車の燃費向上に貢献するISGとは?

車の燃費向上に貢献するISGとは?

車のことを知りたい

先生、「ISG」って、エンジンの始動と発電をする装置ですよね?でも、種類があるって聞いたんですけど、違いがよく分かりません。

車の研究家

そうだね。ISGには大きく分けて二つの種類がある。一つはエンジンの出力軸と同じ軸に取り付けるリング状のもの。もう一つはベルトで駆動させる、普通の発電機に似た形の物だ。

車のことを知りたい

軸に取り付けるのと、ベルトで駆動させるのとでは、何が違うんですか?

車の研究家

軸に取り付ける方はより強力なモーターで、マイルドハイブリッドという少し燃費の良い車に使われる。ベルトで駆動させる方はマイクロハイブリッドという更に燃費を良くするためのシステムに使われるんだ。

ISGとは。

『ISG』とは、車に使われる部品の一つで、エンジンの始動モーターと発電機の役割を両方こなす補助的な駆動装置のことです。エンジンの回転力を伝える軸や変速機につながる軸と同じ軸の上に、リング状の形で配置されている場合に『ISG』と呼ばれます。また、エンジンの補機類を動かすベルトで駆動するタイプの『ISG』もあり、こちらは『ISG』または『BSG』(ベルト駆動式始動発電機)と呼ばれ、一般的な発電機に似た見た目です。ISGはマイルドハイブリッド車、BSGはマイクロハイブリッド車に使われることが多いです。ヨーロッパでは、従来の12ボルト電源の4倍の電圧である48ボルト電源でISGを動かし、燃費を向上させる技術開発が進んでいます。この48ボルト電源システムで重要な役割を担うのが、ISGです。

始動と発電を一つに

始動と発電を一つに

車は、エンジンをかける装置と電気を起こす装置を別々に持っていました。しかし、近年の技術革新により、これらの機能を一つにまとめた装置が登場しました。それが一体型始動発電機、略してISGです。

従来の車では、エンジンをかけるには始動装置(スターター)、電気を起こすには発電機(オルタネーター)と、それぞれ別の装置が必要でした。ISGは、この二つの機能を一つに統合した画期的な装置です。これにより、装置全体の大きさと重さを減らすことに成功しました。部品点数が減ることで、車の設計の自由度も高まり、より広い空間を確保できるようになりました。

ISGの役割は、エンジンをかける、電気を起こすだけにとどまりません。ISGはモーターとしても働くことができるのです。発進時や加速時など、エンジンに大きな力が求められる時に、ISGはモーターとしてエンジンを補助します。これにより、エンジンの負担を軽減し、燃費を向上させる効果があります。また、減速時には、ISGは発電機として働き、発生した電気をバッテリーに蓄えます。この電気は、次にエンジンを始動させるときや、モーターとして使うときに再利用されます。

近年の車の燃費向上への要求はますます高まっています。環境への配慮も、車を選ぶ上で重要な要素となっています。このような状況下で、ISGは環境性能に優れた車の重要な部品として、ますます注目を集めています。ISGを搭載した車は、燃費が良く、環境にも優しい、まさに次世代の車と言えるでしょう。

項目 従来の車 ISG搭載車
始動装置 スターター ISG (一体型始動発電機)
発電機 オルタネーター
大きさ・重さ 大きい・重い 小さい・軽い
設計自由度 低い 高い
モーター機能 なし あり
燃費 低い 高い
環境性能 低い 高い

配置場所による種類

配置場所による種類

自動車の燃費向上技術として注目されている、統合スターター発電機(ISG)について、その設置場所による違いを詳しく見ていきましょう。ISGは大きく分けて二つの種類があり、それぞれ異なる特徴を持っています。一つ目は、エンジンの出力軸である回転軸と同じ場所に設置されるタイプです。このタイプは輪のような形をしており、エンジンの動力源と直接つながっているため、大きな力を発生させることができます。このため、力強いモーター走行や効果的なエネルギー回収を行うことが可能です。このような特性から、比較的大型のハイブリッド車(マイルドハイブリッド車)に搭載されることが一般的です。

二つ目は、エンジンの補機類を動かすベルトによって駆動されるタイプです。ベルト駆動スターター発電機(BSG)とも呼ばれ、従来の充電装置とよく似た見た目です。このタイプは、エンジンの回転力を利用して発電を行うと同時に、モーターとしても機能します。発電した電気はバッテリーに蓄えられ、エンジンの始動や加速時の補助に利用されます。比較的小型のハイブリッド車(マイクロハイブリッド車)によく搭載され、低燃費化に貢献しています。どちらのタイプも、減速時に発生するエネルギーを電気に変換して回収する回生機能や、加速時にモーターの力でエンジンを補助する機能を備えています。これらの機能により、燃費の向上だけでなく、スムーズな発進や静かな走行も実現しています。このようにISGは設置場所によって種類が異なり、それぞれ異なる役割を担うことで、自動車の低燃費化に貢献しているのです。

項目 P1.エンジン出力軸同軸タイプ P2.ベルト駆動タイプ(BSG)
設置場所 エンジンの出力軸(回転軸)と同軸 エンジンの補機類を動かすベルトで駆動
形状 輪のような形 従来の充電装置とよく似た見た目
出力 大きい 比較的小さい
機能 力強いモーター走行、効果的なエネルギー回収 発電、エンジンの始動/加速補助
搭載車種 比較的大型のハイブリッド車(マイルドハイブリッド車) 比較的小型のハイブリッド車(マイクロハイブリッド車)
共通機能 回生機能、加速時のモーターアシスト 回生機能、加速時のモーターアシスト

燃費向上への貢献

燃費向上への貢献

燃費を良くするための技術の一つに、統合始動発電機(ISG)というものがあります。この装置は、状況に応じて電動機になったり発電機になったりすることで、燃費の向上に役立っています。

まず、エンジンをかける時ゆっくり走る時には、ISGは電動機として働きます。エンジンの代わりにクルマを動かすことで、エンジンの負担を軽くし、燃料の消費を抑えます。特に、発進時や低速走行時はエンジンが多くの燃料を使うため、ISGの補助は大きな効果があります。

次に、ブレーキを踏んで減速する時には、ISGは発電機に早変わりします。普段は捨てられているブレーキのエネルギーを使って発電し、その電気をバッテリーにためておきます。この電気は、後で加速する時などに電動機を動かすエネルギーとして使われます。

さらに、ISGはアイドリングストップ機構と組み合わせることで、より大きな効果を発揮します。信号待ちなどでクルマが止まっている間、エンジンを止めておくことで、無駄な燃料の消費を完全に無くすことができます。エンジンを再始動する際にも、ISGが電動機としてエンジンを assistするので、スムーズに再始動できます。

このように、ISGは様々な場面で活躍することで、クルマの燃費向上に大きく貢献しています。ISGは、環境保護の観点からも重要な技術と言えるでしょう。

状況 ISGの役割 効果
エンジン始動時/ゆっくり走る時 電動機 エンジンの負担軽減、燃料消費抑制
ブレーキを踏んで減速する時 発電機 ブレーキエネルギー回生、バッテリー充電
アイドリングストップ時 電動機(再始動時) 無駄な燃料消費抑制、スムーズな再始動

システム電源の進化

システム電源の進化

近年の自動車業界では、環境への配慮と快適性の向上が重要な課題となっています。こうした中、自動車のシステム電源電圧を従来の12ボルトから48ボルトに引き上げる動きが、特にヨーロッパを中心に広がりを見せています。この高電圧化は、自動車の電動化を加速させ、燃費向上や快適装備の充実といった様々な恩恵をもたらすものとして注目を集めています。

従来の12ボルトシステムでは、増加する電力需要に対応することが難しくなってきています。ハイブリッド車や電気自動車の普及、燃費向上のための電動化技術の導入、そして安全運転支援システムや快適装備の高度化に伴い、自動車が必要とする電力は増え続けています。48ボルトシステムは、より多くの電力を供給できるため、これらの電力需要に対応できるだけでなく、将来の更なる電動化にも対応できる柔軟性を備えています。

48ボルトシステムの大きな利点の一つは、燃費の大幅な改善です。48ボルトシステムでは、統合スタータージェネレーター(ISG)と呼ばれるモーターをより強力に駆動することができます。ISGは、エンジンの始動や停止を補助するだけでなく、加速時にもエンジンの動力を補助し、燃費の向上に貢献します。また、減速時には発電機として働き、エネルギーを回生することで、更なる燃費向上効果が期待できます。

さらに、48ボルトシステムは、快適装備や安全装備の充実にも大きく貢献します。例えば、電動スーパーチャージャーや電動サスペンション、アクティブスタビライザーといった、より高度な快適装備や安全装備を駆動するために必要な電力を供給できます。これにより、走行性能の向上や乗り心地の改善、そして安全性の向上を実現することができます。

48ボルトシステムにおいて、ISGは中心的な役割を担う重要な部品です。エンジンの始動や発電、そして走行中の動力補助といった様々な機能を担うISGは、自動車の電動化を推進する上で欠かせない技術といえます。今後、48ボルトシステムは、更なる進化を遂げ、より多くの自動車に搭載されていくことが期待されます。

項目 内容
システム電圧の変更 12ボルトから48ボルトへ
目的 環境への配慮と快適性の向上
背景 自動車の電動化の加速、燃費向上、快適装備の充実
48Vシステムの利点
  • 電力供給能力の向上
  • 燃費の大幅な改善
  • 快適装備や安全装備の充実
ISGの役割 エンジンの始動/停止補助、加速時の動力補助、減速時の発電
将来展望 更なる進化と普及

今後の展望

今後の展望

近頃は、車の電動化が急速に進んでいます。その中で、静かで滑らかな発進を可能にする装置、すなわち統合式始動発電機(ISG)が注目を集めています。ISGは、エンジンの始動と停止、発電を一つの装置で行うことで、燃費の向上と静粛性の向上に貢献する重要な部品です。

現在、ISGは主に、減速時のエネルギー回生を利用して燃費を向上させる簡易な電動化技術である、マイルドハイブリッド車やマイクロハイブリッド車に搭載されています。しかし、ISGの活躍の場はそれだけにとどまりません。今後は、外部電源からも充電可能なプラグインハイブリッド車や、エンジンを搭載しない電気自動車にも応用されていくと見られています。

さらに、ISG自体の技術開発も活発に行われています。より燃費を向上させるため、より力強く走ることを可能にするため、研究者たちは日々努力を重ねています。例えば、モーターの小型化・軽量化や、発電効率の向上、制御技術の高度化など、様々な角度から研究開発が進められています。これらの技術革新によって、より高性能なISGが誕生すれば、自動車の燃費性能は飛躍的に向上し、排気ガスに含まれる有害物質の排出量削減にも大きく貢献することが期待されます。

このように、ISGは、単なる補助的な装置ではなく、自動車の電動化を支える中心的な技術として、ますます重要な役割を担っていくでしょう。これからの自動車社会において、ISGはなくてはならない存在となることは間違いありません。

項目 内容
ISGの役割 エンジンの始動と停止、発電を一つの装置で行うことで、燃費の向上と静粛性の向上に貢献
ISGの搭載車種 現在の主な搭載車種:マイルドハイブリッド車、マイクロハイブリッド車
今後の展開:プラグインハイブリッド車、電気自動車
ISGの技術開発 モーターの小型化・軽量化、発電効率の向上、制御技術の高度化
ISGの将来性 自動車の電動化を支える中心的な技術として重要な役割を担う