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環境対策

見えない排出ガス問題:燃料蒸発

自動車の燃料であるガソリンや軽油は、液体の状態ですが、常温でも少しずつ気体へと変化していきます。これを蒸発といいます。自動車から大気中に排出される有害な物質には、エンジンから出る排気ガスがよく知られていますが、燃料蒸発も同様に大気汚染の原因となります。燃料蒸発とは、燃料タンクに入っているガソリンや軽油が気体となって、大気中に放出される現象です。目に見える排気ガスと異なり、燃料蒸発は無色透明で見えないため、その影響を意識することは少ないかもしれません。しかし、光化学スモッグなどの大気汚染を引き起こす原因の一つであり、環境問題を考える上で決して無視することはできません。 燃料蒸発は、燃料タンクからだけでなく、自動車の燃料が通る様々な場所から発生します。例えば、燃料をエンジンに送るための管である燃料ラインや、エンジン自体からも燃料蒸発は起こります。暑い日に駐車した車内がガソリン臭くなることがあるのは、この燃料蒸発が原因です。このような燃料蒸発による大気汚染を防ぐために、様々な対策がとられています。燃料タンクの構造を工夫して蒸発しにくくする、蒸発した燃料を再び液体に戻して回収する、活性炭を使って蒸発した燃料を吸着するなど、自動車メーカーは様々な技術を開発し、燃料蒸発の抑制に努めています。 私たちも、車を運転する際には、燃料蒸発を少しでも減らすためにできることがあります。例えば、炎天下での駐車を避ける、燃料を満タンにしすぎない、こまめな点検を行うなど、日頃から注意することで、燃料蒸発による大気汚染を少しでも抑えることに繋がります。環境を守るためには、目に見える排気ガスだけでなく、目に見えない燃料蒸発にも気を配ることが大切です。
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排ガスを抑える技術:仕組みと重要性

自動車の排気ガスは、空気を汚す大きな原因の一つです。そのため、排気ガスに含まれる悪い物質を減らすための様々な工夫が長年にわたり続けられてきました。排気ガスをきれいにする仕組みは、大きく分けて三つの段階で進められます。 まず第一段階は、エンジン内で燃料を燃やす際に、そもそも悪い物質がなるべく発生しないようにすることです。これは「燃焼前処理」と呼ばれます。エンジンの設計を工夫したり、燃料を噴射する量やタイミングを細かく調整することで、より完全な燃焼を目指します。燃料がしっかりと燃えれば、不完全燃焼による有害物質の発生を抑えることができます。 第二段階は「燃焼後処理」です。エンジンから出た排気ガスを、排気管を通る間にきれいにする処理です。この段階で重要な役割を担うのが「触媒変換装置」です。排気ガス中の有害物質は、この装置の中で化学反応を起こし、無害な物質に変化します。例えば、一酸化炭素は二酸化炭素に、窒素酸化物は窒素と酸素に、炭化水素は水と二酸化炭素に変わります。 最後の第三段階は、エンジン以外の部分から出るガスへの対策です。燃料タンクから蒸発するガソリンの蒸気(燃料蒸発ガス)や、ピストンとシリンダーの間から漏れるガス(ブローバイガス)なども、大気を汚染する原因となります。燃料蒸発ガスは、活性炭を使って吸着し、後からエンジンに送って燃やすことで処理します。ブローバイガスも同様に、エンジンに吸い込ませて燃焼させることで処理します。 これら三つの段階を組み合わせることで、排気ガスに含まれる有害な物質を大幅に減らすことができます。自動車メーカーは、より環境に優しい自動車を作るために、これらの技術の開発・改良を日々進めています。
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燃料蒸発の抑制:環境への配慮

燃料蒸発とは、ガソリンなどの液体の燃料が気体の状態に変化する現象のことです。燃料は、温度が上がったり、周りの圧力が下がったりすると蒸発しやすくなります。例えば、真夏の炎天下に駐車した車を想像してみてください。車内の温度は非常に高くなり、燃料タンク内のガソリンも温められます。この時、ガソリンは盛んに蒸発し、気体である燃料蒸気を発生させます。また、標高の高い山に登ると、気圧が低くなるため、平地よりも燃料が蒸発しやすくなります。 この燃料蒸気には、炭化水素と呼ばれる物質が含まれています。炭化水素は、大気中で太陽の光に当たると、光化学反応を起こし、光化学スモッグと呼ばれる大気汚染物質を発生させます。光化学スモッグは、私たちの健康に悪影響を与えるだけでなく、農作物の生育にも悪影響を及ぼします。そのため、環境を守るためには、燃料の蒸発を抑えることが非常に大切です。 昔は、エンジンの吸気系からも燃料蒸気が発生していました。これは、キャブレターという部品が使われていたためです。キャブレターは、燃料を霧状にしてエンジンに送り込む装置ですが、この過程で燃料が蒸発しやすかったのです。しかし、現在では、電子制御式燃料噴射装置が主流となっています。この装置は、コンピューターで燃料の噴射量を精密に制御するため、燃料の蒸発を最小限に抑えることができます。その結果、燃料蒸気の発生源は、主に燃料タンクからの蒸発となっています。 燃料タンク内の蒸気を大気中に放出しないように、様々な技術が開発され、自動車に搭載されています。例えば、発生した蒸気を活性炭に吸着させ、エンジンの燃焼に利用する仕組みなどが挙げられます。これらの技術によって、燃料蒸発による大気汚染を大幅に削減することが可能となっています。