ノッキングを防ぐ!アンチノック性
自動車の心臓部であるエンジンは、燃料と空気の混合気を燃焼させて力を生み出します。この燃焼の力はピストンと呼ばれる部品を押し下げ、最終的に車のタイヤを回転させる力へと変換されます。ピストンが上下に動く際に、混合気を燃やす行程の前に、ピストンが上へ動き混合気をぎゅっと圧縮する行程があります。この圧縮の度合いを圧縮比と呼び、圧縮比が高いほど、少ない燃料で大きな力を得ることができるのです。
例えるなら、自転車の空気入れを想像してみてください。空気入れの筒の中に空気を閉じ込めて、ピストンを押し込むと、中の空気は圧縮されて体積が小さくなります。圧縮すればするほど、中の空気は高温高圧になります。エンジンの場合もこれと同じで、圧縮比が高い、つまり混合気をより強く圧縮するほど、燃焼時の温度と圧力が上がり、結果として大きな力を得られるのです。
この力の発生効率を熱効率と呼びますが、圧縮比を高めることで熱効率は向上し、燃費が良くなります。近年、地球環境への配慮がますます重要視される中、自動車メーカーはエンジンの熱効率向上に力を入れています。熱効率を高めることで、同じ量の燃料でより長い距離を走ることができ、二酸化炭素の排出量削減に貢献できるからです。
圧縮比を高める技術は、まさに地球環境と運転者の財布、両方に優しい技術と言えるでしょう。より少ない燃料でより多くの動力を生み出す、そんな高効率なエンジンの開発は、持続可能な社会の実現に欠かせない要素と言えるでしょう。