カムテール

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エアロパーツ

カムテール:空気抵抗とスタイルの融合

自動車の後部が台形のように、スパッと切り落とされた形をご覧になったことがありますか?このような独特な形状は「カムテール」と呼ばれ、空気抵抗の低減と車内空間の拡大を両立させた画期的なデザインです。このカムテールの名は、1930年代にドイツのシュツットガルト工科大学で教鞭をとっていたスイス出身の自動車技術者、ヴニバルト・カム教授に由来します。 カム教授は、自動車の空気抵抗に関する研究に情熱を注いでいました。当時、自動車の後部は、空気抵抗を減らすために、なだらかに傾斜した形状が主流でした。しかし、カム教授は独自の理論に基づき、後部を鋭く切り落とした形状でも、空気抵抗はほとんど変わらないのではないかと考えました。そして、この斬新な発想を検証するために、風洞実験を繰り返し行いました。風洞実験とは、人工的に風を発生させ、模型に風を当てて空気の流れや抵抗などを調べる実験です。 カム教授の風洞実験の結果は、驚くべきものでした。彼の予測通り、後部を鋭く切り落とした形状でも、従来の滑らかに傾斜した形状と比べて、空気抵抗に大きな差は見られなかったのです。この発見は、自動車のデザインに大きな変革をもたらしました。なぜなら、従来の滑らかな形状に比べて、カムテールは車内空間を広く取ることが可能になるからです。特に荷室の広さは大きく変わります。つまり、カムテールは、空気抵抗の低減と車内空間の確保という、相反する二つの要素を高い次元で両立させることを可能にした革新的なデザインだったのです。 カム教授の研究成果は、その後の自動車デザインに大きな影響を与え、現代でも多くの車でカムテール形状が採用されています。無駄を削ぎ落とした機能美と、広い室内空間を兼ね備えたカムテールは、自動車の歴史における重要な発明の一つと言えるでしょう。