車の心臓部、横置きエンジンの秘密
自動車の設計において、心臓部である機関の置き方は、車全体の性能や使い勝手に大きな影響を与えます。機関を車幅方向に横向きに配置する「横置き」は、様々な車種で採用されている一般的な配置方法です。これは、機関の回転軸が車体の進行方向に対して直角になっていることを意味します。
横置き配置の最大の利点は、車体の前後の長さを抑えられることです。機関が車幅方向に収まるため、前後のスペースを節約でき、その分、乗員のための空間を広げたり、荷物を積む場所を広く取ったりすることが可能になります。そのため、限られた大きさの中で広い室内空間を必要とする小型乗用車や、多くの乗客や荷物を運ぶ箱型の車などで特に好まれています。
さらに、横置き配置は駆動力を伝える部品をまとまりよく配置できるため、部品全体の重さを軽くすることができます。車の重さが軽くなれば、燃費が良くなるだけでなく、車の動きも軽快になります。
前輪を駆動する車では、横置き配置にすることで機関と変速機をまとめて車体の前部に配置できます。こうすることで、駆動力を伝えるための部品が簡素になり、製造コストの削減にも繋がります。後輪を駆動する車の一部や、機関を車体の中央に配置する車でも、横置き配置が採用されることがあります。
このように、横置き配置は空間効率の良さ、軽量化、製造コストの削減といった多くの利点を持つため、現在では多くの乗用車で採用されている主流の配置方法となっています。小型車から大型車まで、幅広い車種でこの配置を見かけることができます。