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ロータリーエンジンの心臓、メタリングオイルの役割

回転式原動機特有の構造、三角形をした回転体が内部でぐるぐると回ることで力を生み出します。この回転運動を支えるのが、頂点の封止部品や角の封止部品といった重要な部品です。これらの部品は、燃焼室を隙間なく閉じ、圧縮過程や膨張過程を滑らかに進めるために欠かせない役割を担っています。しかし、これらの部品は通常の油の封止部品が通る道筋を通らないため、特別な油の与え方が必要となります。そこで登場するのが、計量式供給油です。 計量式供給油は、回転体や外枠の摩耗を防ぎ、良い封止の状態を保つために、原動機の内部の決まった場所に供給される油です。一般的な四行程の原動機とは異なり、回転式原動機では、この計量式供給油が燃焼室に直接送り込まれます。油は燃料と共に燃焼することで、頂点の封止部品や角の封止部品を油膜で覆い、潤滑と冷却を行います。これにより、金属同士の直接的な接触を防ぎ、摩耗や損傷を抑制することができます。 計量式供給油の供給量は、原動機の回転数や負荷に応じて精密に調整されます。供給量が少ないと、部品の摩耗が促進され、最悪の場合、焼き付きを起こす可能性があります。逆に、供給量が多すぎると、排気ガス中に未燃焼の油が含まれ、環境への悪影響や燃費の悪化につながります。適切な量の計量式供給油を供給することは、回転式原動機の高い回転能力と力強い出力を維持するために非常に重要です。回転式原動機の長寿命化と性能維持には、高品質な計量式供給油を使用することが不可欠です。使用者自身も、油の量や状態を定期的に確認し、適切な管理を行うことで、回転式原動機の性能を最大限に引き出すことができます。
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ロータリーエンジンの心臓部:コーナーシールの役割

おにぎり型の回転子(ローター)が繭型の空間(ハウジング)の中をくるくると回る、一風変わった仕組みを持つのが回転機関です。よく見かける piston engine とは違い、piston の上下運動を回転運動に変える必要がないため、構造が単純で、とても滑らかな回転を得られます。 この滑らかな回転を生み出すのに欠かせないのが、頂点印(アペックスシール)、側面印(サイドシール)、そして隅印(コーナーシール)と呼ばれる3つの印(シール)です。まるで部屋を仕切る襖のように、これらの印が繭型の空間を3つに区切り、空気を取り込み、圧縮し、燃焼させ、そして排気ガスを出すという一連の動作を可能にしています。 回転子は繭型の空間の中心ではなく、少しずらした位置で回転しています。このため、回転子と繭型の空間の間には三日月型の空間が生まれます。この三日月型の空間の容積が、回転子の動きに合わせて変化することで、4つの行程を作り出しているのです。まず、回転子が吸気口を通過する際に、空間が広がり空気が吸い込まれます。次に、回転子が進むにつれて空間が狭まり、吸い込んだ空気を圧縮します。そして、最も空間が狭くなったところで点火し、燃焼ガスが膨張することで回転子に力を与えます。最後に、回転子が排気口に到達すると、空間が広がり燃焼ガスが排出されます。 3つの印は、それぞれの空間を密閉し、混合気や燃焼ガスが隣の空間に漏れ出さないように重要な役割を担っています。もし、これらの印がしっかりと密閉できていないと、圧縮が不十分になったり、燃焼ガスが漏れてしまい、回転機関本来の性能を発揮することができません。 3つの印が、まるで縁の下の力持ちのように、回転機関の滑らかで力強い回転を支えているのです。
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ロータリーエンジンの心臓部、サイドシールの秘密

通常のピストンで動くエンジンとは違い、回転エンジンは三角形の形をした部品がくるくる回ることで力を生み出します。この独特な構造のおかげで、エンジンは小さく、大きな力が出せるという長所があります。しかし、変わった形であるがゆえの難しさも抱えています。 その一つが、燃料と空気を混ぜた混合気を燃やす部屋の密閉性を保つことです。三角形の部品が回る部屋の中をぐるぐる回るとき、部品と部屋の壁のわずかな隙間から、燃焼ガスが漏れてしまうことがあります。ガスが漏れてしまうと、エンジンの力は弱くなってしまいます。 そこで、このガス漏れを防ぐために大切な働きをするのが、サイドシールと呼ばれる部品です。サイドシールは、三角形の部品のそれぞれの角に取り付けられています。まるで、部屋の壁と三角形の部品の隙間を埋めるパッキンのような役割を果たします。 サイドシールは、常に高温・高圧の環境にさらされます。そのため、高い耐久性と耐熱性が求められます。材質には、特殊な金属やカーボンなどが用いられます。 回転エンジンは、その独特な構造から、滑らかな回転と静かな運転が特徴です。しかし、燃費の悪さや排気ガスの問題など、克服すべき課題も残されています。サイドシールをはじめとする様々な技術革新により、これらの課題が解決されれば、回転エンジンは再び脚光を浴びる日が来るかもしれません。