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車の心臓部、始動の要:冷間始動電流

車のエンジンを始動させるには、スターターと呼ばれるモーターを回す必要があります。このスターターを回すための電気はバッテリーから供給されます。しかし、気温が低い冬場などはエンジンオイルが硬くなり、エンジン内部の抵抗が増加します。この抵抗に打ち勝ってエンジンを始動させるには、大きな電力が必要となります。 この時にスターターに流れる大きな電流のことを「冷間始動電流」と言います。冷間始動電流の単位はアンペア(A)で表され、バッテリーの性能を示す重要な指標の一つです。冷間始動電流の値が大きいバッテリーは、より強力なスターターモーターを回すことができるため、気温が低い環境でもスムーズにエンジンを始動させることができます。 一方、冷間始動電流の値が小さいバッテリーでは、エンジンオイルが硬くなった際にスターターを十分に回すことができず、エンジンが始動しにくくなります。何度も始動を試みることでバッテリーの電力が消費され、最終的にはバッテリー上がりに繋がることもあります。特に寒冷地では、冷間始動電流の大きなバッテリーを選ぶことが重要です。 冷間始動電流の値はバッテリーに記載されているので、バッテリーを選ぶ際には必ず確認するようにしましょう。また、同じ車種でも搭載されているエンジンの種類によって必要な冷間始動電流の値が異なる場合があります。取扱説明書を確認するか、販売店に相談することで、自分の車に適した冷間始動電流のバッテリーを選ぶことができます。適切なバッテリーを選ぶことで、冬の寒い朝でも安心してエンジンを始動させることができます。
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車の心臓部、エンジンの回転力:クランキングトルクを理解する

車を走らせるためには、まずエンジンをかけなければなりません。エンジンを始動させる、つまり動かすためには回転させる力が必要です。この力を回転力、すなわちトルクと呼びます。 エンジンは静止した状態から動きを始めますが、この時に必要なトルクを起動トルクといいます。起動トルクは、エンジンが動き出す最初の回転を可能にするために必要な力で、エンジンの始動のしやすさに直接関係します。例えるなら、重い扉を開ける時に最初のひと押しで大きな力が必要なのと同じです。ひとたび動き出せば、その後はそれほど大きな力は必要ありません。 では、この起動トルクの大きさはどのように決まるのでしょうか?エンジン内部には、ピストンやクランクシャフトなどの様々な部品が存在します。これらの部品同士が擦れ合うことで抵抗が生まれます。また、エンジンが始動する際には、シリンダー内で燃料と空気が混合された混合気が圧縮されます。この圧縮された混合気の圧力も、起動トルクに影響を与えます。これらの内部抵抗や混合気の圧力が大きいほど、エンジンを動かすために必要な起動トルクは大きくなります。 エンジンが始動して動き始めると、必要なトルクは起動トルクに比べて小さくなります。これは、動き始めた物体は動き続ける方が容易であるという物理の法則と同じです。最初の起動トルクさえあれば、その後は小さなトルクでエンジンを回転させ続けることができます。 この起動トルクを発生させるのがスターターモーター(始動電動機)です。スターターモーターは、バッテリーからの電力を使って回転し、エンジンを始動させます。必要な起動トルクの大きさは、スターターモーターの性能を決める重要な要素となります。起動トルクが大きければ大きいほど、強力なスターターモーターが必要になります。
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エンジンの心臓部、圧縮抵抗を理解する

自動車の心臓部である原動機、その内部で起こる圧縮抵抗について詳しく見ていきましょう。圧縮抵抗とは、原動機の中で活塞が混合気を押し縮める際に生じる抵抗のことです。原動機を始動させる際、活塞は筒の中を上下に動いて混合気を圧縮します。この圧縮行程では、活塞は混合気を狭い空間に閉じ込めるため大きな力が必要になります。この力に逆らう形で生まれるのが圧縮抵抗です。 圧縮抵抗は、原動機の健康状態を知るための重要な手がかりとなります。抵抗値の大小によって原動機の調子を判断することができるのです。適切な圧縮抵抗は、原動機の正常な動きに欠かせません。もし圧縮抵抗が低すぎると、原動機は十分な力を発揮することができません。これは、自転車のタイヤに空気が十分に入っていない状態で坂道を登るようなものです。十分な力が出せず、坂を登るのが難しくなります。反対に圧縮抵抗が高すぎると、原動機に大きな負担がかかり、故障の原因となる可能性があります。これは、自転車のブレーキを強くかけながらペダルを漕ぐようなもので、自転車に大きな負担がかかります。そのため、圧縮抵抗は常に適切な範囲内に保つ必要があります。 これは、自動車の燃料消費率や出力にも大きな影響を与えます。適切な圧縮抵抗を維持することで、原動機の性能を最大限に引き出すことが可能になります。圧縮抵抗は、原動機油の粘度や活塞環の状態など、様々な要因に影響されます。これらの要素を適切に管理することで、圧縮抵抗を最適な状態に保つことが、原動機の寿命を延ばし、自動車の快適な走りを支える上で重要になります。
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車の心臓部、クランキングを学ぶ

車を走らせるには、まずエンジンをかけなければなりません。そのために必要なのが「始動」と呼ばれる工程です。この工程は、自転車のペダルを漕ぎ始める時の最初のひと蹴りのようなもので、エンジンを動かすための最初の回転運動を作り出します。この最初の回転運動を「クランキング」と呼びます。 クランキングは、エンジン内部にある「クランク軸」という部品を回転させることで行われます。このクランク軸は、エンジンの動力源となる燃焼室で発生した力を回転運動に変換し、タイヤに伝える役割を担っています。 では、どのようにしてクランク軸を回転させるのでしょうか?その役割を担っているのが「始動電動機」です。始動電動機は、車のバッテリーから電気を受け取り、その電気エネルギーを回転エネルギーに変換する装置です。スイッチを入れると、始動電動機は勢いよく回転し、歯車を通じてクランク軸に接続されます。これによってクランク軸が回転し始め、エンジンが始動へと向かいます。 始動電動機は、大きな力を必要とするクランク軸を回転させるため、多くの電力を消費します。そのため、バッテリーの状態が悪いと、始動電動機が十分な力を発揮できず、エンジンがかからないことがあります。これは、まるで疲れた体で重い荷物を持ち上げられないのと同じような状態です。 このように、クランキングは、エンジンを始動させるための重要な第一歩であり、始動電動機、バッテリー、クランク軸といった部品が連携して行われる精密な作業です。普段何気なく行っているエンジンの始動も、実は複雑な仕組みによって支えられているのです。