ディスクスプリング:その特性と応用
皿ばねとも呼ばれる円盤ばねは、浅いおわんを伏せたような、あるいは円錐を押しつぶしたような独特の形をしたばねです。名前の通り、円盤状の形をしています。材質は、一般的にはばね鋼と呼ばれる特殊な鋼材が用いられます。この鋼材は、高い弾性と耐久性を持つため、繰り返し荷重がかかる環境でも安定した性能を発揮します。
円盤ばねは、軸方向の力、つまり上下方向の力を受けると変形し、その際にエネルギーを蓄えます。力を加えるのを止めると、蓄えられたエネルギーを放出し、元の形状に戻ろうとします。これがばねとしての働きです。一般的なコイル状のばねとは異なり、小さな変形で大きな荷重を支えることができます。これは、円盤ばねの形状によるものです。荷重がかかると、円盤の断面全体がたわむことで、効率的にエネルギーを蓄積できるのです。
この特徴から、円盤ばねは様々な機械部品で利用されています。例えば、自動車のクラッチやバルブ機構など、限られた空間で大きな力を必要とする箇所に最適です。また、建設機械や農業機械など、過酷な環境で使用される機械にもよく使われます。さらに、ボルトの締結力調整にも利用されます。複数の円盤ばねを重ねて使用することで、より大きな荷重に対応することも可能です。円盤ばねは、コンパクトながらも高い性能を持つ、現代の機械になくてはならない部品の一つと言えるでしょう。