看板方式:無駄をなくす生産管理

看板方式:無駄をなくす生産管理

車のことを知りたい

先生、『看板方式』って、部品の札を渡すだけで、本当に必要な量だけ作れるんですか?なんか、間違えそうじゃないですか?

車の研究家

いい質問だね。看板には、必要な部品の名前と数が書いてあるだけじゃない。いつ、どこで、どれだけ使うのかが明確に示されているんだ。だから、必要なものだけを、必要な時に、必要な場所に届けることができるんだよ。

車のことを知りたい

なるほど!でも、もし急にたくさんの部品が必要になったら、看板を作るのが間に合わないんじゃないですか?

車の研究家

確かに、急な変更には対応が難しい場合もある。でも、普段から必要な部品の量を予測して、看板を準備しておくことで、ある程度の変化には対応できるんだ。また、変化が大きい場合は、看板の内容を書き換えるなどして対応するんだよ。

看板方式とは。

トヨタが生み出した「看板方式」という車の生産管理の方法について説明します。必要な部品を必要な時に必要なだけ作るための仕組みで、前の工程に部品を頼む時に、部品名と数を記した札を渡します。この札が指示書となり、前の工程では札に書かれた通りの数だけ作って届けることになっています。それ以上でも以下でもありません。これは、必要な時に必要な分だけ作る「ジャストインタイム」という生産方式を実現するための一つの方法で、作りすぎる無駄を防ぎ、誰でも見て分かる管理を可能にします。日本の自動車会社だけでなく、海外の会社や他の業種でも広く使われており、日本式の生産方式の代表的な例の一つです。この札は、何を作るかの指示と、どこに運ぶかの指示の両方の役割を果たします。

看板方式とは

看板方式とは

看板方式とは、トヨタ自動車が生み出した、無駄をなくすための生産の仕方の工夫です。必要な部品を必要な時に必要なだけ供給することを目指しています。まるで、料理店で客が注文するように、必要な部品を作る場所が、部品を作ってほしい場所に直接注文する仕組みです。この注文伝票の役割を果たすのが「看板」と呼ばれる札です。

この看板には、どんな部品か、いくつ必要かといった情報が書き込まれています。部品を作る場所は、この看板を受け取ると、書かれた通りの部品を作り始めます。そして、出来上がった部品を、注文した場所に届けます。看板は、ただ部品を作るように指示するだけの札ではありません。部品作りを始める合図であり、同時に部品を運ぶ指示でもあるのです。

例えば、自動車を作る工場で、タイヤを取り付ける場所がタイヤを4つ必要としたとします。すると、タイヤを取り付ける場所は、タイヤを作る場所に「タイヤ4つ」と書かれた看板を送ります。タイヤを作る場所は、この看板を受け取ると、タイヤを4つ作り始め、出来上がったら看板と一緒にタイヤを取り付ける場所に届けます。もし、看板が届かなければ、タイヤを作る場所はタイヤを作りません。

このように、看板を使うことで、在庫をため込むことなく、必要なものだけを作ることができます。無駄な部品を作ったり、保管したりする場所も必要ありません。また、注文を受けた分だけを作るので、売れ残る心配もありません。看板方式は、トヨタ自動車で生まれ、今では様々な工場で取り入れられています。無駄をなくし、効率的にものを作るための、優れた仕組みと言えるでしょう。

項目 説明
看板方式の目的 無駄をなくすための生産の仕方の工夫。必要な部品を必要な時に必要なだけ供給する。
看板の役割 注文伝票。部品作りを始める合図であり、部品を運ぶ指示でもある。
看板に含まれる情報 どんな部品か、いくつ必要か
看板方式の流れ 1. 部品が必要な場所が、部品を作る場所に看板を送る。
2. 部品を作る場所は、看板を受け取ると部品を作り始める。
3. 部品が出来上がったら、看板と一緒に部品を届ける。
4. 看板が届かなければ、部品を作る場所は部品を作らない。
看板方式のメリット 在庫をため込むことなく、必要なものだけを作ることができる。無駄な部品を作ったり、保管したりする場所も必要ない。売れ残る心配もない。

看板の役割

看板の役割

組立工場などにおける看板は、指示書のような役割を果たし、主に二つの大切な役割を担っています。一つは、部品を作る工程に対し、必要な部品の種類と数量を伝える生産指示です。これは、前の工程に対して「どんな部品を、いくつ作ってください」と伝える役割です。前の工程では、受け取った看板に書かれた指示通りに部品を作ります。もう一つは、作られた部品を次の工程へ運ぶよう指示する運搬指示です。完成した部品には看板が付けられ、その看板に書かれた指示に従って、決められた次の工程へと運ばれます。

このように、看板は部品作りと運搬を滞りなく進めるために欠かせません。看板を用いることで、部品の流れと情報の流れを一致させることができるため、工場全体の状況を誰にでもわかるように示すことができます。どの工程で、どんな部品が、どれくらい必要なのかが一目でわかるので、何か問題が起きた時にも、すぐに対応することができます。

たとえば、ある工程で不良品が見つかったとします。看板方式を採用していれば、その不良品に付いている看板を確認することで、どの工程から来た部品なのか、そして次にどの工程へ行く予定だったのかがすぐにわかります。この情報をもとに、不良品が発生した工程やその原因を素早く特定し、対策を講じることができます。また、次の工程に必要な部品が供給されないという事態も未然に防ぐことができます。

さらに、看板は在庫管理にも役立ちます。必要な部品を必要な量だけ生産するため、余分な在庫を抱えることを防ぎます。これは、保管場所の削減や、在庫の劣化による損失を防ぐことにつながります。看板は、全体の流れを円滑に進めるための、小さな紙でありながら、大きな役割を果たしていると言えるでしょう。

看板の役割 説明 利点
生産指示 必要な部品の種類と数量を前の工程に伝える
  • 必要な部品を必要なだけ生産できる
運搬指示 作られた部品を次の工程へ運ぶよう指示する
  • 部品の流れと情報の流れを一致させる
  • 問題発生時の迅速な対応が可能
在庫管理 必要な部品を必要な量だけ生産し、過剰在庫を防ぐ
  • 保管場所の削減
  • 在庫の劣化による損失防止

必要なものだけを作る

必要なものだけを作る

必要なものだけを作る看板方式は、ムダをなくすための優れた生産手法です。従来のやり方では、将来どれくらい売れるかを予想して、たくさんの部品を前もって作っていました。しかし、この予想が外れると、売れ残りが山積みになり、大きな損失につながることがありました。看板方式では、実際に売れた数だけを作るので、このような売れ残りの心配がほとんどありません。

たとえば、自動車工場で考えてみましょう。従来の方法では、シートが100個売れると予想したら、あらかじめ100個のシートを作っておきます。ところが、実際には80個しか売れなかった場合、20個のシートが余ってしまいます。この余ったシートは保管場所も必要ですし、次の型のシートを作る時には邪魔になってしまいます。看板方式では、80個の注文があれば80個だけ作ります。注文がなければ作らないので、余分なシートを作る必要がありません。

無駄な部品を作らないので、材料費や工場を動かす費用といった生産にかかるお金を減らすことができます。また、余った部品を保管しておく倉庫も必要なくなるので、倉庫の家賃といった保管費用も減らすことができます。さらに、必要な数だけ作るので、急に注文が増えた時にも対応しやすいという利点もあります。たとえば、ある車種が急に人気になったとします。従来の方法では、あらかじめたくさん作っていなければすぐに対応できません。しかし、看板方式であれば、増えた注文に応じて必要な数だけ作ることができるので、販売機会を逃すことがありません。このように、看板方式は、ムダをなくし、必要な時に必要なだけ作ることで、効率的な生産を実現する画期的な方法なのです。

項目 従来方式 看板方式
生産量 販売予測に基づき生産 (例: 100個) 実際の注文に基づき生産 (例: 80個)
売れ残り 予測が外れると売れ残り発生 (例: 20個) 売れ残りほぼなし
コスト 材料費、生産費用、保管費用など、ムダなコストが発生 必要な分だけ生産するため、コスト削減
需要変動への対応 あらかじめ生産していないと対応が難しい 注文に応じて生産するため、柔軟に対応可能

目で見る管理

目で見る管理

製造現場では、生産の進捗や部品の必要量を的確に把握することが、滞りない生産活動を行う上で極めて重要です。「目で見る管理」は、まさにこの点を重視した手法であり、情報を視覚的に表現することで、誰でも一目で状況を理解できるようにします。その代表的な方法の一つが看板方式です。

看板方式とは、必要な部品や数量を記した札を用いて、工程間で部品の受け渡しを行う仕組みです。この札が各工程間を移動することで、どの工程で、どの部品が、どれだけ必要とされているかを視覚的に示します。まるで部品が自ら必要な場所を知らせているかのようです。この視覚化により、生産の進捗状況や問題点をいち早く発見することが可能になります。

例えば、ある工程で札が滞留している状況を考えてみましょう。これは、その工程で何らかの問題が発生し、部品の流れが滞っていることを示唆しています。管理者は、滞留している札を確認するだけで、問題が発生している工程を特定し、迅速な対応を取ることができます。このように、看板方式は問題解決までの時間を大幅に短縮し、生産効率の向上に大きく貢献します。

また、看板方式は、特別な知識や技能がなくても、誰でも簡単に生産状況を理解できるという利点も持ち合わせています。作業者全員が生産状況を共有することで、問題意識が高まり、自主的な改善活動につながる可能性も秘めています。これは、単なる生産効率の向上だけでなく、職場全体の活性化にもつながる効果と言えるでしょう。

このように、目で見る管理、特に看板方式は、生産現場における情報伝達をスムーズにし、問題解決を迅速に行うための効果的な手法です。複雑なデータ分析や報告書作成といった作業を必要とせず、シンプルながらも力強い効果を発揮する点が、多くの現場で支持されている理由と言えるでしょう。

手法 概要 メリット
目で見る管理 情報を視覚的に表現することで、誰でも一目で状況を理解できるようにする手法 問題の早期発見、迅速な対応、生産効率向上、職場全体の活性化
看板方式 必要な部品や数量を記した札を用いて、工程間で部品の受け渡しを行う仕組み
  • 生産進捗状況や問題点の早期発見
  • 問題解決までの時間短縮
  • 特別な知識や技能が不要
  • 作業者全員の状況把握による問題意識向上
  • 自主的な改善活動促進
  • 職場全体の活性化
  • データ分析や報告書作成不要

広がりと進化

広がりと進化

ものを作る流れをうまく整える工夫として、「看板方式」というものがあります。これは、トヨタ自動車で考え出された方法で、今では日本の自動車を作る会社だけでなく、いろいろな会社で使われるようになり、日本のものづくりの強さの秘訣の一つとなっています。

看板方式が広まった理由の一つは、ムダを減らして、必要なものだけを必要な時に作るという考え方が、多くの会社で役に立ったからです。それぞれの作業場で、必要な部品を必要な数だけ前の作業場に伝える仕組みなので、在庫がたくさん余ったり、足りなくなったりする心配が減り、スムーズなものづくりができるようになりました。

時代が変わり、情報技術が進むにつれて、この看板方式も進化してきました。昔は紙の札を使っていましたが、今は電子看板や、縞模様の記号を読み取る機械を使った仕組みなども使われています。これらの新しい技術を使うことで、工場で何がどれだけ作られているかをすぐに知ることができ、より細かい計画を立てることができるようになりました。例えば、急に注文が増えた時でも、今ある材料や人の状況をすぐに把握して、きちんと対応できるようになったのです。

また、作業の進み具合を目で見てすぐにわかるように工夫したり、作業の手順を整理して誰でも簡単にできるようにしたりと、より使いやすくするための改良も続けられています。

これからも、新しい技術を取り入れながら、看板方式は進化していくでしょう。そして、自動車だけでなく、様々な分野でものづくりの効率を上げるために、役立ち続けるはずです。

特徴 説明
目的 ものを作る流れをうまく整える、ムダを減らして必要なものだけを必要な時に作る
仕組み 各作業場で必要な部品を必要な数だけ前の作業場に伝える
効果 在庫の過不足を減らし、スムーズな生産を実現
進化 紙の札から電子看板や縞模様を読み取る機械へ
技術的メリット リアルタイムな生産状況把握、細かい計画立案、急な注文変化への対応力向上
運用面での改良 作業進捗状況の可視化、作業手順の簡素化
将来性 新技術を取り入れ進化、様々な分野での生産効率向上に貢献