切削工具のすくい角:性能への影響
物を削る道具の刃には、削る物の流れを良くするための角度が付けられています。これを「すくい角」と言います。この角度は、削る道具の面と、削る方向に垂直な面との間の角度で決まります。この角度が、削り作業の出来栄えに大きな影響を与えます。
すくい角には、主に二つの種類があります。一つは、刃が前方に傾いている「正のすくい角」です。もう一つは、刃が後方に傾いている「負のすくい角」です。それぞれに異なる特徴があり、用途によって使い分けられます。
正のすくい角は、削りかすをスムーズに排出する効果があります。そのため、道具にかかる負担が少なく、滑らかに削ることができます。また、削られた面の仕上がりも美しくなります。このため、粘り気のある柔らかい物を削る時や、綺麗な仕上がりを求める時に適しています。木材やプラスチックなどを削る道具によく用いられます。
一方、負のすくい角は、刃の先端が強くなります。摩耗しにくく、硬い物を削るのに適しています。しかし、削りかすの排出はあまり良くなく、削る際に大きな力が必要になります。また、削られた面の仕上がりもあまり良くありません。このため、硬い金属などを削る道具によく用いられます。
適切なすくい角を選ぶことは、良い削り作業をするために非常に重要です。削る物、求める仕上がり、道具の強度など、様々な条件を考慮して最適なすくい角を選びましょう。例えば、粘りのある柔らかい物を削る場合は正のすくい角、硬い物を削る場合は負のすくい角を選びます。また、仕上がりの美しさを求める場合は正のすくい角、道具の寿命を重視する場合は負のすくい角を選びます。このように、状況に応じて最適なすくい角を使い分けることで、作業効率を高め、高品質な製品を作り出すことができます。