かに走り

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消耗品

プライステア:タイヤの隠れた力

車を走らせる上で欠かせないタイヤ。その中には、普段あまり意識することのない複雑な力が働いています。その一つが、この文章で説明する「回転方向で変わる横力」、つまりプライステアです。 プライステアとは、タイヤが回転する方向によって生じる横方向の力のことを指します。横滑りや傾きといったものがなくても、タイヤが回転するだけでこの力は発生します。まるでタイヤが路面を滑っているかのような状態を作り出すことから、「擬似スリップ」とも呼ばれ、「ピーエス」と略されることもあります。 では、なぜこのような力が生まれるのでしょうか?それは、タイヤの構造や製造工程のわずかな違いが原因です。タイヤは、ゴムや繊維、金属といった様々な材料を組み合わせて作られています。これらの材料の配置や硬さ、あるいは製造過程におけるわずかな誤差などによって、タイヤの左右で特性に差が生まれます。この特性の差が、回転方向によって異なる横力を生み出す、つまりプライステアの原因となるのです。 このプライステアは、車の走行安定性に大きく影響します。例えば、ハンドルが自然と特定の方向に取られてしまう「ステアリングプル」や、車がまっすぐ走らず斜めに進んでしまう「かに走り」といった現象は、プライステアが原因の一つとして考えられています。これらの現象は、運転のしやすさや安全性を損なう可能性があるため、タイヤメーカーはプライステアを最小限に抑えるための技術開発に日々取り組んでいます。 このように、私たちが普段意識することのないタイヤの隠れた力が、車の挙動に大きく関わっているのです。タイヤの性能を理解することは、安全で快適な運転につながる第一歩と言えるでしょう。