燃えかすの正体:既燃ガスとは?
自動車の心臓部であるエンジンは、巧妙な仕組みで燃料を燃やし、動力を生み出しています。まるで小さな爆発を連続して起こしているようなものです。この爆発、つまり燃焼はエンジンの内部にある筒状の空間、シリンダーの中で行われます。シリンダーの中にはピストンと呼ばれる部品が上下に動いており、これが燃料と空気の混合気を圧縮する役目を担います。
ピストンが上がりきった時、圧縮された混合気に点火プラグから火花が飛びます。この火花をきっかけに、混合気は瞬時に燃焼を始めます。この燃焼は、穏やかな燃え方ではなく、瞬間的に高温高圧のガスを発生させる爆発的なものです。この高温高圧のガスは、ピストンを力強く押し下げます。ピストンはクランクシャフトという部品と繋がっており、ピストンの上下運動はクランクシャフトの回転運動に変換されます。そして、この回転運動がギアやシャフトといった部品を介して、最終的にタイヤに伝わり、車を走らせる力となります。
このピストンが上下し、混合気を圧縮、燃焼させ、ピストンを押し下げるという一連の動作は「燃焼行程」と呼ばれ、エンジンの回転数に応じて、1秒間に数十回という驚異的な速さで繰り返されます。この燃焼行程の繰り返しこそが、自動車をスムーズに、そして力強く走らせるための原動力となっているのです。まるで生き物の心臓が脈打つように、エンジンは絶え間なく燃焼を繰り返し、私たちを目的地へと運んでくれます。