進化する車の乗り心地:エアサス技術

進化する車の乗り心地:エアサス技術

車のことを知りたい

先生、『エアスプリング付きショックアブソーバー』って、普通のばねとは何が違うんですか?

車の研究家

いい質問だね。普通の金属製のばねと違って、『エアスプリング付きショックアブソーバー』は空気のばねを使っているんだ。だから、乗り心地がふわふわになるだけでなく、車高の調整もしやすいんだよ。

車のことを知りたい

車高の調整ができるんですね!でも、空気ばねだと柔らかすぎて、ふらふらしてしまうんじゃないですか?

車の研究家

その通り。ただ、エアスプリング付きショックアブソーバーは、空気ばねに加えて、ショックアブソーバーと金属ばねも組み合わせて使っているんだ。だから、柔らかすぎることなく、路面の凹凸もしっかり吸収してくれるんだよ。乗り心地と安定性を両立させているんだね。

エアスプリング付きショックアブソーバーとは。

車につける部品「空気ばね入り緩衝器」について説明します。この部品は、緩衝器の上に空気ばねを置く構造で、車の姿勢を保つ補助ばねとしてよく使われます。呼び方を変えて「サスペンション制御装置」とも言います。昔から「オレオサスペンション」という名前でも知られています。トヨタのセルシオに搭載されたH∞TEMSという装置では、緩衝器の効き具合を調整する範囲を広げ、部品を動かすモーターの切り替えを9段階に増やしました。車体の揺れ具合はGセンサーで測ります。空気ばねの制御は、前方のフェンダーの上と後ろの荷物置き場に「高さ制御弁」という部品を置いて、空気圧縮機から送られた空気を部屋に送ることで行います。主なばねであるコイルスプリングは部屋の外側に配置し、空気ばねと一緒に制御します。

空気ばねの仕組み

空気ばねの仕組み

車は路面からの様々な振動を受けますが、その振動を吸収し、乗員に快適な乗り心地を提供するのが緩衝装置です。この緩衝装置の重要な部品の一つに、ばねがあります。金属製のばねが広く使われていますが、近年では空気の弾力を使う空気ばねも注目を集めています。

空気ばねは、ゴムや丈夫な繊維でできた蛇腹状の袋に空気を詰めることで、ばねの働きをさせます。まるで風船のように、空気が縮んだり膨らんだりすることで、路面からの衝撃を吸収するのです。この空気の量は自由に調整できるので、車高を一定に保つことができます。たくさんの荷物を積んで車体が沈み込んでも、空気の量を増やすことで元の高さに戻せるのです。また、道路の状態に合わせて空気の量を調整することで、乗り心地を自在に変えることも可能です。デコボコ道では空気を多くして柔らかく、高速道路では空気を少なくして安定した乗り心地に調整できます。

空気ばねは金属製のばねに比べて軽いことも大きな利点です。車体が軽くなれば、それだけ燃料の消費を抑えることができます。つまり、燃費が向上することにつながるのです。

空気ばねは単体で使われることは少なく、通常は減衰器と組み合わせて使われます。減衰器は、ばねが縮んだり伸びたりする動きを抑制する装置です。空気ばねが衝撃を吸収した後、車体が揺れ続けるのを抑え、安定した走行を確保します。このように、空気ばねと減衰器が協調して働くことで、快適な乗り心地と安定した走行性能を両立させているのです。

空気ばねの特性 詳細 メリット
構造 ゴムや丈夫な繊維でできた蛇腹状の袋に空気を充填
車高調整 空気量を調整することで車高を一定に保つ 荷物の量に関わらず一定の車高を維持
乗り心地調整 空気量を調整することで乗り心地を変化 路面状況に合わせた最適な乗り心地を実現
軽量 金属ばねに比べて軽量 燃費向上
減衰器との連携 減衰器と組み合わせて使用 安定した走行性能の確保

エアサスの歴史

エアサスの歴史

空気ばねの歴史は、意外にも古く、半世紀以上前に遡ります。1950年代、まだ高度経済成長期以前の日本では、大型の乗り合い自動車や荷物を運ぶトラックなどに、既に空気ばねが採用されていました。これらの大型車両は、荷物の重さや乗客数によって車体が大きく傾いたり、揺れが激しくなったりすることが課題でした。そこで、空気の弾力性を利用した空気ばねが、これらの問題を解決する画期的な技術として導入されたのです。

その後、乗用車にも空気ばねが採用されるようになったのは、1980年代のことです。当時はまだ珍しく、高級車と呼ばれる一部の車種に限られていました。初期の空気ばねは、主に車体の高さを調整する機能が中心でした。道路の状況が悪い場所や、荷物をたくさん積む際に、手動で車高を調整することができました。

時代が進むにつれて、空気ばねの技術も進化しました。路面の凹凸や車の速度に合わせて、ばねの硬さを自動的に変える機能が加わりました。これにより、乗っている人の快適さと、車の安定性を両立することができるようになりました。デコボコ道でも揺れが少なく、滑らかな乗り心地を実現できるようになったのです。また、高速道路では、車体を低くすることで空気抵抗を減らし、安定した走行を可能にしました。

近年では、電子制御技術の進歩により、さらに高度な制御が可能となりました。運転手の操作や路面の状況に応じて、最も適したばねの状態を瞬時に選べるシステムが登場しています。これにより、快適な乗り心地と優れた操作性を両立することが可能となりました。例えば、スポーツ走行を楽しむ際には、ばねを硬くすることで車体の安定性を高め、正確なハンドル操作を可能にします。一方、ゆったりと街中を走る際には、ばねを柔らかくすることで、路面からの振動を吸収し、快適な乗り心地を実現します。まるで魔法のじゅうたんに乗っているかのような、滑らかで快適な乗り心地を味わえるようになったのです。

年代 車種 主な機能 特徴
1950年代 大型乗り合い自動車、トラック 車体傾斜、揺れの抑制 荷物の重さや乗客数による影響軽減
1980年代 高級車 車高調整(手動) 道路状況や荷物量への対応
1990年代以降 乗用車 車高調整(自動)、硬さ調整 快適性と安定性の両立、路面状況への自動対応
近年 乗用車 電子制御による最適化 運転操作や路面状況への高度な対応、快適性と操作性の両立

制御の仕組み

制御の仕組み

車は、様々な状況に応じて滑らかな動きと安定した走りを実現するために、様々な制御機構を備えています。その一つとして、エアサスペンションの制御機構について詳しく見ていきましょう。

エアサスペンションは、金属製のばねの代わりに空気を満たしたゴム製の袋、すなわち空気ばねを用いて車体を支える仕組みです。この空気ばねの中の空気量を調整することで、車高や乗り心地を変化させることができます。では、どのようにして空気の量が調整されるのでしょうか。

調整の要となるのが、電子制御装置(ECU)です。ECUは、人間でいうところの頭脳のような役割を果たします。ECUは、様々な情報に基づいて、空気ばねに送る空気の量を緻密に制御しています。具体的には、車速やブレーキのかかり具合、ハンドルを切る角度といった車の状態に関する情報を常に監視しています。さらに、路面の凹凸や傾斜といった路面状況の情報もセンサーで検知し、ECUへと送られます。

これらの情報を総合的に判断し、ECUは空気ばねに送る空気の量を調整します。例えば、高速道路を走る時のような速い速度で走行している場合は、車高を低くすることで空気の流れがスムーズになり、燃費の向上につながります。逆に、でこぼこ道のような状態の悪い道を走行する場合は、車高を高くすることで車体と路面との接触を防ぎ、走破性を高めます。また、カーブを曲がる時のような状況では、左右の空気ばねの空気量を別々に調整することで、車体の傾きを少なくし、安定した走行を実現します。

これら一連の制御は、運転手が意識することなく、自動的に行われます。状況に応じて常に最適な乗り心地と走行性能が得られるよう、ECUが常に調整を続けているのです。これにより、乗員は快適で安全なドライブを楽しむことができるのです。

制御の仕組み

先進的な技術

先進的な技術

自動車の乗り心地と操縦安定性を飛躍的に向上させる技術の一つに、空気ばねを利用したエアサスペンションがあります。近年、この技術は目覚ましい進化を遂げており、代表的な例としてトヨタのH∞TEMSが挙げられます。

H∞TEMSの大きな特徴は、きめ細やかな制御にあります。従来のエアサスペンションでは、減衰力の調整範囲が限られていましたが、H∞TEMSはこれを大幅に拡大しています。内部に使われている回転式の切り替え装置は、9段階もの調整を可能にし、路面状況や運転状況に応じて、より精密な減衰力制御を実現しています。

路面からの入力の正確な把握も、H∞TEMSの優れた点です。車体の上部の動きを計測する装置を使い、路面の凹凸や傾斜などの情報を正確に捉え、その情報に基づいて最適な減衰力を発生させます。これにより、どんな路面状況でも、常に安定した乗り心地と操縦安定性を確保することができます。

車高の調整機構にも、高度な技術が用いられています。車体の前方の左右と後部の荷室には、それぞれ空気ばねの高さを調整するための弁が備えられています。これらの弁は、空気の出し入れを制御することで、車高を精密に調整します。これにより、乗員数や荷物の量に関わらず、常に最適な車高を維持することができます。

H∞TEMSは、金属製の螺旋ばねと空気ばねを組み合わせた、高度な制御方式を採用しています。空気ばねの外側には、主ばねとして金属製の螺旋ばねが配置されており、これら二つのばねを協調して制御することで、乗り心地と操縦安定性を更に向上させています。

このような先進的な技術により、エアサスペンションは、快適で安全な運転体験を提供する上で、なくてはならない存在になりつつあります。今後も更なる進化が期待される技術と言えるでしょう。

特徴 詳細
きめ細やかな制御 9段階調整可能な回転式切り替え装置により、路面状況や運転状況に応じて精密な減衰力制御を実現
路面入力の正確な把握 車体上部の動きを計測する装置で路面情報を正確に捉え、最適な減衰力を発生
車高調整機構 車体前後と荷室の弁で空気の出し入れを制御し、乗員数や荷物の量に関わらず最適な車高を維持
ばねの組み合わせ 金属製の螺旋ばねと空気ばねを組み合わせ、協調制御することで乗り心地と操縦安定性を向上

今後の展望

今後の展望

乗り心地の良さで知られる空気ばねは、これからもっと進化していくと考えられます。路面の状況を事前に把握する技術や、人間の知恵を模した技術を使った制御方法などが研究されており、今まで以上に快適で性能の良い走りを実現できると期待されています。

また、環境への関心が高まっていることから、車体を軽くして燃費を良くする技術や、空気圧縮機をより効率的に動かす技術も開発が進んでいます。これらの技術によって、環境への負荷を減らしながら、快適な乗り心地を両立することが可能になります。

加えて、自動で運転する技術との組み合わせも研究されており、移動中に快適な空間を提供する仕組みなども考えられています。例えば、停車中は車高を下げて乗り降りをしやすくしたり、高速道路では車高を上げて空気抵抗を減らし燃費を向上させたりすることができるでしょう。

空気ばねは、車の進化を支える重要な技術です。路面からの衝撃を吸収するだけでなく、車体の傾きを抑えたり、車高を調整したりすることで、安全で快適な運転を可能にします。

これらの技術革新は、私たちの移動手段を大きく変える可能性を秘めています。より快適で、より安全で、そして環境にも優しい車社会の実現に向けて、空気ばねは重要な役割を果たしていくでしょう。

空気ばねの進化のポイント 詳細
乗り心地向上 路面状況把握技術、人間の知恵を模した制御技術により、快適性と性能が向上
環境性能向上 軽量化技術、高効率空気圧縮機技術により、燃費向上と環境負荷低減
自動運転との連携 停車時の車高調整による乗降性の向上、走行中の車高調整による燃費向上など
空気ばねの役割 衝撃吸収、車体傾き抑制、車高調整による安全性と快適性向上