品質管理の要!管理図入門
車のことを知りたい
先生、『管理図』って、何だか難しそうでよくわからないんです…。簡単に説明してもらえますか?
車の研究家
そうだな、簡単に言うと、工場で作る車のパーツの品質が、ずっと良い状態かを確認するためのグラフなんだ。例えば、タイヤの直径が、いつも同じくらいか、大きすぎたり小さすぎたりしないかをチェックするのに使うんだよ。
車のことを知りたい
なるほど。でも、タイヤの直径だけじゃなくて、他の部品にも使えるんですよね?
車の研究家
その通り!長さや重さなど、色々な部品の品質をチェックするのに使えるよ。そして、品質がおかしくなりそうになったら、すぐに対応できるようにしてくれるんだ。
管理図とは。
『管理図』という車の言葉について説明します。これは、作業が順調に進んでいるかを時系列に並べたデータで確認し、その変化が許される範囲内にあるかを管理するためのグラフです。棒グラフや点グラフなどで、データのばらつき具合は分かりますが、データが時間とともにどう変化しているかは分かりにくいです。この管理図を使うと、データの変化の様子を見て、あらかじめ限界を超えないような対策(傾向管理)を立てることができます。よく使われる管理図には、数値で測れるものとして、平均値と範囲の管理図、平均値の管理図などがあり、数えられるものとして、不良品の数の管理図などがあります。
管理図とは
ものづくりの現場では、品質を常に一定に保つことがとても大切です。製品の大きさや性能にばらつきがあると、不良品が出てしまったり、お客様からの信頼を失ってしまったりするからです。そこで、品質をうまく管理するための道具として、管理図というものを使います。管理図とは、ものづくりの過程で得られる様々な数値を、時間の流れに沿って記録し、その変化を目で見てわかるようにした図です。
たとえば、ある部品の長さを測る場面を考えてみましょう。この部品の長さは、理想的には設計図通りの寸法であるべきですが、実際には材料の性質や機械の精度など、様々な要因によってわずかに変化します。この変化が許容範囲内であれば問題ありませんが、もし何らかの異常が発生すると、部品の長さが大きくずれて不良品になってしまうかもしれません。このような異常を早期に発見するために、管理図が使われます。
具体的には、部品の長さを定期的に測り、その値を管理図に点を打つように記録していきます。管理図には、あらかじめ計算された中心線と上方管理限界線、下方管理限界線と呼ばれる3本の線があります。中心線は平均値を表し、管理限界線はばらつきの許容範囲を示します。測定値がこれらの線の間に入っていれば、工程は安定していると考えられます。
しかし、もし測定値が管理限界線を超えてしまったり、中心線から大きく離れた値が連続して現れたりした場合は、工程に異常が起きている可能性が高いと判断できます。例えば、機械の調整がずれていたり、材料の品質に問題があったりするかもしれません。このような異常を管理図によって早期に発見し、迅速な対策を講じることで、不良品の発生を防ぎ、品質を一定に保つことができるのです。管理図は、ものづくりの現場において、品質管理の大切な役割を担っていると言えるでしょう。
管理図の種類
製品の品質を保つためには、製品の出来具合を常に見ておかなくてはいけません。そのために役立つのが管理図です。管理図にはいくつか種類があり、製品の出来具合を数字で表す方法によって、使うべき管理図が変わってきます。
製品の出来具合を数字で表す方法は大きく分けて二つあります。一つは、長さ、重さ、温度のように、切れ目なく続く値で表す方法です。例えば、ある部品の長さを測って、10.2センチ、10.3センチといったように記録していく場合です。このような値を扱う管理図の種類には、平均値と範囲管理図、平均値管理図などがあります。平均値と範囲管理図は、測定値の平均と、測定値のばらつき具合を同時に監視するのに使います。例えば、ある部品の長さを測ったとき、平均の長さは目標値通りだけど、ばらつきが大きい、つまり長さがバラバラというような状態を見つけることができます。平均値管理図は、測定値の平均値だけに注目して監視するのに向いています。
もう一つの方法は、不良品の個数や傷の数といった、数える値で表す方法です。例えば、100個作った製品の中に、不良品が3個あった、といったように記録していく場合です。このような値を扱う管理図の種類には、不良個数管理図などがあります。不良個数管理図は、作った製品全体の中で、不良品の数の割合を監視するのに使います。例えば、不良品の数が増えてきた、という傾向を見つけることができます。
このように、製品の出来具合をどのような数字で表すかによって、適した管理図は違います。管理図を正しく選んで使うことで、製品の品質をしっかりと管理し、安定した品質の製品を作り続けることができるようになります。
製品の出来具合の表し方 | 管理図の種類 | 管理図の使い方 |
---|---|---|
切れ目なく続く値(長さ、重さ、温度など) | 平均値と範囲管理図 | 測定値の平均とばらつき具合を同時に監視 |
平均値管理図 | 測定値の平均値だけに注目して監視 | |
数える値(不良品の個数、傷の数など) | 不良個数管理図 | 作った製品全体の中で、不良品の数の割合を監視 |
管理図の見方
管理図は、製造工程などの品質管理に用いられる、工程の安定状態を視覚的に把握するための図です。これは、中心線(CL)、上方管理限界線(UCL)、下方管理限界線(LCL)という三本の線から成り立っています。
まず中心線は、集めたデータの平均値を示しています。これは、工程が通常の状態である時に、結果がどのあたりに集中するのかを表す基準となる線です。次に上方管理限界線と下方管理限界線ですが、これらは中心線から一定の幅をもって引かれた線です。この幅は、工程が安定した状態でも起こりうるデータのばらつきの範囲を示しています。言い換えれば、工程に特別な異常がない限り、ほとんどのデータはこの二本の線の間におさまるはずです。
管理図にデータを記入していくことで、工程の状態を監視できます。プロットされた点が管理限界線の内側にあれば、工程は安定していると考えられます。しかし、点が上方管理限界線や下方管理限界線を超えてしまう場合、これは工程に何らかの異常が発生していることを示唆しています。例えば、機械の調整不良や材料の品質変化などが考えられます。また、管理限界線内であっても、中心線から一定方向に連続して点が並ぶ場合も注意が必要です。これはゆるやかな変化が工程で起こっている可能性を示唆しており、放置すると後に大きな問題につながるかもしれません。中心線から連続して7点以上同じ側にプロットされる場合は、工程に異常が発生していると判断できます。
このように管理図を用いることで、工程の異常を早期に発見することができます。そして、異常を発見したら、原因を究明し、適切な対策を講じることで、不良品の発生を未然に防ぐことが可能になります。管理図は、品質管理において非常に重要な役割を担うツールと言えるでしょう。
管理図の構成要素 | 意味 |
---|---|
中心線(CL) | 集めたデータの平均値。工程の通常状態における結果の集中点を示す。 |
上方管理限界線(UCL) | 中心線から一定の幅の上限線。工程が安定状態でも起こりうるデータのばらつきの範囲の上限を示す。 |
下方管理限界線(LCL) | 中心線から一定の幅の下限線。工程が安定状態でも起こりうるデータのばらつきの範囲の下限を示す。 |
データの状況 | 解釈 | 対応 |
---|---|---|
点が管理限界線内にある | 工程は安定している | – |
点が上方/下方管理限界線を超える | 工程に異常が発生している(例:機械の調整不良、材料の品質変化) | 原因を究明し、適切な対策を講じる |
管理限界線内で中心線から一定方向に連続して7点以上並ぶ | 工程にゆるやかな変化が起こっている(後に大きな問題に発展する可能性あり) | 原因を究明し、適切な対策を講じる |
管理図の効果的な活用
品質管理において、管理図は工程の安定状態を監視し、異常を早期に発見するための強力な道具です。管理図を有効に活用するためには、まず管理対象を明確にすることが重要です。何を管理したいのか、例えば、製品の寸法、重さ、あるいは製造にかかる時間など、具体的な目標を設定することで、収集すべきデータの種類と適切な収集方法が見えてきます。
データ収集においては、一定時間ごとに、そして十分な量のデータを集めることが大切です。例えば、毎日決まった時刻にデータを記録する、あるいは一定数の製品を製造するごとにデータを記録するなど、規則正しい収集手順を確立することで、データの信頼性を高めることができます。集めたデータは、管理図にきちんと記入し、視覚的に工程の状態を把握できるようにする必要があります。
管理図を作成し、データを記入したら、定期的に図を確認し、工程の状態を監視することが重要です。管理図には、上限と下限を示す管理限界線が描かれており、データがこれらの限界線を超えたり、特定のパターンを示したりした場合、工程に何らかの異常が発生している可能性があります。このような異常を発見した場合、原因を徹底的に究明し、再発防止策を立てることが不可欠です。原因究明には、関係者への聞き取りや現場の観察など、様々な方法を組み合わせる必要があるでしょう。
管理図は、ただデータを示す図ではありません。問題解決のための道具として活用することで、真価を発揮します。管理図で発見された異常や傾向は、関係者間で共有し、議論することで、工程改善への糸口となります。例えば、管理図から特定の時間に不良品が発生しやすいことがわかった場合、その時間帯の作業手順を見直したり、設備の点検を強化したりするなどの対策を講じることができます。このように、管理図を積極的に活用し、関係者全員で工程改善に取り組むことが、品質向上へと繋がっていくのです。
管理図活用のステップ | 詳細 |
---|---|
管理対象の明確化 | 何を管理したいかを具体的に設定する(例:製品の寸法、重さ、製造時間など)。 |
データ収集 | 一定時間ごとに十分な量のデータを規則正しく収集する。 |
データの可視化 | 集めたデータを管理図に記入し、視覚的に工程の状態を把握する。 |
定期的な監視 | 管理図を定期的に確認し、管理限界線を超えたり、特定のパターンを示したりした場合、異常発生の可能性を認識する。 |
原因究明と再発防止策 | 異常発生時には、原因を徹底的に究明し、再発防止策を立てる(例:関係者への聞き取り、現場の観察)。 |
工程改善への活用 | 管理図で発見された異常や傾向を関係者間で共有・議論し、工程改善につなげる(例:特定の時間帯の作業手順見直し、設備点検の強化)。 |
管理図と他の分析手法との関係
製造工程において、品質を保ち続けることはとても大切です。品質を数値で捉え、その変化を監視するために、様々な分析手法が用いられています。その中でも、管理図は時間の流れとともに変化する品質のばらつきを監視する上で、特に役立つ手法です。
管理図は、中心線と上方管理限界線、下方管理限界線から構成されています。中心線は製造工程の平均的な品質を表し、管理限界線は通常のばらつきの範囲を示しています。もしも、プロットされたデータが管理限界線を越えたり、特定のパターンを示したりした場合、それは工程に何らかの異常が発生している可能性を示唆しており、迅速な対応が必要となります。
管理図以外の分析手法も、品質管理において重要な役割を担っています。例えば、度数分布図は、集めたデータの分布状態を視覚的に把握するのに役立ちます。製品の寸法や重量などが、どのように分布しているのかが一目で分かり、規格外の製品の割合を推定するのにも役立ちます。また、二つの変数の関係性を調べるためには、散布図が有効です。例えば、製造工程の温度と製品の強度との関係を散布図にプロットすることで、二つの変数の間に相関関係があるかどうかを調べることができます。
これらの手法は単独でも有用ですが、管理図と組み合わせて使うことで、より効果的な品質管理が可能になります。例えば、散布図によって製品の欠陥と特定の工程要因との間に強い相関関係が見つかったとします。この時、その工程要因を管理図で監視することで、欠陥の発生を未然に防ぐことができます。また、度数分布図によって製品のばらつきが大きいことが分かった場合、その原因を特定するために、管理図を用いて工程の安定性を確認し、異常な変動がないかを調べることができます。このように、管理図と他の分析手法を組み合わせることで、多角的に品質状態を分析し、工程改善に繋げることができるのです。
分析手法 | 目的 | 活用例 |
---|---|---|
管理図 | 時間の流れとともに変化する品質のばらつきを監視する | 工程の安定性を確認し、異常な変動がないかを調べる 特定の工程要因を監視することで、欠陥の発生を未然に防ぐ |
度数分布図 | 集めたデータの分布状態を視覚的に把握する | 製品の寸法や重量などの分布状態を一目で把握し、規格外の製品の割合を推定する 製品のばらつきが大きい場合、その原因を特定するために、管理図と組み合わせて使用する |
散布図 | 二つの変数の関係性を調べる | 製造工程の温度と製品の強度との関係を調べ、相関関係があるかどうかを確認する 製品の欠陥と特定の工程要因との相関関係を調べ、管理図と組み合わせて欠陥発生の防止に役立てる |
まとめ
製造現場における品質管理にとって、管理図は欠かせない道具です。これは、製品の品質が常に一定の範囲内に収まっているか、また、製造工程に異常がないかを監視するために用いられます。管理図を使うことで、不良品が発生する前に問題点を見つけ出し、未然に防ぐことが可能になります。顧客の信頼を得るためにも、これは非常に重要です。
管理図には様々な種類があり、扱うデータの種類や特性に合わせて適切なものを選ぶ必要があります。例えば、計量値を扱う場合には、平均値と範囲(ばらつき)を監視する管理図が用いられます。欠陥数を扱う場合は、欠陥数の管理図が使われます。他にも、欠陥率を監視する管理図など、様々な種類があります。どの管理図を使うかによって、得られる情報や分析方法も変わってくるため、適切な選択が重要です。
管理図を作るには、まずデータを正しく集める必要があります。測定器が正しく校正されているか、測定方法は適切か、サンプルの選び方は偏りがないかなど、注意深く確認する必要があります。集めたデータは、管理図上にプロットし、管理限界線と比較します。管理限界線は、統計的な手法を用いて計算されたもので、工程が安定している場合、プロットされたデータはこの範囲内に収まるはずです。もし、データが管理限界線を越えたり、特定のパターンを示したりする場合は、工程に何らかの異常が発生している可能性があります。
管理図は単独で使うだけでなく、他の分析手法と組み合わせることで、より効果的な品質管理を実現できます。例えば、管理図で異常を発見した場合、その原因を特定するために、なぜなぜ分析などの手法を用いることができます。また、工程能力指数などの指標と併用することで、工程の能力をより正確に評価できます。
管理図は製造業だけでなく、サービス業や医療など、様々な分野で活用されています。近年では、データ分析技術の進化に伴い、管理図の活用範囲はますます広がっています。品質向上を目指す上で、管理図は非常に強力な道具となるため、日々の業務で積極的に活用し、品質管理のレベルを高めていくことが重要です。
管理図の目的 | 管理図の種類 | 管理図の作成手順 | 管理図の活用 | その他 |
---|---|---|---|---|
製品の品質が一定範囲内にあるか、製造工程に異常がないかを監視 不良品発生を未然に防ぐ 顧客の信頼を得る |
計量値:平均値と範囲(ばらつき)を監視 欠陥数:欠陥数を監視 欠陥率:欠陥率を監視 その他多数 |
データを正しく集める(測定器の校正、測定方法、サンプルの選び方) データを管理図上にプロット 管理限界線と比較 管理限界線を越えたり、特定のパターンを示す場合、工程に異常の可能性 |
他の分析手法と組み合わせる(例:なぜなぜ分析、工程能力指数) 製造業以外でも活用(例:サービス業、医療) データ分析技術の進化に伴い、活用範囲拡大 |
品質向上を目指す上で強力な道具 日々の業務で積極的に活用し、品質管理のレベルを高める |