隠れた機能美:クォーターガラスアンテナ
車の屋根から突き出た棒状の空中線は、これまで洗車の際に邪魔になるだけでなく、せっかくの車体全体の見た目も損ねてしまうという難点がありました。そこで、車の後部座席の横、後輪付近の車体上部にある小さな窓である固定窓に空中線を埋め込む技術が生まれました。この固定窓は開閉できない窓ですが、ここに空中線を埋め込むことで、車体から空中線が突き出ることをなくし、すっきりとした外観を実現しました。
この固定窓への空中線の埋め込みは、単に見た目を良くするだけでなく、様々な利点をもたらします。まず、空中線が車体の中に隠れることで、洗車の際に邪魔になることがなくなります。また、車体の表面が滑らかになるため、空気との摩擦が減り、燃費の向上にもわずかながら貢献します。空気抵抗が減ることで、走行時の風切り音も小さくなり、静粛性も向上します。
空中線の性能についても抜かりはありません。固定窓に埋め込まれた空中線は、従来の棒状の空中線と同様に、良好な受信感度を保っています。そのため、クリアな音質でラジオ放送を楽しむことができます。また、近年ではラジオ放送だけでなく、カーナビゲーションシステムやETCなどの車載機器にも空中線が必要不可欠です。固定窓に埋め込まれた空中線は、これらの機器にも対応しており、快適なドライブをサポートします。
このように、固定窓に埋め込まれた空中線は、車のデザイン性と機能性を両立させた、まさに隠れた名脇役と言えるでしょう。一見すると小さな部品ですが、車の快適性や燃費向上に貢献する重要な役割を担っています。今後、ますます多くの車種で採用されていくことが期待されます。