エンジン効率

記事数:(2)

エンジン

未来のエンジン技術:可変排気量

自動車の心臓部であるエンジンには、排気量を変化させる巧妙な仕組みが備わっています。これは、エンジンの出力と燃費を状況に合わせて最適化する画期的な技術です。 エンジンの排気量とは、エンジン内部のシリンダーという部屋の中で、ピストンが上下運動する際に掃き出す体積の合計を指します。この排気量を変える方法には、主に二つの種類があります。 一つ目は、ピストンの動く距離、つまり行程を機械的に調整する方法です。ピストンはクランクシャフトという部品と連動して上下運動をしています。このクランクシャフトとピストンをつなぐ部品の働きを調整することで、ピストンの行程を長くしたり短くしたりすることができるのです。行程が長くなれば排気量は大きくなり、より大きな出力が得られます。逆に、行程が短くなれば排気量は小さくなり、燃費が向上します。これは、自転車の変速機のように、ペダルの回転数と進む距離の関係を変えるのと似ています。 二つ目は、エンジンの運転状況に応じて、一部のシリンダーの動きを止める、いわゆる休筒と呼ばれる方法です。例えば、四つのシリンダーを持つエンジンであれば、低速走行時やアイドリング時には二つのシリンダーだけを使い、加速時や高速走行時には四つすべてのシリンダーを使うように切り替えます。これにより、必要な時に必要なだけシリンダーを使うことができるため、無駄な燃料消費を抑え、燃費を向上させることができます。これは、家の電気を必要な部屋だけ点灯するのと同様に、必要な分だけエネルギーを使うという考え方です。 これらの技術により、自動車はまるで状況を理解しているかのように、必要な出力と燃費のバランスを自動的に調整することが可能になります。例えば、街中での低速走行時には排気量を小さくして燃費を向上させ、高速道路での追い越し時には排気量を大きくして力強い加速を実現します。この技術は、将来の自動車開発において、環境性能と走行性能を両立させるための重要な役割を担うと考えられています。
エンジン

エンジンの吸排気:脈動効果とは?

自動車の心臓部であるエンジンは、混合気を爆発させることで動力を生み出します。その混合気の重要な構成要素である空気をエンジン内部に取り込む過程で、吸気脈動効果という現象が重要な役割を担っています。まるで波のように、空気は密度が濃くなったり薄くなったりを繰り返しながらエンジンへと流れていきます。この空気の密度の変化は、吸気脈動と呼ばれています。 エンジンのピストンが下降すると、シリンダー内は真空に近い状態になり、空気を吸い込もうとする力が生まれます。この時、吸気管に繋がっている吸気バルブが開き、空気がシリンダー内へと流れ込みます。しかし、この空気の流れは一定ではなく、ピストンの動きに合わせて脈を打つように変化します。ピストンが高速で上下運動を繰り返すため、吸気管内の空気もそれに合わせて押し縮められたり、引き伸ばされたりするのです。この押し縮めと引き伸ばしによって、空気の密度の濃い部分と薄い部分が波のように発生し、吸気管内を伝わっていきます。これが吸気脈動の正体です。 吸気バルブが閉じるタイミングで、ちょうど空気の密度の濃い部分がバルブに到達すると、より多くの空気をシリンダー内に閉じ込めることができます。これを吸気脈動効果と呼びます。この効果によって、エンジンの吸入効率が向上し、より多くの動力を得ることができるのです。 吸気脈動効果は、まるで笛を吹く時のように、管の長さや形状によって変化します。笛を吹く際に、管の中の空気の振動によって特定の音程が生まれるように、吸気管の長さや形状を調整することで、吸気脈動効果を高めることができます。エンジンの回転数によっても最適な吸気管の長さは変化するため、様々な状況に合わせて吸気脈動効果を最大限に引き出すためには、緻密な設計が必要となります。吸気脈動効果は、エンジンの性能を左右する重要な要素であり、高性能エンジン開発には欠かせない技術なのです。