指します。
この配置の利点は、エネルギーの回収と動力の伝達を効率良く行えることです。車が減速する時、通常はブレーキでエネルギーが熱として失われてしまいます。しかしP3では、モーターを発電機として使い、減速時のエネルギーを電気として回収できます。この電気はバッテリーに蓄えられ、加速時などにモーターを駆動する電力として再利用されます。この仕組みにより、無駄なエネルギー消費を抑え、燃費を向上させることができます。
P3は『少しだけ電気の力を使う仕組み』に分類されます。少しだけ電気の力を使う仕組みにもいくつか種類がありますが、P3はP1やP2といった他の種類よりも、より高度な制御を行い、燃費向上効果も大きいという特徴があります。
変速機とモーターを一体化させることは、システム全体の効率を高める上で重要な要素です。部品点数を減らせるだけでなく、より精密な制御が可能になるからです。また、自動車メーカーによっては、P3のことを『PS』と呼ぶ場合もあります。呼び方は違っても、基本的な仕組みは同じです。P3は、環境性能に優れた自動車を実現するための重要な技術と言えるでしょう。
項目 | 内容 |
---|---|
名称 | P3 (別名: PS) |
定義 | 変速機の中、あるいは変速機のすぐ後ろにモーターを置く方式 |
分類 | 少しだけ電気の力を使う仕組み |
利点 | エネルギーの回収と動力の伝達を効率良く行える / 燃費向上効果が大きい |
特徴 |
|
効果 | 燃費向上 / 環境性能向上 |
独立駆動方式:P4
独立駆動方式、P4とは、エンジンによる駆動力とは別に、モーターだけで車を動かすことができる仕組みです。
例えば、前輪をエンジンで動かす車の場合、後ろの車輪にモーターを取り付けることで、四輪駆動車のように走らせることができます。四輪それぞれにモーターを組み込む「インホイールモーター」も、このP4方式に含まれます。
P4方式の大きな利点は、エンジンとモーターの動力をそれぞれ別々に調整できることです。これにより、とても細かな制御ができるようになり、燃費を良くするだけでなく、車の走りそのものを向上させることにも繋がります。
具体的には、滑りやすい路面では、四輪それぞれのモーターを細かく制御することで、安定した走行を保つことができます。また、カーブを曲がる時にも、内側と外側の車輪の回転速度をそれぞれ変えることで、スムーズに曲がることができます。
最近では、スポーツカーのような高い走行性能を持つ車にも、このP4方式が採用されるようになってきました。力強い加速や、思い通りのハンドリングを実現するために、モーターによる駆動力の制御が重要な役割を果たしているのです。
さらに、P4方式は、近年人気の高い多目的スポーツ車にも多く採用されています。悪路での走破性を高めるために、四輪駆動は欠かせない機能となっています。P4方式は、従来の機械的な四輪駆動システムに比べて、燃費が良く、部品点数が少ないという利点もあるため、今後ますます普及していくと考えられます。
項目 | 説明 |
---|---|
P4(独立駆動方式)とは | エンジンによる駆動力とは別に、モーターだけで車を動かすことができる仕組み。前輪をエンジンで動かし、後輪をモーターで動かす、あるいは四輪それぞれにモーターを組み込む(インホイールモーター)方式も含まれる。 |
P4の利点 | エンジンとモーターの動力を別々に調整できるため、細かな制御が可能。燃費向上、車の走り向上に繋がる。 |
P4の効果 |
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P4のメリット | 従来の機械式四輪駆動と比べ、燃費が良く、部品点数が少ない。 |
P4の採用車種 | スポーツカー、多目的スポーツ車 |
進化し続けるハイブリッド技術
組み合わせ式の動力源である混成車は、絶え間ない技術革新によって進化を続けています。様々な方式があり、それらはP0からP4と分類されています。この分類は、電動機が動力を伝える仕組みの違いを表しています。P0は、エンジンにモーターを直接繋げる最も単純な方式で、始動や加速の補助を行います。P1は、エンジンと変速機の間にモーターを配置し、より効率的に動力の補助や回生を行います。P2は、P1と同様にエンジンと変速機の間にモーターを配置しますが、モーターのみでの走行も可能です。P3は、変速機の後方にモーターを配置し、より力強い駆動力を生み出します。P4は、後輪をモーターで駆動する方式で、四輪駆動を実現できます。
自動車を作る会社は、車の大きさや用途、販売する地域の好みに合わせて、最適な方式を選んでいます。どの方式も、燃費を良くしたり、走りを良くしたりするために、常に改良が続けられています。例えば、日本の軸受を作る会社であるNTNは、車輪の中に組み込む電動機に、小さな補助の電動機を組み合わせた「e-HUB」という新しい技術を開発し、これをP5と呼んでいます。これは、車輪の中にモーターを組み込むことで、より効率的な駆動と回生を実現するものです。
このように、混成車の技術は、新しい技術が次々と開発され、進化し続けています。今後も様々な混成方式が登場し、電気で走る車の普及を後押ししていくでしょう。近い将来、より燃費が良く、環境に優しく、快適な走りができる混成車が、私たちの生活をより豊かにしてくれるはずです。
分類 | モーター配置 | 特徴 |
---|---|---|
P0 | エンジン直結 | 始動・加速補助 |
P1 | エンジンと変速機の間 | 動力補助・回生 (効率的) |
P2 | エンジンと変速機の間 | 動力補助・回生・モーターのみ走行可能 |
P3 | 変速機の後方 | 力強い駆動力 |
P4 | 後輪 | 四輪駆動 |
P5 (e-HUB, NTN) | 車輪内(ハブ) + 補助モーター | 効率的な駆動と回生 |