空気抵抗を極める:車の進化
千九百七十年代、二度の世界的な石油の値上がりが起こりました。この石油の値上がりは、ガソリンの値段も高くし、人々の暮らしに大きな影を落としました。特にヨーロッパの国々では、使う燃料の量を減らすことが大きな課題となり、燃費の良い車に注目が集まりました。燃費を良くするために、風の抵抗を少なくする工夫が必要だという考え方が広まりました。風の流れを計算して車の形を決める、いわゆる空気力学の考え方が重要になったのです。
風の抵抗を少なくすれば、車は少ない燃料で長い距離を走ることができます。これは、高くなったガソリンの値段への対策として、自動車を作る会社が力を入れた点です。彼らは、風の流れをスムーズにするために、車の形を工夫しました。例えば、車の前面を滑らかにしたり、屋根を低くしたり、車体の後ろを少し持ち上げたりするなど、様々な工夫が凝らされました。
また、車体だけでなく、小さな部品にも工夫が見られました。ドアミラーの形を変えたり、窓ガラスを少し傾斜させたりすることで、風の抵抗をさらに減らす努力が続けられました。これらの技術革新は、燃費向上だけでなく、車の走行安定性にも貢献しました。風の抵抗が少ない車は、高速で走る時でも安定した走りを実現できるからです。
石油の値上がりという困難な状況の中で、自動車を作る会社は、新しい技術を使って燃費の良い車を作ろうと努力しました。そして、この時の経験は、現在の車の設計にも活かされています。空気力学に基づいた車体設計は、燃費向上だけでなく、環境保護にも役立つ技術として、今もなお進化を続けています。車の形一つとっても、そこには様々な工夫と歴史が詰まっているのです。