車の重さを支える車軸の役割

車の重さを支える車軸の役割

車のことを知りたい

先生、「分担荷重」って、クルマの重さ全体が前の車輪と後ろの車輪にどう分かれるかってことですよね?

車の研究家

そうです。クルマ全体の重さが、前輪と後輪それぞれにかかる荷重のことですね。これを『軸重』ともいいます。ただ、それだけではありません。人が乗ったり、荷物を積んだりした場合の重さも考えて、前後の車輪それぞれにかかる最大の重さを計算する必要があるのです。

車のことを知りたい

人が乗ったり荷物を積んだりした場合も考える必要があるんですね。計算はどうやるんですか?

車の研究家

まず、誰も乗っていない空っぽの状態のクルマの重さを測ります。次に、乗る人の重さや荷物の重さを計算で求めて、前後の車輪にどう配分されるかを計算します。そして、空の状態の軸重と、計算で求めた重さそれぞれを足すと、前輪と後輪それぞれにかかる最大の重さが分かります。これが「車両総重量の各軸重」です。

分担荷重とは。

車は、その重さ(車両の重さ)が前の車軸と後ろの車軸にどのように分散されているかを示す『分担荷重』という言葉があります。国による審査では、人が乗っていない状態の車の重さ(空車重量)をそれぞれの車軸ごとに実際に測ります。そして、決められた人数が乗った場合の重さや、トラックの場合は最大の荷物を積んだ場合の重さを計算し、それぞれの車軸にかかる重さを加えます。これらの合計が、車全体の重さ(車両総重量)における各車軸の重さになります。車両総重量における各車軸の重さの最大値は10トン以下と決められています。ただし、前の車軸が2つある場合や後ろの車軸が2つある場合は、車軸の間の距離によってさらに制限があります。また、ハンドル操作をする前の車軸の重さは、人が乗っていない状態でも荷物を積んだ状態でも、それぞれ空車重量と車両総重量の20%以上(三輪自動車の場合は18%以上)でなければなりません。トレーラーの場合は、引っ張る車と引っ張られる車を連結した状態でこの条件を満たす必要があります。

車軸にかかる重量とは

車軸にかかる重量とは

車は、複数の輪で地面を捉え、その輪を支える棒状の部品、車軸によって支えられています。この車軸には、車体そのものの重さだけでなく、乗っている人や積まれた荷物の重さなど、車全体の重さがのしかかります。車軸にかかるこの重さを「分担荷重」もしくは「軸重」と呼びます

車は、ただ金属を組み合わせた塊ではなく、走る、曲がる、止まるといった動作を安全かつ快適に行えるよう、重さの配分が細かく計算され、作られています。分担荷重は、車の様々な性能や安全に直接関係する重要な要素であり、設計の段階から精密に計算され、最適な釣り合いの状態になるよう調整されています。

例えば、前の輪に重さが偏りすぎていると、ハンドルを回すのが重くなったり、ブレーキの効きが悪くなったりすることがあります。前の輪の負担が大きくなりすぎると、地面をしっかりと捉える力が弱まり、操作に影響が出ます。反対に、後ろの輪に重さが偏りすぎていると、エンジンの力を路面に伝える輪の粘着力が弱まり、発進や加速がスムーズにいかないことがあります。特に、後ろの輪が駆動輪の場合、地面を蹴る力が弱まり、加速性能が低下します

また、荷物の積み方にも注意が必要です。重い荷物を車体の片側に集中させて積むと、左右の車軸にかかる重さに差が生じ、バランスが崩れます。これは、カーブを曲がるときに不安定になったり、ブレーキをかけたときに車が傾いたりする原因となります

このように、分担荷重は車の性能を最大限に引き出し、安全な走行を確実にするために、適切な状態に調整されている必要があるのです。

要素 詳細 影響
分担荷重(軸重) 車軸にかかる車全体の重さ 車の様々な性能や安全に直接関係する重要な要素
前輪への荷重偏り 前輪の負担が大きすぎる ハンドル操作が重くなる、ブレーキの効きが悪くなる、地面を捉える力が弱まり操作性に影響
後輪への荷重偏り 後輪の負担が大きすぎる エンジンの力を路面に伝える力が弱まり、発進や加速がスムーズにいかない。特に後輪駆動の場合、加速性能が低下
荷物の偏り 重い荷物を片側に集中させて積む 左右の車軸にかかる重さに差が生じ、カーブでの不安定化やブレーキ時の傾きの原因となる

重量配分の重要性

重量配分の重要性

車は、その重さによって地面に押し付けられています。この重さがどのように車輪にかかっているかを重量配分と言い、車の動きに大きな影響を与えます。前後左右、それぞれの車輪にかかる重さが均等であるほど、車は安定して走ります。

まず、走行の安定性について考えてみましょう。車は走っているとき、常に様々な力を受けます。加速や減速、カーブを曲がるとき、そして路面の凹凸など、これらの力は車のバランスを崩そうとします。重量配分が適切であれば、これらの力に対抗し、安定した姿勢を保つことができます。特に高速で走っている時や、カーブを曲がるときは、遠心力などの大きな力が車にかかります。このような状況では、適切な重量配分がなければ、車は不安定になり、最悪の場合、横転などの事故につながる危険性があります。

次にブレーキ性能についてです。急ブレーキをかけると、車は前のめりになり、前輪に大きな荷重がかかります。このとき、前輪のブレーキが車の停止に大きく貢献します。もし、重量配分が前寄りになっていれば、急ブレーキ時に前輪への負担がさらに増し、ブレーキの効きが悪くなったり、タイヤがロックしやすくなります。逆に、後輪に荷重が偏っていれば、ブレーキ時に後輪が浮き上がりやすくなり、これもまた危険です。

最後にタイヤの寿命です。荷重が特定の車輪に偏ると、そのタイヤだけが早くすり減ってしまいます。重量配分が適切であれば、全てのタイヤに均等に荷重がかかるため、タイヤの寿命を延ばすことができます。これは、経済的な面からも大きなメリットです。

このように、重量配分は車の様々な性能に影響を与えます。安全で快適な運転、そして経済的な車の維持のためにも、重量配分は重要な要素と言えるでしょう。

項目 重量配分の影響 詳細
走行の安定性 安定した姿勢を保つ 加速・減速・コーナリング時や路面の凹凸による外力に抵抗し、安定性を維持。特に高速走行やコーナリング時の遠心力への対応は重要。
ブレーキ性能 急ブレーキ時の安定性確保 急ブレーキ時の前輪荷重増加に対応し、ブレーキの効きやタイヤのロックを防止。後輪の浮き上がりも抑制。
タイヤの寿命 タイヤの寿命を延ばす 荷重の偏りを防ぎ、全てのタイヤの摩耗を均一化することで、タイヤ寿命を延長。

法的な規制

法的な規制

車は、私たちの暮らしに欠かせない移動手段ですが、その大きさや重さゆえに、道路や橋に大きな負担をかけます。そのため、道路や橋を守るため、そして安全な交通を守るため、車の重さを細かく決めた法律があります。それが道路運送車両法です。

この法律では、車全体の重さだけでなく、それぞれの車軸にかかる重さについても、細かくルールが決められています。一つの車軸にかかる重さは、最大で10トンまでとされています。もし、これを超えてしまうと、道路が傷んだり、橋が壊れたりする危険性が高まります。特に、大型の運送トラックなどは、たくさんの荷物を運ぶため、車軸にかかる重さが大きくなりやすいので、注意が必要です。

車軸が二つ並んでついている場合、前後の車軸の間の距離によっても、重さの制限が変わります。車軸間の距離が短い場合は、二つの車軸が近い場所に集中して重さがかかるため、道路への負担が大きくなります。そのため、車軸間の距離が短いほど、重さの制限は厳しくなります。

これらのルールは、道路や橋を長持ちさせ、安全な交通を確保するためにとても重要です。運送会社などは、荷物を運ぶ前に、車の重さをきちんと確認し、法律で決められた範囲内におさめる必要があります。もし、このルールを守らずに、重すぎる車を走らせてしまうと、道路や橋を傷つけるだけでなく、周りの人にも危険を及ぼす可能性があります。また、ルールを守らなかった場合は、罰金などの罰則が待っています。日頃から、車の重さに関するルールをしっかり守り、安全な運行を心がけることが大切です。

項目 詳細
車軸の最大重量 10トン
複数車軸の重量制限 車軸間の距離が短いほど、重量制限は厳しくなる
規制の目的 道路や橋の保護、交通安全の確保
違反した場合 罰金などの罰則

前軸の荷重

前軸の荷重

車は、安全に走るために様々な工夫が凝らされています。中でも、前輪にかかる重さ、つまり前軸の荷重は、車の操縦安定性に大きく関わってくる重要な要素です。

車は、人が運転するものですから、思い通りに動いてくれないと困ります。特に、ハンドル操作は安全運転に直結するため、前輪のグリップをしっかり確保することが大変重要です。このグリップ力を左右するのが、前軸にかかる荷重です。

前軸の荷重が軽すぎると、ハンドルが軽くなりすぎて、路面のわずかな凹凸や横風などでもハンドルが取られやすくなってしまいます。まるで氷の上を滑るように、ふらふらとした不安定な走りになり、正確な運転操作ができなくなってしまうのです。特に、雨で路面が濡れていたり、凍結しているような状況では、タイヤと路面との摩擦が小さくなり、前輪のグリップ力はより一層重要になります。

このような事態を防ぐため、前軸の荷重には明確な基準が設けられています。車は、人が乗っていない空車状態と、人や荷物を載せた積車状態の両方で、それぞれ決められた割合以上の荷重が前軸にかかるように設計されているのです。

具体的には、空車状態では空車全体の重さの、積車状態では車両総重量の一定の割合以上と定められています。この割合は、三輪自動車とそれ以外の車で少し異なっており、三輪自動車の場合は全体の重さの18%以上、それ以外の車の場合は20%以上と決められています。

また、トレーラーなどを引っ張る牽引自動車の場合は、後ろに繋げた車を連結した状態で、この基準を満たす必要があります。安全な運転を確保するために、前軸の荷重は、車を作る上で見落とせない大切な要素なのです。

状態 車両の種類 前軸荷重の基準
空車状態 三輪自動車 空車全体の重さの18%以上
空車状態 三輪自動車以外 空車全体の重さの20%以上
積車状態 三輪自動車 車両総重量の18%以上
積車状態 三輪自動車以外 車両総重量の20%以上
連結状態 牽引自動車 連結した状態での車両総重量の基準値以上

確認の方法

確認の方法

車の重さを知ることは、安全運転や法令遵守のためにとても大切です。車検証を見れば、重さに関係する大切な情報が載っています。前軸重は前の車軸にかかる重さ、後軸重は後ろの車軸にかかる重さで、これらを合わせたものが車両総重量です。これらの数字は、車種ごとに決められた重さの上限を示しています。

車検証を見ることで、自分の車がどれだけの重さに耐えられるのかを知ることができます。また、実際に車に荷物を載せた時の重さを知るには、計量器を使うのが確実です。計量器は、道路沿いや運送会社などに設置されていることが多いです。

荷物を積む前と後で、車の重さは変わります。荷物を載せる時は、車の重さが決められた範囲内におさまっているかを確認する必要があります。特に、重い荷物を運ぶ場合は、慎重に計算し、重さをきちんと確認することが不可欠です。荷物の重さを把握し、車の重さと合わせて計算することで、安全に荷物を運ぶことができます。

決められた重さ以上に荷物を積む(過積載)と、ブレーキが効きにくくなったり、車が不安定になったりするなど、大きな事故につながる危険性があります。そのため、過積載にならないように、荷物の量や重さを事前に確認し、安全運転を心がけることが重要です。安全な運転のためにも、日頃から車検証で車の重さを確認し、荷物を積む際には計量器を利用するなどして、車の重さ管理を徹底しましょう。

項目 内容 確認方法
前軸重 前の車軸にかかる重さ 車検証
後軸重 後ろの車軸にかかる重さ 車検証
車両総重量 前軸重と後軸重の合計。車種ごとに決められた上限値。 車検証
車両の実重量 実際に車に荷物を載せた時の重さ 計量器