排ガスを抑える技術:仕組みと重要性
自動車の排気ガスは、空気を汚す大きな原因の一つです。そのため、排気ガスに含まれる悪い物質を減らすための様々な工夫が長年にわたり続けられてきました。排気ガスをきれいにする仕組みは、大きく分けて三つの段階で進められます。
まず第一段階は、エンジン内で燃料を燃やす際に、そもそも悪い物質がなるべく発生しないようにすることです。これは「燃焼前処理」と呼ばれます。エンジンの設計を工夫したり、燃料を噴射する量やタイミングを細かく調整することで、より完全な燃焼を目指します。燃料がしっかりと燃えれば、不完全燃焼による有害物質の発生を抑えることができます。
第二段階は「燃焼後処理」です。エンジンから出た排気ガスを、排気管を通る間にきれいにする処理です。この段階で重要な役割を担うのが「触媒変換装置」です。排気ガス中の有害物質は、この装置の中で化学反応を起こし、無害な物質に変化します。例えば、一酸化炭素は二酸化炭素に、窒素酸化物は窒素と酸素に、炭化水素は水と二酸化炭素に変わります。
最後の第三段階は、エンジン以外の部分から出るガスへの対策です。燃料タンクから蒸発するガソリンの蒸気(燃料蒸発ガス)や、ピストンとシリンダーの間から漏れるガス(ブローバイガス)なども、大気を汚染する原因となります。燃料蒸発ガスは、活性炭を使って吸着し、後からエンジンに送って燃やすことで処理します。ブローバイガスも同様に、エンジンに吸い込ませて燃焼させることで処理します。
これら三つの段階を組み合わせることで、排気ガスに含まれる有害な物質を大幅に減らすことができます。自動車メーカーは、より環境に優しい自動車を作るために、これらの技術の開発・改良を日々進めています。