オーバーフロー

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エンジン

キャブレターのオーバーフロー問題

自動車の心臓部である発動機を動かすには、空気と燃料を適切に混ぜ合わせた混合気が必要です。その混合気を作り出す重要な部品が、気化器です。気化器の中には、燃料を一時的に溜めておく場所があり、これを浮き室と呼びます。この浮き室の燃料の量は、浮きという部品によって調整されています。浮きは、水に浮かぶ浮き玉のように、燃料の液面に反応して上下に動き、燃料の量を一定に保つ役割を果たしています。まるで水槽の給水栓のように、燃料が多すぎれば浮きが上がり弁を閉じ、少なくなれば浮きが下がり弁を開いて燃料を供給する仕組みです。 しかし、この精巧な仕組みにも不具合が生じることがあります。例えば、浮きが劣化して穴が開いてしまったり、弁の動きが悪くなったりすると、浮き室内の燃料が増えすぎてしまうことがあります。すると、お風呂の水があふれるように、余分な燃料が空気の通り道であるベンチュリーという部分に流れ出てしまうのです。 この現象を、溢流と呼びます。溢流が発生すると、燃料と空気のバランスが崩れ、発動機がうまく動かなくなることがあります。また、溢れた燃料が発動機周辺に付着すると、火災の危険性も高まります。さらに、環境への影響も懸念されます。漏れた燃料が地面に染み込み、土壌や地下水を汚染する可能性があるからです。 溢流は、自動車の故障の中でも比較的よくあるトラブルです。定期的な点検整備によって、浮きや弁の状態を確認し、早期に不具合を発見することが大切です。また、燃料の臭いがいつもより強いと感じたり、発動機の調子がおかしいと感じたりした場合には、すぐに専門の整備工場に相談することをお勧めします。日頃から自動車の状態に気を配り、安全運転を心がけましょう。