エンジン停止後

記事数:(1)

エンジン

パーコレーション:夏のエンジントラブル

車は、暑い時期に長い時間走り続けたり、坂道を登ったりすると、エンジンルームの温度が上がりやすくなります。特に、高速道路などを走った後、車を停めてエンジンを切ると、エンジンルーム内の熱がこもってしまい、温度が急上昇することがあります。この現象が、キャブレター式の車特有のエンジントラブル、「パーコレーション」を引き起こす原因となります。 キャブレターは、エンジンに吸い込む空気と燃料を混ぜ合わせる、いわば車の「調理器具」のような部品です。キャブレターには「フロート室」と呼ばれる小さな部屋があり、ここに燃料が貯められています。パーコレーションは、このフロート室内の燃料に熱が伝わり、燃料が沸騰してしまう現象です。まるで、コンロの火を消した後も、熱いヤカンの中の湯が沸騰し続けるように、エンジンを止めても熱いエンジンルームの中で燃料は気化し続け、泡立ちます。 この泡立った燃料、つまり気化した燃料は、エンジンの吸気系に入り込んでしまいます。エンジンは、空気と燃料を適切な割合で混ぜ合わせた混合気を吸い込んで動きます。この混合気の割合が、料理の味付けと同じように重要です。パーコレーションが起こると、気化した燃料が過剰に吸気系に入り込み、混合気の燃料濃度が濃くなりすぎてしまいます。ちょうど、料理に調味料を入れすぎて味が濃くなってしまうのと同じように、燃料が多すぎてエンジンが始動しにくくなってしまうのです。これが、パーコレーションによってエンジンがかかりにくくなる理由です。パーコレーションは、夏の暑い時期によく起こる現象なので、古いキャブレター式の車を所有している方は注意が必要です。