オフセットクランク

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エンジン

オフセットクランク:エンジンの隠れた工夫

車を動かすための動力源である原動機、その中心となる部品がクランク軸です。このクランク軸は、ピストンが上下する力を回転運動に変換する重要な役割を担っています。オフセットクランクとは、このクランク軸の中心線が、ピストンが動く筒である気筒の中心線からずれている構造のことを指します。 一見、中心からずれているのは不自然に感じられるかもしれません。しかし、このわずかなずれが、原動機の様々な性能向上に大きく貢献しているのです。ずれの量は、多くの場合数ミリ程度とごくわずかですが、その効果は驚くほどです。 では、なぜ中心をずらすと良いのでしょうか?ピストンは、気筒の中を上下運動しますが、この動きは、上死点(一番上)と下死点(一番下)で一瞬停止し、向きを変えます。この停止する瞬間に、ピストンには大きな力がかかります。オフセットクランクはこの力のかかり方を変化させることで、原動機の動きをスムーズにし、摩擦によるエネルギーの損失を減らす効果があります。 摩擦が減るということは、燃料の消費を抑えることにつながり、燃費の向上に貢献します。さらに、ピストンにかかる力を効率的に回転運動に変換できるため、出力向上にもつながります。また、摩擦による振動や騒音も減少するため、原動機の静粛性も向上します。 このような利点から、オフセットクランクは近年の自動車用原動機に多く採用されています。一見小さな工夫ですが、燃費、出力、静粛性など、様々な面で原動機の性能向上に貢献する、まさに縁の下の力持ちと言えるでしょう。