エアダム:クルマの安定性向上
車は、道を進む際に、常に空気の中を進んでいきます。まるで水の中を進む船のように、空気も抵抗となります。この空気の抵抗をいかに少なくするかが、車の性能を大きく左右します。空気の流れ、すなわち気流をうまく整えることで、燃費を良くしたり、走行を安定させたりすることができるのです。
そのために、車には様々な工夫が凝らされています。その一つが、車体の前方に取り付けられる「エアダム」です。「ダム」という名前の通り、空気の流れをせき止める役割を果たします。空気は、何もなければ車体の下にも流れ込んでしまいますが、エアダムがあることで、その流れを阻むことができます。
車体の下に空気が流れ込むと、どうなるのでしょうか。飛行機が空を飛ぶのと同じ原理で、車体の下側に流れる空気は、車を地面から浮き上がらせようとする力を生み出します。これを揚力と言います。揚力は、高速で走る際に、車が地面をしっかりと捉えることを邪魔し、安定性を損なう原因となります。
エアダムは、車体の下への空気の流れをせき止めることで、この揚力を抑え、車が地面に吸い付くように安定した走りを実現する手助けをしています。特に高速道路など、スピードを出す場面では、エアダムの効果は大きく、安全な走行に欠かせない要素となっています。まるで、目には見えない空気の壁を作り、車をしっかりと地面に繋ぎ止めているかのようです。安定した走りを求めるなら、エアダムの働きにぜひ注目してみてください。