アンローダー

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エンジン

忘れられた機構:アンローダー

自動車のエンジンをかける時、特に寒い時には、うまく燃料と空気を混ぜて燃焼させなければなりません。この空気と燃料の混ざったものを混合気と言いますが、寒いと燃料が霧状になりにくく、エンジンを始動するには濃い混合気が必要になります。そこで、空気の量を調整する部品であるチョークバルブを使って空気の量を絞り、濃い混合気を作り出すのです。チョークバルブは、いわばエンジンの呼吸を少し抑える役目を持っています。 しかし、チョークバルブで空気を絞った状態で急にアクセルを踏むと、燃料が多すぎてエンジンがうまく回らなくなってしまうことがあります。これは、まるで息を止めたまま急に走り出すようなもので、苦しくなってうまく走れないのと同じです。そこで、この問題を解決するために、アンローダー機構が活躍します。 アンローダー機構は、アクセルペダルと連動してチョークバルブを少し開く仕組みです。アクセルを急に踏むと、アンローダー機構が作動してチョークバルブを少し開き、空気を多く取り込むことで、燃料過多の状態を防ぎます。これにより、息苦しい状態から解放され、スムーズに加速できるようになるのです。 アンローダー機構は、昔のガソリンエンジンにおいて、特に寒い時期のエンジンの始動をスムーズにする上で重要な役割を担っていました。まるで、寒い朝にエンジンを優しく起こしてくれる、そんな心強い存在だったと言えるでしょう。近年の電子制御式燃料噴射装置の普及により、このような機構は姿を消しつつありますが、過去の自動車技術を理解する上で重要な要素の一つです。