車の騒音:近接排気騒音とは

車の騒音:近接排気騒音とは

車のことを知りたい

先生、『近接排気騒音』って、マフラーの音の大きさを測るんですよね?

車の研究家

そうだね。もっと詳しく言うと、停車している車が排気管から出す音の大きさのことだよ。エンジンをブンブンふかせたときの音じゃなくて、アクセルを戻した時の音の大きさを測るんだ。

車のことを知りたい

アクセルを戻したときの音なんですか? なんだか意外です。 どのように測るんですか?

車の研究家

排気管の後ろ、少し斜め下にマイクを置いて測るんだ。エンジンの回転数を上げて少しの間そのままにしておいて、そこからアクセルを急に離したときの音を測るんだよ。車の種類によって、どのくらいまで音が許されているか、数値で決められているんだ。たとえば、普通の乗用車だと96くらいまでだね。

近接排気騒音とは。

クルマの排気口から出る音の大きさのことを「近接排気騒音」と言います。クルマが止まっている時に、排気口からどれくらい大きな音がするかを測るもので、日本やヨーロッパではこの音の大きさにルールがあります。測り方は決まっていて、だいたいエンジンの最高出力回転数の75%くらいで5秒ほど空ぶかししたあと、急にアクセルを戻した時の最大の音の大きさを測ります。排気口と同じ高さで、後ろ斜め45度の0.5メートル離れたところにマイクを置いて測ります。日本のルールでは音の大きさ(単位はデシベル)は、エンジンが車の前についている乗用車は96以下(エンジンが後ろについている場合は100以下)、軽自動車と3.5トン以下のトラックは97以下、バイクは94以下、50ccより大きい原動機付き自転車は90以下、50cc以下の原動機付き自転車は84以下などとなっています。

騒音の種類

騒音の種類

車が走ると、いろいろな音が生まれます。これらの音は、どこから出ているのか、どんな高さの音なのかによって種類分けできます。まず、車の心臓部である機械からは、動力の源となる爆発音や、部品同士が擦れ合う音が聞こえます。次に、車の後ろにある管からは、燃えたガスが外に出る時に出る音がします。これは、太鼓を叩くように、空気が振動することで生まれます。さらに、車が地面と接するゴムの部分からは、路面の細かいでこぼこを乗り越えるたびに、摩擦によって音が発生します。また、車が空気を切り裂いて進む時には、空気の流れが乱れることで、風の音に似た高い音が生まれます。

これらの音の中で、特に周りの環境や私たちの健康への影響が心配されているのが、後ろの管から出る音です。この音は、機械の中で燃料が燃えてできたガスが、管から勢いよく出ていく時に生まれます。もしこの音が大きすぎると、周りの人々に迷惑をかけるだけでなく、騒音による健康被害を引き起こすこともあります。そのため、どの国でも、この音の大きさには厳しい決まりがあり、車を作る会社は、この決まりを守って車を作らなければなりません。例えば、車が止まっている時に、後ろの管の近くで音を測ることで、音の大きさを調べています。これは、近接排気騒音と呼ばれ、車の静かさの目安となる大切な測定です。車を作る会社は、より静かな車を作るために、様々な工夫を凝らしています。例えば、管の中に音を吸収する仕組みを付けたり、機械自体を静かに動くように設計したりすることで、周りの環境への影響を少なくする努力をしています。

音の発生源 音の種類 音の高さ 備考
機械(エンジン) 爆発音、部品の摩擦音 様々(低音~高音) 動力の源
管(排気管) 排気音 低音 燃焼ガスの排出、騒音規制の対象
ゴム(タイヤ) 摩擦音、ロードノイズ 高音 路面との摩擦
車体全体 風切り音 高音 空気抵抗

測定の方法

測定の方法

自動車の排気音の大きさを測るやり方は、細かく決められています。まず、平らな場所に車を停めてエンジンをかけます。道路の傾斜などで誤差が出ないようにするためです。エンジンをかけた後は、エンジンの回転数を最高出力の75%にします。これは、どの車種でも同じ条件で測るためです。回転数を合わせた後は、5秒ほどエンジンを空転させます。そして、アクセルを急に戻します。この時に出る一番大きな排気音を測ります。急にアクセルを戻すのは、実際に人が運転する状況を再現するためです。音の大きさを測る機械は、排気管の出口と同じ高さで、排気管の真後ろではなく、斜め45度の角度で50センチメートル離れた場所に置きます。これも、どの車種でも同じように測るためです。この測り方は、世界共通のやり方なので、違う種類の車同士でも、音の大きさを比べることができます。もし、測った値が決められた値よりも大きければ、車検には通りません。車検に通らなければ、公道を走ることはできません。決められた値よりも大きな音を出す車は、周りの人にとってうるさいだけでなく、故障している可能性もあるからです。

項目 内容 理由
場所 平らな場所 道路の傾斜などで誤差が出ないようにするため
エンジン回転数 最高出力の75% どの車種でも同じ条件で測るため
エンジン空転 5秒 測定前の状態を安定させるため
アクセル操作 急にアクセルを戻す 人が運転する状況を再現するため
測定器位置 排気管の出口と同じ高さで、排気管の真後ろではなく、斜め45度の角度で50cm離れた場所 どの車種でも同じように測るため
合否基準 測った値が決められた値よりも大きければ車検不合格 騒音規制のため、また故障の可能性もあるため

日本の規制値

日本の規制値

日本の道路では、近隣住民の暮らしを守るため、自動車が出す音の大きさには厳しい決まりがあります。これは道路運送車両法という法律で定められており、音を測る位置や方法、そして車両の種類ごとに上限値が細かく決められています。

例えば、普段私たちがよく目にする乗用車の場合、エンジンの位置によって規制値が異なります。エンジンが車の前についている場合は96デシベルまで、後ろについている場合は100デシベルまでと定められています。これは、エンジンが後ろにある車はマフラーが住宅に近い位置にくることが多いため、より厳しい基準が適用されていると考えられます。

また、軽自動車や3.5トン以下の小さなトラックは97デシベルまでと、乗用車とほぼ同じ基準となっています。一方で、二輪車は94デシベルまでと、他の車種より少し低い値に設定されています。これは、二輪車が車体が小さく、消音装置を大きくすることが難しいという構造上の理由があると考えられます。さらに、原動機付自転車については、排気量50ccを超えるものが90デシベル以下、50cc以下のものが84デシベル以下と、さらに細かく区分されています。

これらの規制値は、あくまでも上限であり、自動車メーカーはより静かな車を作る努力を続けています。マフラーの構造を工夫したり、音を吸収する材料を改良したりと、様々な技術開発が行われています。近年では、電気自動車やハイブリッド車といった、そもそもエンジン音の小さい車も増えてきており、静かな街づくりへの貢献が期待されています。もしこれらの規制値を超えた音を出す車を運転すると、法律によって罰せられることになります。そのため、日頃から車の整備をしっかり行い、近隣住民への配慮を心がけることが大切です。

車両の種類 騒音規制値(デシベル)
乗用車(エンジン前) 96
乗用車(エンジン後) 100
軽自動車/小型トラック(3.5t以下) 97
二輪車 94
原動機付自転車(50cc超) 90
原動機付自転車(50cc以下) 84

騒音の影響

騒音の影響

車は、私たちの生活を便利にする一方で、騒音という問題も抱えています。騒音は、近隣住民とのトラブルの原因になるだけでなく、私たちの健康にも様々な悪影響を及ぼします。 過度の騒音に長期間さらされると、耳の聞こえが悪くなるだけでなく、夜眠れなくなったり、常にイライラしたりする原因になります。 また、勉強や仕事に集中できなくなったり、作業能率が下がることにもつながります。

車の騒音には、エンジン音、排気音、タイヤと路面が擦れる音など、様々なものがあります。中でも、排気音は、近隣住民にとって大きな負担となる騒音の一つです。そのため、国は車の排気音の大きさについて厳しい基準を設けています。この基準を満たしていない車は、車検に通ることができません。

自動車を利用する私たちは、日頃から車の整備をきちんと行い、騒音の発生を抑えるように気を配る必要があります。例えば、マフラーが劣化したり、壊れたりしていないか、定期的に確認することが大切です。マフラーは排気音を小さくする役割を果たしているため、劣化や破損は騒音の増大につながります。また、エンジンオイルの交換やタイヤの空気圧の調整なども、騒音を小さくするために有効です。

快適な生活環境を守るためには、一人ひとりが騒音問題について真剣に考え、周りの人への配慮を忘れないことが大切です。車に乗る時は、急発進や急加速を避け、エンジンの回転数を上げすぎないように注意しましょう。また、夜間や早朝は特に気を配り、近隣住民の迷惑にならないように配慮することが重要です。騒音のない静かな環境は、私たちが健康で快適な生活を送るために欠かせないものです。みんなで協力して、騒音を減らす努力をしていきましょう。

騒音問題 原因 対策
健康被害、近隣トラブル、集中力低下 エンジン音、排気音、タイヤと路面が擦れる音 日頃の車の整備、急発進・急加速を避ける、夜間・早朝の配慮
排気音 マフラーの劣化・破損 マフラーの定期点検、エンジンオイル交換、タイヤ空気圧調整

技術の進歩

技術の進歩

車は、時代と共に大きな進歩を遂げてきました。特に近年は、様々な技術革新により、静かで快適な乗り物へと進化しています。かつては、車が走る音、特に排気音は、騒音として問題視されることもありました。しかし、技術の進歩により、この排気音を小さくするための様々な工夫が凝らされています。

まず、排気音を吸収する装置である消音器の構造が改良されています。従来の消音器は、単純な構造で音を吸収していましたが、最近の車は、複数の部屋を持つ複雑な構造の消音器を備えています。これにより、様々な高さの音を効果的に吸収し、静粛性を高めています。また、排気ガスの流れをスムーズにすることで、騒音を低減する技術も開発されています。空気の流れが乱れると騒音が発生しやすいため、排気管の形状を工夫することで、スムーズな排気の流れを作り出し、騒音を抑えています。

さらに、エンジン自体を静かにする取り組みも進んでいます。エンジンの燃焼音を小さくするために、エンジンの構造や部品の材質が見直されています。また、エンジンから発生する振動を抑えることで、静粛性を向上させています。これらの技術革新は、車内だけでなく、周囲の環境にも良い影響を与えています。静かな車は、運転する人だけでなく、周りの住民にとっても快適な環境を提供します。

今後も、技術開発は進み、より静かで環境に優しい車が開発されていくでしょう。騒音を抑えるだけでなく、燃費を向上させたり、有害物質の排出を減らすなど、様々な技術開発が進められています。私たちは、これらの技術の進歩に期待し、より快適で環境に優しい車社会の実現を願っています。

騒音対策の対象 具体的な対策
消音器 複雑な多室構造により、様々な高さの音を効果的に吸収
排気ガス流れ 排気管の形状を工夫し、スムーズな排気の流れを作り出し騒音を低減
エンジン エンジンの構造や部品の材質を見直し、燃焼音を小さくする
エンジンの振動を抑え、静粛性を向上

今後の課題

今後の課題

車の音に関する困りごとは、車のそばでの排気音だけではありません。車が走っているときの音や、タイヤが路面と擦れる音など、いろいろな音の問題があります。特に、電気で動く車や、電気とガソリンの両方で動く車の数が増えてくると、モーターの音やタイヤの摩擦音が、これまで以上に気になるようになるかもしれません。これらの新しい音の問題についても、技術を開発したり、ルールを厳しくしたり、色々な対策が必要です。

音の問題は、地域に住む人たちの協力もなくては解決できません。車を作る会社や行政だけでなく、地域の人たちも一緒に音の問題に取り組むことで、静かで暮らしやすい環境を作ることができるはずです。車を使う一人ひとりが、音の問題についてよく考え、周りの人に迷惑をかけない運転を心がけることが大切です。

例えば、電気で動く車が増えると、エンジンの音が小さくなるので、今まで聞こえなかったタイヤの音や風を切る音が目立つようになります。タイヤメーカーは、静かで振動が少ないタイヤの開発に取り組んでいます。また、車を作る会社は、車の形を工夫することで風を切る音を小さくする研究を進めています。

近所の人への配慮も大切です。早朝や深夜のエンジン音や、空ぶかし、急発進、急ブレーキなどは、周りの人に大きな迷惑をかけます。また、住宅地では、必要以上に速度を出さない、アイドリングストップを心がけるなど、一人ひとりの心がけで騒音を減らすことができます。みんなでルールを守り、思いやりのある運転を心がけることが、静かな環境を作る第一歩です。

さらに、地域によっては、騒音を少なくするための独自の取り組みが行われています。例えば、交通量の多い道路に、音を吸収する舗装を使う、防音壁を設置する、といった対策があります。また、地域の人たちと協力して、騒音の少ないルートを作る、速度制限を設ける、といった活動も効果的です。

音の問題は、技術的な対策だけでなく、地域の人たちの協力や、一人ひとりの心がけが重要です。より静かで暮らしやすい環境を目指して、みんなで一緒に取り組んでいく必要があるでしょう。

今後の課題