スプリット式ハイブリッドの仕組み

スプリット式ハイブリッドの仕組み

車のことを知りたい

スプリット型ハイブリッドって、エンジンとモーターを両方使うんですよね?でも、どうやって切り替えているのかよく分かりません。

車の研究家

良い質問ですね。スプリット型ハイブリッドは、動力を分配する『スプリッター』という装置が鍵なんです。これは、エンジンの動力を発電機か駆動輪、あるいは両方に振り分ける働きをします。

車のことを知りたい

なるほど、それで『スプリット(分割)』なんですね。でも、発電機とモーターって別々のものですか?

車の研究家

実は、スプリット型ハイブリッドでは、モーターが発電機の役割も兼ねています。減速時にはモーターが発電機となってエネルギーを回収し、バッテリーに充電するんです。だから、状況に応じてモーターが駆動力になったり、発電機になったりするんですよ。

スプリット型ハイブリッドとは。

『分け合う式 混合動力』という車の仕組みについて説明します。この仕組みは、エンジンの力を発電機、電動機、そしてタイヤに分け前を振り分けて伝えるやり方です。電動機は歯車でタイヤとつながっていて、動かす力を生み出します。ブレーキを踏んで速度を落とす時は、電動機が発電機に早変わりして、エネルギーを回収します。また、エンジンの力を直接タイヤに伝えて車を走らせることもあります。さらに、発電機だけを動かして充電することもあります。このように、エンジンの力を状況に応じて切り替えて使うので、『分け合う式』という名前がついています。電気は制御装置を通って、タイヤとつながった電動機に送られ、動かす力になります。分配器は、エンジンの力を発電機かタイヤに分配する役割を持っています。また、走りながら充電することもできます。ブレーキを踏んで速度を落とす時のエネルギーは、電動機が発電機になって、制御装置を通って電池にためられます。世界で初めてたくさん作られた混合動力車であるトヨタ プリウスもこの仕組みを使っています。『直列並列混合動力方式』と呼ばれることもあります。

動力の分配機構

動力の分配機構

車は、燃料を燃やして得た力で走りますが、その力を効率よく使うための工夫が凝らされています。近年の車は、燃費を良くし、環境への負担を軽くするために、複雑な仕組みを取り入れています。その代表的な例が、動力の分配機構です。特に「分割方式複合動力装置」と呼ばれる仕組みは、燃料で動く原動機と電気で動く電動機を組み合わせ、状況に応じて動力を巧みに振り分けています。この仕組みの中核となるのが「分配機」と呼ばれる装置です。

分配機は、原動機の力を様々な経路に振り分ける役割を担っています。例えば、原動機を回して電気を作り、その電気で電動機を回して車を走らせることができます。これは、街中での低速走行時などに有効です。また、速度が上がってきた時や、力強い加速が必要な時には、原動機の力を直接車輪に伝えることも可能です。これにより、力強い走行性能を実現できます。さらに、原動機で発電機だけを回し、電池に電気をためることもできます。電池に電気をためておけば、電動機だけで静かに走ったり、加速をアシストしたりすることができます。

このように、分配機は原動機の力を電気の力に変換したり、直接車輪に伝えたり、電池にためたりと、状況に応じて最適な使い方を判断し、動力を無駄なく活用します。まるで指揮者のように、状況に合わせて原動機の力を制御することで、燃費の向上と力強い走行を両立させているのです。この複雑で精密な動力の分配こそが、分割方式複合動力装置の優れた点であり、環境に優しく、快適な運転を実現する鍵となっています。

動力の分配機構

発電と回生

発電と回生

車は走るために燃料を使いますが、実は走る時だけでなく、止まるときにもエネルギーを生み出すことができます。これを回生といいます。スプリット型という仕組みを持ったハイブリッド車は、この回生をうまく利用して燃費を向上させています。

車は動きを止めるためにブレーキを使いますが、ブレーキを踏むと、車輪の回転エネルギーは通常、熱として空気中に逃げてしまいます。しかし、ハイブリッド車ではこのエネルギーを無駄にしません。ブレーキを踏むと、モーターが発電機のような働きをし、回転エネルギーを電気に変換します。そして、この電気をバッテリーにためて再利用するのです。これが回生ブレーキです。

回生ブレーキによって、これまで捨てられていたエネルギーを回収し、再び走らせる力に変えることで、燃料の消費を抑えることができます。さらに、スプリット型ハイブリッドシステムには、エンジンで発電機を回して電気を作り出す仕組みもあります。エンジンは、回転する速さによって、最も効率よく働く回転数とそうでない回転数があります。スプリット型ハイブリッドシステムでは、エンジンが最も効率よく発電できる回転数で発電機を駆動します。これにより、常に無駄なく電気を作り出すことが可能になります。

このように、減速時のエネルギーを回収する回生ブレーキと、エンジンの効率を最大限に活かした発電システム。この二つの技術を組み合わせることで、スプリット型ハイブリッドシステムは優れた燃費性能を実現しているのです。

モーター駆動

モーター駆動

自動車の動きを生み出す方法の一つに、電気で動く回転機、つまりモーターを使った駆動方式があります。近年の自動車、特に燃費の良い車作りにおいて、このモーター駆動は欠かせない技術となっています。

スプリット型の組み合わせ式動力装置では、モーターは原動機と同じくらい大切な働きをしています。電気を作る装置で発電された電気の力で、モーターは車のタイヤを回し、走らせることができます。車が動き出す時や、ゆっくり走る時など、原動機が苦手とする場面で、モーターは滑らかで力強い走りを実現します。例えば、信号待ちからの発進時、力強く静かに加速する感覚は、モーター駆動ならではの特徴です。

モーターは音も静かなので、車内は大変静かで快適です。周りの騒音を気にせず、音楽や会話を楽しむことができます。また、原動機の力を車輪に直接伝える方式とモーター駆動を組み合わせることで、滑らかで力強い加速を生み出します。アクセルペダルを踏んだ時の反応も良く、思い通りの運転を楽しむことができます。

このモーター駆動と原動機駆動を上手に組み合わせることが、スプリット型の組み合わせ式動力装置の優れた走りの秘密です。状況に応じてモーターと原動機を使い分けることで、燃費の向上だけでなく、力強い走りも実現しています。環境性能と運転の楽しさを両立させた、未来の自動車技術と言えるでしょう。

モーター駆動のメリット 詳細
力強い走り 車が動き出す時や、ゆっくり走る時など、原動機が苦手とする場面で、滑らかで力強い走りを実現。例えば、信号待ちからの発進時、力強く静かに加速。
静粛性 モーターは音が静かなので、車内は静かで快適。周りの騒音を気にせず、音楽や会話を楽しむことができる。
滑らかな加速 原動機の力を車輪に直接伝える方式とモーター駆動を組み合わせることで、滑らかで力強い加速を生み出す。アクセルペダルを踏んだ時の反応も良く、思い通りの運転を楽しむことができる。
燃費向上 モーター駆動と原動機駆動を上手に組み合わせることで、燃費が向上する。

制御の仕組み

制御の仕組み

車は、いくつかの部品が組み合わさって動いています。その中でも、動力の流れをうまく調整するのが制御装置の役割です。この制御装置は、まるで車の頭脳のように働きます。ドライバーがアクセルペダルを踏む強さやブレーキペダルの踏み込み具合、車の速さ、バッテリーの残量など、様々な情報を瞬時に読み取ります。そして、その情報をもとに、エンジン、発電機、モーター、バッテリーの間で、動力がどのように流れるのが一番良いのかを判断します。

例えば、発進時や低速で走る時は、主にモーターの力で静かに滑らかに走ります。速度が上がってくると、エンジンが効率よく動力を生み出せる状態になるので、エンジンが主役となって車を動かします。さらに、力強い加速が必要な時は、エンジンとモーターが一緒に力を合わせて、大きな力を生み出します。下り坂やブレーキを踏んでいる時は、その力を利用して発電機を回し、バッテリーに電気をためることもできます。

このように、状況に応じてエンジンとモーターの役割分担を瞬時に行うことで、無駄なくエネルギーを使うことができます。これにより、燃費が良くなるだけでなく、力強い走りも実現できるのです。また、バッテリーの充電状態も常に監視し、必要に応じてエンジンを動かして発電することで、バッテリーの電気を適切な状態に保ちます。

この高度な制御技術は、快適な運転はもちろん、環境にも優しい運転を実現するために欠かせない技術です。まるで、熟練のドライバーが運転しているかのように、状況に合わせて最適な走り方を自動的に選択してくれる、まさに車の頭脳と言えるでしょう。

実用例と将来

実用例と将来

分けられた仕組みを持つ混合動力装置は、世界で初めて大量生産された混合動力自動車であるトヨタ プリウスに搭載され、燃費の良さや環境への優しさで高く評価されました。初めて世に出たときから改良が重ねられ、今では多くの混合動力自動車に使われています。

この仕組みは、燃料消費を抑え、環境への負担を軽くすることに大きく役立っており、ずっと続く社会を作る上で大切な役割を担っています。混合動力装置の心臓部には、電気で動く電動機と、燃料を燃やして力を出す機関が備わっています。

この二つを状況に応じて使い分けることで、燃料を効率的に使うことができます。例えば、街中での発進や低速走行時は、主に電動機が活躍します。力強い加速が必要な時や高速道路での走行時は、機関が力を発揮します。また、減速時には、生まれる力を電気に変えて蓄える仕組みも備わっています。

この仕組みにより、無駄なエネルギーを減らし、燃費を向上させています。さらに、二つの動力源を滑らかに切り替える高度な制御技術も重要な要素です。状況に合わせて最適な動力の組み合わせを選ぶことで、快適な運転を実現しています。

将来に向けては、この技術がもっと進化していくと期待されています。電池の性能向上や電動機の小型化、制御技術の高度化など、様々な分野で研究開発が進められています。これらの技術革新によって、より燃費が良く、環境に優しい自動車が生まれることが期待されます。

加えて、この技術は、電気自動車や燃料電池自動車などの次世代自動車の開発にも役立っています。混合動力装置で培われた技術は、これらの自動車の性能向上にも応用されています。 自動車を取り巻く環境は常に変化しており、持続可能な社会の実現に向けて、この技術が自動車業界の未来をどのように変えていくのか、注目が集まっています。

他の方式との比較

他の方式との比較

車の動力源には、大きく分けて三つの組み合わせ方があります。一つ目は、エンジンで発電機を回し、その電気でモーターを回して車を走らせる「直列方式」です。この方式は、エンジンが常に一定の回転数で発電するため、エンジンの効率が良い状態を保ちやすいという利点があります。特に、街乗りなど、頻繁に停止と発進を繰り返す場面で燃費が良いのが特徴です。構造も比較的単純なので、製造コストを抑えることもできます。しかし、高速走行時には、発電とモーター駆動という二段階のエネルギー変換を経るため、どうしてもエネルギーのロスが生じてしまい、燃費が悪くなる傾向があります。

二つ目は、エンジンとモーターを並列に配置し、状況に応じてエンジンとモーター、あるいはその両方を使って車を走らせる「並列方式」です。この方式は、高速走行時にはエンジンで直接駆動するため、エネルギーロスが少なく、燃費が良いのが特徴です。また、エンジンとモーターの両方の力を合わせて大きな駆動力を得ることもできるため、力強い加速性能を発揮することができます。しかし、街乗りなどで頻繁に停止と発進を繰り返す場面では、エンジンの効率が悪くなりがちで、燃費の低下につながることがあります。

三つ目は、直列方式と並列方式の両方の利点を組み合わせた「分割方式」です。この方式は、エンジンの動力を分割して、一部を発電に、一部を駆動に利用することで、幅広い速度域で高い効率を実現することができます。街乗りではモーター駆動をメインに、高速走行時にはエンジン駆動をメインにするなど、状況に応じて最適な駆動方式を自動的に切り分けることで、燃費と走行性能の両立を図っています。分割方式は、複雑な機構を持つため、製造コストはやや高くなる傾向がありますが、燃費と走行性能のバランスが良いことから、多くの車に採用されています。

方式 説明 メリット デメリット
直列方式 エンジンで発電機を回し、モーターで駆動 エンジンの効率が良い状態を保ちやすい、街乗りで燃費が良い、構造が単純で製造コストが低い 高速走行時のエネルギーロスによる燃費低下
並列方式 エンジンとモーターを並列に配置し、状況に応じて使い分ける 高速走行時の燃費が良い、力強い加速性能 街乗りでの燃費低下
分割方式 エンジンの動力を分割して発電と駆動に利用 幅広い速度域で高い効率、燃費と走行性能のバランスが良い 複雑な機構のため製造コストが高い