クランク室貯蔵式

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環境対策

姿を消した技術:クランク室貯蔵式

自動車の心臓部であるエンジンは、ガソリンを燃焼させることで動力を生み出します。しかし、ガソリンは揮発性が高く、常温でも気体になりやすい性質を持っています。この蒸発したガソリンが大気中に放出されると、光化学スモッグの原因となる有害物質が発生し、環境問題を引き起こします。そのため、ガソリンの蒸発をいかに抑えるかが、自動車開発における重要な課題となっています。 燃料蒸発ガス抑制装置は、この問題に対処するために開発された装置です。様々な方式がありますが、その一つに「クランク室貯蔵式」と呼ばれるものがあります。この方式は、エンジンのクランク室を利用して、蒸発したガソリンを一時的に貯蔵する仕組みです。エンジンが停止している間、燃料タンクや燃料配管から蒸発したガソリンは、配管を通じてクランク室へと導かれます。クランク室はエンジンオイルで満たされているため、蒸発したガソリンはオイルに溶け込みます。そして、エンジンが始動すると、クランク室内のオイルと混ざったガソリンは、吸気と共に燃焼室へと送られ、燃料として利用されます。 この方式の利点は、特別な部品を必要とせず、比較的シンプルな構造で燃料蒸発を抑制できる点です。また、蒸発したガソリンを回収して燃料として再利用するため、燃費向上にも貢献します。 しかし、オイルにガソリンが混ざることでオイルの劣化が早まる可能性があるため、オイル交換の頻度には注意が必要です。また、寒冷地など気温が低い環境では、蒸発したガソリンがオイルに溶け込みにくく、始動性に悪影響を与える可能性もあるため、対策が必要です。 自動車メーカーは、燃料蒸発ガス抑制装置以外にも、燃料タンクの材質改良や密閉性の向上など、様々な対策を講じています。これらの技術開発により、自動車からの排出ガスは大幅に削減され、大気環境の改善に大きく貢献しています。今後も更なる技術革新により、より環境に優しい自動車開発が期待されています。