軽量で頑丈、ジュラルミンの魅力
軽くて強い金属として知られるジュラルミンは、二十世紀初頭のドイツで生まれました。当時、飛行機の材料には軽い木が使われていましたが、強度が足りず、より強く軽い材料が求められていました。そこで、アルミニウムに着目したドイツの技術者、アルフレッド・ヴィルムは、様々な金属を混ぜる研究を重ねました。そしてついに、アルミニウムに銅やマグネシウム、マンガンなどを加えることで、鋼鉄に匹敵する強度を持つ合金を作り出すことに成功しました。これがジュラルミンです。
ジュラルミンは、第一次世界大戦で飛行船の骨組みに使われ、その軽さと強さが航空機の性能を飛躍的に向上させました。それまでの飛行機は木や布で作られていましたが、ジュラルミンを使うことで、より軽く、より速く、より高く飛べるようになったのです。戦後もジュラルミンの需要は高く、航空機材料として広く使われるようになりました。旅客機はもちろん、戦闘機や爆撃機など、様々な種類の飛行機にジュラルミンが採用され、空の時代を支える重要な材料となりました。
ジュラルミンは、熱処理をすることでさらに強度を高めることができます。熱したジュラルミンを急冷することで、金属内部の原子が規則正しく並び、強度が向上するのです。この技術によって、ジュラルミンはさらに航空機に適した材料となりました。
しかし、ジュラルミンは錆びやすいという弱点も持っています。そのため、表面をアルミニウムの純度の高い薄い膜で覆うことで、錆を防ぐ工夫がされています。この技術により、ジュラルミンは長期間の使用に耐えることができ、現在でも航空機をはじめ、鉄道車両や自動車など、様々な分野で使われています。ジュラルミンは、まさに現代社会を支える金属材料の一つと言えるでしょう。